TPP交渉は日本の国益にかなうものだったのだろうか。仮に国益につながったとしても、もっと多くの利益を確保できたのではないだろうか。

甘利大臣は、TPP交渉の立役者と言われているが、農産物5品目を守るという趣旨の国会決議にすら反する様な内容だった。この点ひとつとっても、私は、立役者といわれるような交渉内容ではなかったと感じている。

TPP交渉とは別に、日本がTPP交渉に参加する際にアメリカから幾つかの要求がなされている。その一つが簡易保険の問題である。アメリカは以前から簡易保険の民営化、つまり国の関与をなくせという事を要求し続けている。

何故ならば、簡易保険がある限り、アメリカの民間保険会社の利益が増えないと考えているからである。わが国は一度郵政民営化に舵を切ったが、問題点が多く、民営化を考え直すことになった。

そこで、アメリカ側が日本に要求してきたことは、郵便局でアメリカンファミリーの商品を売るようにすることだった。正確に言えば、アメリカと日本の交渉で、そのようになったという事である。

郵便局が保険の代理店になるのであれば、全ての商品を取り扱う事が出来るはずだが、残念ながらそのようにはなっていない。日本の保険会社にとっては、極めて不利な交渉内容である。このことはTPP交渉の直接的な取り決めではないが、TPP交渉を行う過程で決まったことである。

アメリカはUSTRレポートで、アメリカの国益は保たれたと書いている。その通りだと思う。私は、日本は十分な国益を確保できていないと考えているが、情報が開示されていないので、正確な事が分からない。実はこの点も問題である。

この程度の交渉しかできなかった甘利大臣が本当に大臣を続けるべきなのだろうか。はめられたという報道もあるが、お金をもらっていたことは紛れもない事実である。

しかも甘利大臣は、今月26日に資金集めパーティを予定していた。この問題が起こり中止にしたようだが、大臣規範に当たらないのか、そして集めたお金はどうしたのか、お金のことに関しては問題の多い議員であることは間違いがない。甘利大臣の辞職を求めて行きたいと思う。




参議院議員・医師 桜井充


【秘書のつぶやき】
櫻井充秘書小林です。
児童虐待事件が後を絶ちません。
動物の児童虐待について調べてみたところ、類人猿研究センターの資料に、飼育下のチンパンジーでは約50%の割合で育児放棄が起きている、とありました。興味深いのは生後の経験によってその割合が異なるということです。つまり、自分の母親に育てられ、他のチンパンジーと一緒に集団で育った個体は、育児放棄の割合は低くなり、逆に自分の母親に育児放棄にあったり、ひとりで飼育されていたりした個体は育児放棄する割合が高くなるようです。論文では育児がきちんとできるようになるためには、経験と学習が重要であると指摘していますが、チンパンジーでさえも負の連鎖が生じているわけです。ライオンでも、オスが別のオスから略奪した雌の子供をかみ殺す事例もあるようですが、どこにでも起こりうる本能的な社会問題であるという認識が必要ではないでしょうか。
ところで、自殺を行う動物について調べてみたところ、調査不足かもしれませんが、人類以外に未だ見つかりません。人類は進化したことでなぜ自殺ができるようになったのでしょうか……。(小林太一)