わたくしは個人的な見解として、冤罪だと思っています。


乳がんの手術直後、手術室から病棟に移動して30分から2時間以内に1回目の回診をします。後出血の確認のためです。乳がんの手術の場合、片側の乳腺全摘だと、止血のために包帯で創部を圧迫しているので、キズを見ることはありません。包帯を外さないのです。ドレーンのパックに溜まっている血を確認するだけです。包帯を外すと圧迫止血の意味がなくなりますし、外した包帯をもう一回巻き直す作業は外科医1人ではできません。看護師の介助が必要です。1人で回診していたそうですから、包帯を外して、乳首を舐めて、、包帯を巻き直す、という作業はわたくしの想像では不可能です。これが裁判官に認知、理解してもらうのは、それほど難しいとは思えませんので、裁判官には何か患者さん側に有利になる判断材料が在ったのだろうと想像します。


一方で、患者さん自身にも同情いたします。全身麻酔の手術直後では、おおむね2時間程度、麻酔薬の影響でせん妄状態にあるはずで、病室の雰囲気や会話を正確に覚えているわけないのです。 

 せん妄とは、自分では全て納得のいく現実として認識されるので、これを否定しても患者さん本人の認識が変わることはありません。

患者さん自身としてはリアルな現実なのですから。 

マンガの

BORUTO-ボルト- -TWO BLUE VORTEX-

の第一巻を読んでください。


この、全能、と、魅了、の仕組みとほぼ同じコトか患者さんの記憶の中で起きています。訂正不可能なのです。訂正可能ならば、せん妄、とは言わないのです。


おそらく患者さんはもう引くに引けない状況でしょう。8年も裁判で争っているのですから、その記憶はかなり強化されているはずなので、主張を変えるコトはできないでしょう。患者さん側の弁護士さんも絶対に引くわけありません。負けると外科医の受けた機会損失、この裁判が無ければ得られるはずの金銭的利益・給与、損害賠償、慰謝料、、と億単位の金額になると思われます。 もう引くことはできませんよね。


過去の全身麻酔の事例を根拠に麻酔薬の影響が数時間継続しせん妄状態になっていて、記憶が正確ではない場合がほとんどであり、多数の医師がこの意見を支持していること(というかあたりまえの常識、疑うスキマは1ミリもありません)、 一方、せん妄状態にある場合、現実を正確に認識することはできなくて、患者さんの精神内界で起こった想像(夢の様なモノ)が現実として認識されて記憶されてしまうコトを、裁判官が理解して判決を出して欲しいと思います。


冤罪なんですが、外科医も患者さんも、どちらも悪くない、邪悪ではない、という事態が この裁判を難しくしていますね。患者さん側に利益を、、、という考え方が高裁の判決に作用している気がします。


一人で診察をしたのが、全ての間違いです。 

 この間違いのために外科医のキャリアを棒に振ることになって、得られるべき給与をもらえず、受けている精神的な苦痛は想像を絶するほど大きい8年間、、、、、一人で診察したことの罰としては、重すぎると思います。