MIDNIGHT CALL | 嵐の中、今宵櫻葉に酔いしれる…

嵐の中、今宵櫻葉に酔いしれる…

嵐に溺れて間も無く
櫻葉に堕ちました



持ち帰った仕事もひと通り終わった

部屋の照明を少し落とし
気に入りの酒を
グラスに注ごうとした瞬間
部屋の中央
ローテーブルの上でスマホが
静かに震えながら鳴り出した

手にしたボトルの動きを止めて
キッチンカウンターに置く…が

3コール目がない

カウンター越しに
淡く光を放つスマホを見つめ
その光が消えたタイミングで
"チッ…"
軽く舌打ちをする

置いたボトルへ
もう一度手をのばしかけると
たった今
2コールで切れたスマホが
再び2コールの着信音を響かせて
また切れた



…まさか?






"櫻井の着信音ってなんか古くせーな?"



仲間たちから茶化されても

変えられなかった?



いや、ただ…

数並ぶ着信音から選ぶ設定変更が

面倒だっただけ…



そうさ、ただそれだけ…



"2回コールしてスグ切ったあと

また2回コールして切るね!

そうしたら

オレからの電話ってわかるでしょ?

だから3回目かけたら

ぜ〜ったいに電話に出てね!"



そう笑いながら言っていた

アイツの合図



"まさか…"と思いながら…

"そんなはずないだろ?"と

深いタメイキを吐いて否定する



3回目のコールが響き出し

反射的にスマホを見つめる…



今度は切れること無く

着信音を奏でている


そして再び

"まさか…"と思いながら

"そんなはずない"と否定しながら

ためらいつつスマホに近寄り

通話ボタンを押して

ゆっくりと耳にあてる


"しょ…ちゃ…"


オレの名を呼ぶ懐かしい声


その瞬間

胸の奥で止まっていた時間が

戸惑う思いを押しのけて

溢れるように動き出した…


それでも

つとめて冷静に

対応しようとするとオレは

少しはあの頃より

成長できてるんだろう


涙声なのは聴いてわかるが

"迎えに来て"って…


お構いなしに

いきなりサビから話し出すところは

相変わらず変わってないんだな


いや、そうじゃない

なに懐かしがってんだよ…と

心の中で自嘲する


突然すぎるそのワガママは

さすがに無いンじゃないか?

2人が離れてどのくらい経ってるのか

オマエもわかってるだろ?


繋いでいた手を

ふりほどいたのは

オマエからだったはずだよ?


「ズルイだろ…」と

オレが放つ言葉に少しの沈黙が流れ


"ごめんなさい…"

涙声で返される




続く言葉を待ちながら

部屋の片隅へ投げた視線の先には

フォトフレームの中で

笑っているあの頃の2人…



近づき指先で

薄くかぶった埃を撫でとる



気づかないコトを言い訳にして

アイツとの思い出

アイツへの想いを

薄いプライドで隠してたんだ



そうさ…オマエの笑顔を

どうしても

片付けるコトが出来なかった

それが真実



場所なんて聞かなくたってわかる

あの頃…喧嘩するたび

飛び出したオマエを

何度迎えに行ったか…



繋がるスマホの向こう側で

聞こえてくる街の喧騒は変わらない



今夜はあたたかい



2人やさしい夜風に包まれて

もう一度手を繋げたら…



…そうだ

新しいフォトフレームを増やそう

二度と埃が被らないように



薄いプライドは

大切にしたいモノを

曇らせて見えなくしてしまう



そう考えながら



スマホの通話はそのまま

片手に上着を掴み部屋を出た…







**********



お元気ですか?

ずいぶんとご無沙汰をしておりましたあせる


こちら、そろそろ藤棚が見頃となりますラブラブ


ゴールデンウィーク!?

みなさんご予定は

順調にこなされていますかはてなマーク

あいらば は変わらず

おウチごと及びお仕事ですが

なんとなく周りが

ウキウキと楽しそうな空気感が大好きです音譜



先日、数年ぶりに耳にした曲がありまして

ずいぶんと昔に

情景が浮かぶ曲なので好きでした


J事務所に所属されていた

大先輩グループの中の

お1人のソロ曲だったのですが

あいらば は

作詞作曲されたご本人盤を聴いておりました


懐かしいなぁ…と思いながら

所々のフレーズが耳に残っていたので

久しぶりに書いてしまいました



ビックリマークあの曲だ!!

ってピンときた方いらっしゃいますはてなマーク

気づいてくださる方がいらっしゃると

うれしいんだけどなぁ…



かしこ チューリップ