kutukoi ヒール、サンダル、スニーカー。
様々な靴があるように、靴にまつわる物語も同じだけある訳で。
女流作家8名が靴にちなんだ恋愛を集めた短編集。


『スニーカーと一本背負い』の主人公・美咲は37歳。
アパレルメーカーが立ち上げたペット用品のデザイン室で働いている。
本社からこのデザイン室に異動になったのは、上司との不倫が理由だった。
今はというと、同じデザイン室で働く6歳年下の既婚者・神居と恋仲である。
美咲はいつだって、既婚者と恋愛をしてきた。
大学では講師と、研究室では先輩と、女友達の夫と・・・など、何故か不倫を繰り返している。
略奪愛をするつもりはない。
結婚願望が無いので独身男と感覚が合わずうまくいかないだけだと美咲は思う。
仕事はいまひとつパッとせず、ペット服のデザインをして本社にプレゼンをしても全く相手にされず、このままではデザイン室は閉鎖されてしまうと焦る。
新作の為に、アシスタントを雇おうと母校に行き紹介されたのが高野ヒロミだった。
美しく手先が器用で誠実な仕事をするヒロミは、素晴らしいアシスタントになる。
仕事も恋も暗礁に乗り上げ暗いトンネルを歩きつづけるような状態だった。
美咲はトンネルから出たいと頑張り続ける。


読んだことのない作家の作品もあり、楽しめた。
恋愛小説であるのは題名を見れば一目瞭然だが、なかなか奥が深い大人の恋物語が多かった。
短編なので通勤や入浴などに読める手軽さが嬉しい。
30歳前後の女性向けと思われる1冊。


<ソニーマガジンズ 2004年>


著者: 谷村 志穂, 斎藤 綾子, 甘糟 りり子, 横森 理香, やまだ ないと, 狗飼 恭子, 野中 柊, 山咲 千里
タイトル: 靴に恋して