猛暑日が続いている。

油断していると、少し外に出ていただけで
その夜、腕など露出していた所が日に焼けてヒリヒリしている。


本格的に日焼けなどしようものなら、この数年の夏はえらい事になるだろう。



そう言えば


「日焼けの痛み」と言えばと思い出した事がある。


それは胸切除手術後の話であった。












2007年5月1日

私は国内にて胸切除手術を受けた。









胸手術後、オッパイ自体は乳腺、神経、脂肪ごと切除してしまっているので、全体的に痺れたような感じで想像していたような痛みはなかった。 




退院の時に 


「痛くなったら飲んで下さい」 


と、ロキソニンと痛み止めの座薬を渡されたが、服用はしなくてすんだ。 

ただ、触ると急激に日焼けをした時のようなビリビリとした痛みはあった。 



「触らなければ大丈夫~るんるん」 



と余裕をかましていたが、どうにもならないものがあることに気がついた。 


車のシートベルトである。 


今は手放してしまったが、当時は車を所有していて通勤に使っていたし、術後ということもあって車の使用率も高かった。 

しかし、このシートベルトの位置が非常にジャストミートな位置なのであった。 



どうにもこすれて痛い



ピークの日焼け肌をヘチマでこすっている感じ…と言えば、少しは伝わるだろうか



痛い痛い痛い痛いアセアセ

もういいえーん




と、いけない事とは知りながらシートベルトを外していた。 




「忘年会シーズンとかじゃないから大丈夫だろう」 



なんて自分勝手に言い訳していた。 




そんな時に限って… 

普段、検問なんかに出くわさないのに… 

そんな時に限って… 




検問だ。


















「どうも、こんばんは~」 

お巡りさんが開けた窓からニコニコしながら覗きこむ。 




腹をくくった。 




ジタバタしない! 
俺の生き様見せてくれようexclamation 





「何かあったんですか?」 

「いえいえ、何もおきないようにご協力いただいてまして……
あれ?シートベルト…」 





そう言って若いお巡りさんは私の顔を見た。 



ダメで元々‼️




「…お巡りさん……
実は、手術したばかりでして……」 

「手術?どこのですか?」 

「オッパイ取りました」 



「は??」




ちなみに、この頃の私は少しずつヒゲが生えだしてきた頃である。 




「傷口が痛くて…すみません。
ちゃんとわかってたんですけど…」 




と、ここでおもむろにシャツをまくりあげて、まだ所々内出血が残る患部を見せた。 



「ここがすれて痛くて…」 



「あぁ!!わかりました
大丈夫です大丈夫です」 




何が「大丈夫」なのかよくわからないが、お巡りさんはシートベルトの事はそれ以上は何も言わなかった。 



その後、免許証を提示した。 


当時はまだ更新前だったので、表は女性名で裏に変更事項として改名した男性名が記載されている状態だった。 

お巡りさんは何度も免許証を裏表を確認して、私の顔見てうなずいていた。 




そして、無事通過



あぁ、良かった




話のわかる?お巡りさんで良かった。 


 

でも、言い訳ではないが、普段私はちゃんとシートベルト着用している。



本当にあの時はビリビリ痛くて…





あの時のお巡りさんを裏切らないように、これからもルールを守って安心運転を心がけようと未だに思っている。






……その前に車欲しいなぁ…