昨日、ようやく1回目のコロナワクチン接種が出来た。



問診票を渡して受付をしていると

丁寧にチェックをしていたスタッフさんに

問診票の性別の欄を指差して



「性別が女性でチェックされていますが

お間違いではありませんか?」



と確認をされたので



「間違いありません」



と答えた。



「はい。分かりました」



その女性スタッフはあっさりと受付してくれた。





私は性同一性障害。

いわゆるFTM(女→男)というパターン。


男性ホルモン治療歴15年

胸切除済み

改名済み


であるが、まだ内性器摘出手術を受けていないので戸籍の性別は「女」のままである。

なので、今回のように公的な場合とか

病院受診などの場合は

性別表記欄は正直に「女」にチェックしている。

(それ以外は「男」にしている。)



だけど、男名に改名してから

「女」にチェックしても

今のところ確認されたのは

15年間で今回で3回目である。


「え?確認ないの?大丈夫??」


とこちらが不安になるのもしばしばだ。



(ちなみに過去2回は両方とも

レントゲンの技士さんだった。


「結果画像を間違えてはいけないから

本人確認、チェックは厳重にしている」


だそうなのだ。)




性別表記があまりにスルーされるので

こういう事例は自分が思っているより

多いのかなぁと思う15年だった。


















しかし、その反面

所属している派遣会社の所長との話を思い出していた。



「やっぱり見た目も重要なんだよなぁ」



所長はポツリと呟いた。




お世話になっている派遣会社のこの所長

私の様な性同一性障害でも


「真面目に働いてくれれば性別は関係ない。

大事なのは『人となり』と『心』!」


と、分け隔てなく、偏見なく採用してくれるだけでなく、

更衣室問題なども積極的に相談に乗ってくれる頼りになる心強い存在だ。


しかし、そんな所長も


ウーン🧐 


と唸ってしまう問題。


それは「見た目」


だという。



面接にていくら


「私は男(女)です!!」


と心と体の不一致を主張されても

見た目が伴っていないと 

希望の更衣室の使用はさせる事は難しいという。


やはり、見た目が明らかに 

男(女)に女子(男性)更衣室は許可することは出来ない。



それはやはり立場上、他の従業員にも考慮が必要だからだ。

(特に女性更衣室使用については注意をしているらしい)




それは本当に当たり前の話だと思う。




ホルモン治療前からも元々体格が良かった私は

普段から女子トイレや更衣室を使用しようとすると



「ここは女性用ですよ!!」



と見ず知らずの人に言われる事があった。

子供の頃から男の子に間違われてばかりだった。



そんな私でも男性更衣室使用に対して所長は


「オダちゃん、胸の手術をしてからにしよう」


と言った。

私はホルモン治療開始後すぐに胸切除を予定していたので問題はなかった。



所長の判断は間違っていなかったと思う。



それから15年



なんの不便もトラブルもなく

男として働かせてもらっている。





セクシャルマイノリティー


LGBT


トランスジェンダー



そんな言葉が社会的に

広く認知されて結構な時間が経っている。


だけど、広く認知されればされるほど

良くも悪くも

ニュースになる事も増えてきた。


中には


「それは当事者の我儘では??」


「トランスジェンダーを悪用した犯罪では?」


と思うニュースも悲しいかなあったりする。  



当事者が100人いれば

100通りの意見、主張があると

思う。


私自身も当事者の端くれとして

思う事は



「自分自身を認めて貰いたいのなら

主張するばかりではなく

相手の意見も聞き

自分の足元を見つめ直す事もしなくてはならない。

相手に期待ばかりして甘えてはいないか?」



自分でも時々自問自答する。



性同一性障害は楽ではない。

でも、誰かに助けてもらったり、

認めてもらったりすれば

それはとても嬉しい事。

ありがたい事。



良く


「性同一性障害?

じゃあ、男の気持ちも女の気持ちもわかるんだね!」


「今度生まれ変わったら男になれるといいね」



なんて言われる。





違う


私は多分

男の気持ちも女の気持ちもわからない。


わかるのは違和感があった事だけ。

今は治療によって 

それが緩和されているだけ。



次に生まれた時?


男でも女でもいい。



違和感なく生まれたい。







そんな事を思う当事者のひとり。


この先も周りに感謝しながら

嬉しい事をたくさん感じて生きていきたい。