私には2つ違いの弟がいる。

2人兄弟だ。 

いろいろな事があったせいで兄弟仲は良い。

ひとりっ子に憧れた時もあったけど、今現在は



兄弟がいて良かった


と、思っている。


でも、実はウチは「三兄弟」だったのだ。

本当なら「3番目の兄弟」がいた筈だった。










それは先日の夜勤の時の事だった。





私はいつも早めに出勤する。

早めに出勤して、職場の休憩所でのんびりとしているのだ。

その日もお気に入りの少し奥まった所にある休憩所で長椅子に横になって、始業までの時間をゆっくりしていた。

ここは死角にもなっているので、夜勤前の時間なら横になっていられるのだった。


すると、急激に眠気が襲ってきた。


少し寝ようか。


と、スマホのアラームをセットして目を閉じた。


ウトウトとし始めると、不意に次々とあるイメージが浮かび出した。



なんだ?
これ……。


それは懐かしい場所だった。

生まれて幼稚園に入る年齢になるまで住んでいた「自宅」だった。



懐かしい。



でも、なんだか寂しくもあった。



亡くなった母がいる。



母は当時の容姿で若かった。


母は


母は妊娠していた。





ズシッ!





うっ!




その瞬間、ひたいに、俗に言う「サードアイ」がある辺りに濡れたクッションを乗せられた様な重さがかかった!




重い!




おまけに目も開かない。

軽い金縛りの様だ。



なんだ?

一体何なんだ?



相変わらず頭にイメージは入って来る。




懐かしい自宅

妊娠している母






あ!

急に記憶が蘇る。



私には3番目の兄弟がいた。
弟の2つ下くらいにいたはずだった。



しかし、3人目は生まれなかった。


母が流産してしまったのだ。




お前か?

なんの根拠もないが、私は心の中で語りかけた。


すると、ひたいの重さがフゥとなくなった。



そして感じる。



すぐ近くに明るい光のエネルギー体の様な者がいる。

なんだか恥ずかしそうにモジモジとしている感じだった。

多分「見える人」ならば姿がハッキリと見えるのかも知れないが、私は残念ながら「見える」事は出来なかった。



だが、感じる。


確かにいる。



イメージが頭に入ってくる。




「ワカル?」


「どうした?
オカンはそっちに行ったのだが会ったか?」




それについては何も言わない。




「オカンはお前を気にしていたぞ。
恨んでいるなら許して欲しい。」




「チガウ」




何か言いたそうだが、言いにくそうだった。

不意にイメージが入ってきた。




明るい光。





あ!


あぁ…そうか、そうなんだ…





「生まれ変わるのか?」




ちょっと戸惑っていた様だが否定はしなかった。




「良かったじゃないか!!」




私の言葉を黙って聞いている。

私は思い切って言葉を続けた。


「ハッキリ言って、家は毒親だった。
わしらより幸せになって欲しい!!」


フワッと暖かい空気を感じた。

「優しくて、お前を尊重してくれて、適度に厳しくて…それから絶対!貧乏よりお金持ちが良いぞ!」




フフフ照れ





と、笑った気がした。




「そんな両親の元で思いっきり自由に生きさせてもらえ!!」





「アリガトウ」





「こっちこそありがとう。
来てくれてありがとう」



すると、光のエネルギー体はスゥッと浮き上がり、高く高く遠ざかって行った。















ゆっくりと目を開けて深呼吸をした。







心地良い疲労感と何とも言えない爽快感。

身体が軽くなった様に感じながら、水をたくさん飲んだ。





来てくれたんだ…。

思いがけない来客に胸がいっぱいだった。




すぐに弟にLINEを送った。





「突然だが、3番目の兄弟が来た。
どうやら生まれ変わるらしい。

わしらの分も幸せになって欲しい

と伝えた。
お前も少しでいいから祈ってやってほしい」





弟から直ぐに返信がきた。




「わかり申した」


弟らしい短い返信だった。













何の根拠もないが、私はあの来訪者が「末弟」だと確信している。



もし三兄弟だったらどうだったのかな?



と、思う事はあったけど、実際にコンタクトしたのは初めてだった。

全ては頭の中に流れたイメージだったけど


「末弟」は成人の姿だった。


もしかしたら、意外に近くに居て、その姿を成長させていたのかも知れない。



そうだとしたら

気づいてあげられなくてごめん。




なのに最後に会いに来てくれてありがとう。



「初めまして」でお別れだったけど嬉しかったよ。


でも、お互いに



「さようなら」



は言っていないから、またどこかで会えるね


きっと会えるね。





とても嬉しい出来事でした。