miriokada PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは知らず、平凡な日々を幸せに送っていた著者。
しかし何かがいつも違っていた。
実姉から進められセラピーを受け、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されてからの日々、原因と向かい合う姿、克服していく様子が克明に描かれる。


裕福な家にハーフとして生まれた著者。
両親と姉・妹との5人家族は幸せな家庭そのものに見えた。
しかし、父・E.H.エリックの家庭内暴力が存在していた。
母を庇う娘たち、母を外に出し守る娘たち。
別居と離婚、そして娘と父との暮らし。
思春期の著者はしなくてもよいような経験を沢山して育っていく。
その過程全てが、後々大きな病として彼女を襲うPTSD(心的外傷後ストレス障害)の理由となっていたのだ。
モデルとして、タレントとして仕事をスタートし順調に進む人生。
仕事人間な夫・堺正章との結婚。
そして出産。
著者の人生は普通の女性のそれのようにも見えるが、途中途中に幼い頃の経験が作った小さな傷に悩まされていた。
我慢しきれず姉に相談し、セラピーを受けるよう進められる。
姉も、著者も、PTSD(心的外傷後ストレス障害)だったのだ。
そして夫との離別。
仕事人間の夫を支える、支えなければという複雑な思いの影にも、病があった。
子供との癒しの時間、父の介護などを経験し、著者は病と共存し自分らしく生きる道を見つけていく。


PTSDというのは、一時期話題になった病である。
最近、新聞でも見たが「精神的な病」で労災を受ける社会人が年々増えているそうだ。
精神的な病にはうつ病やこの本で扱っているPTSD、GADなど様々なものが存在する。
不眠症なども含まれるだろう。
他人事ではないそれらについて書かれている本に、非常に興味があったので本書を手にしてみた。
半分は著者・岡田美里の自叙伝+自慢話のようになっており退屈な部分もあった。
しかし、病の根底にはそういった生い立ちなどが大きく関係していたらしい。
幼い頃に受けた衝撃や心の傷というのは、目に見えず、完治したと思い込むがそうではないらしい。
精神的な病に対して差別的な意見を抱く人や、偏見を持つ人、理解を示さない人がいる。
でも今は特別な病ではないし、いつ自分や身内がそうなるかわからないのだ。
内容は薄いが、こういった本に接することによって視野を広げたいと思った


講談社 2001年


著者: 岡田美里

タイトル: 「しあわせ」のかたち