無事に転職活動が終了した。
転職活動中、
私はひとつ不思議な体験をした。




3月の間に4ヶ所の面接を受けた。


・静養型の病院

・大手の有料老人ホームを2カ所

・規模は小さいけど徒歩圏内の老人ホーム


ありがたいことに早々に内定をいただいていた。


その中で自分の中では
静養型病院と徒歩圏内の老人ホームとの
二択に最後まで迷っていた。


病院は何と言っても勉強になる。
徒歩圏内の老人ホームは何と言っても通勤が楽。

共に、現場ファーストの良い施設だった。


結局、私は徒歩圏内の老人ホームに決めた。
こちらは小規模であるが、ひとりひとりに向き合う介護が出来るのが魅力だった。


とはいえ、病院も魅力的だった。

面接に対応してくれた事務長さんも看護部長さんもとても感じの良い方だった。
看護部長さんにいたっては
この転職活動中にお世話になった方の中で
一番と言っても良いほどの好人物だった。

だけど

私は病院を選べなかった。


どうしても


建物の雰囲気がダメだったのだ。


暗いというか
息が詰まりそうでもあり
肩が重くなりそうだったのだ。


面接が終わり、御礼を言って
看護部長さんに見送られて
建物の外に出た時の安堵感は
ただ面接が終わったというだけのものではなかった。

病院という建物の雰囲気に負けたのでは?

とも思い、
病院勤務は私としても
望むところでもあったので
最後まで迷ったが、結局、決心はつかなかった。



よし、徒歩圏内の施設にしよう


 
そう決めた日の夕方

私のスマホが鳴った。


見知らぬ番号

2コールほどしてすぐに私は出た。


「はい!」

「プツッ!プー、プー」


電話はすぐに切れた。
転職活動中でもあったので
私はすぐにかけ直した。

電話は何度かコールをしていた。


「はい、○○病院です」

女性が出た。
面接を受けた病院だった。

「先日、面接をしていただいた者です。
たった今この番号から着信がありましたので
折り返しの電話をさせていただきました」


「こちらの番号からですか?
少々お待ち下さいますか?」


女性は怪訝そうな感じで、電話を保留にした



程なく、女性は電話口に戻ってきた。



「あの、こちらの番号でお間違いありませんか?」


「はい、出たらすぐに切れてしまったので
すぐに折り返ししましたので間違いありません」


「そうですか…。
今、いる者に確認したのですが、
誰も電話をしていないのです


「え?」


その病院はそんなに大きな病院ではない。
正面玄関の前の受付も
事務所と兼用になっている

そんな病院だ。

しかも時計は金曜日の16:50過ぎ。

人だってそんなにいるとは思えない。





「そうですか…」


と、いう他なかった。

あの病院に呼ばれたのだろうか?

一体、誰がかけたんだろう?
一体、何の用事だったのだろう?


しかも、内定を辞退すると決めた日に。


それから着信はない。







信じるか、信じないかは貴方次第です。