乳房切除手術を受けて、1泊の入院をして帰宅した私は上着も脱がずにグッスリ寝てしまいました。
目を覚ますともう夕方でした。
午前中に帰宅したので、かなりグッスリ寝てしまいました。
私は起き上がろうとしました。
が、胸にはガッチリと防弾チョッキかはたまた野球のキャッチャーの様にサポーターが巻かれていました。
平らな胸にするためにはこのサポーターは不可欠なのです。
明後日の受診までは取っては駄目と言われてました。
お風呂もお預けです。
痛みは思っていたよりもずっと楽でした。
が、想像していた痛みとは違いました。
どんな感じかといいますと、ビリビリする痛みでした。
乳腺とその周りの神経組織を剥がし取った訳ですから当然と言えば当然です。
それはまるで、急激に日焼けした肌をヘチマでこする様な痛みでした。
でも、じっとしていれば大丈夫でした。
それよりももう勘弁してほしかったのはサポーターです!
とにかく苦しいのです。
私は寝てばかりいても駄目だと起き上がろうとしました。
息苦しいのと動くと痛い事もあり、中々起き上がれません。
あい変わらずひっくり返った亀でした。
動く度に息が詰まりそうになります。
ガッチリと巻かれたサポーターがとにかく息苦しいのです。
「もうゴメンだ!」
思わず口から出た言葉でした。
やっとの思いで起き上がり、座椅子にもたれかかって座り込みボーッとしていました。
本当に何も考えず、ボーッとしていました。
どれくらい経ったのでしょうか…。
もう外が真っ暗になり、私もようやく「電気でもつけるか…。」と思った頃に当時同居していた弟が帰って来ました。
「大丈夫か?」
ただいま、と弟が顔を見せました。
「何もしていない。痛みは大丈夫だが、苦しくてかなわん」
お帰り、と私はサポーターを見せて答えました。
「おぉ!!スゴいな!!」
弟は予想以上のリアクションをしました。
その様子に「?」と思った私は自分の腹部を見て驚きました。
なんと腹部が内出血で紫色のカエル腹になっていました!
なんじゃ、こりゃ!?
多分、胸の手術後の止まっていない出血がお腹に溜まっていたのでしょうか。
ジタバタしても仕方がないので私は見なかった事にしました。
「まぁ、しょうがない。それよりも苦しい。」
「そうか、大変だな…。ところで飯は食べたか?」
弟に言われて、朝、退院の時に朝ごはんを食べただけだと思い出しました。
しかも地獄の処置の後で、果物と野菜ジュースなどのど越しの良いものしか食べれませんでした。
それでもサポーターのせいか空腹は感じませんでした。
「いや、食べてない。あまり腹も減らないし、とにかく息苦しいんだ」
「でも、何か食べないとまずいだろう。キズも早く治らんとルパンもカリオストロの城で言っていた!」
と、オタクネタを混ぜながら、残念な弟は珍しく正論を言いました。
そうだな、薬も飲めないしな…。
「大丈夫だ!問題ない!」
と弟は台所に消えていきました。
この時、半年前に卵巣ガンで母親が亡くなり、我々兄弟は各自で自炊する事が多くなっていましたが、チャーハンやうどんなど簡単なものばかりでした。
簡単なものでも今の私にはありがたかったです。
しばらくして弟が持ってきた物に私は仰天しました。
それはラーメンどんぶりに山盛りに入ったパスタでした。
「少しやわらかめに作った」
誇らしげに残念な弟は山盛りパスタを置きました。
そういう問題じゃない、多すぎる…。
息をするのも苦しいのに…。
お腹の内出血を見て少なからずショックを受けているのに…。
私は茫然としながらもパスタをいただく事にしました。
それは予想を裏切る事なく、茹でたパスタに市販のナポリタンソースがかかっているだけの物凄い男料理でした。
しかし、美味しかったです!
弟が自発的に夕食を用意してくれた事など、後にも先にも今のところこの時だけでした。
おそらく、弟なりに心配してくれていたのでしょう。
パスタは私の大好物です。
何だか嬉しくて、山盛りパスタを私はたいらげてしまいました。
あんなに予想通りの味気ないナポリタンパスタでしたが、あの時は最高の美味しい夕食であった事は間違いありませんでした。
あの美味しさは生涯忘れる事のない私だけの味でしょう。
残念な弟よ!ありがとう!!
あの時の事は感謝している。
息苦しくて辛かったあの日は、それでも何だかとても嬉しい1日でした。
しかし、この時の私は自分せいでまさかの事態になること等は夢にも思っていませんでした。
「おっぱい、バイバイ! ~さよならと弟の会心の一撃~」に続きます。
また、読んでいただけたら嬉しいです。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20180516/13/sakurahappy3901/f2/1a/j/o0260019414192055480.jpg?caw=800)
目を覚ますともう夕方でした。
午前中に帰宅したので、かなりグッスリ寝てしまいました。
私は起き上がろうとしました。
が、胸にはガッチリと防弾チョッキかはたまた野球のキャッチャーの様にサポーターが巻かれていました。
平らな胸にするためにはこのサポーターは不可欠なのです。
明後日の受診までは取っては駄目と言われてました。
お風呂もお預けです。
痛みは思っていたよりもずっと楽でした。
が、想像していた痛みとは違いました。
どんな感じかといいますと、ビリビリする痛みでした。
乳腺とその周りの神経組織を剥がし取った訳ですから当然と言えば当然です。
それはまるで、急激に日焼けした肌をヘチマでこする様な痛みでした。
でも、じっとしていれば大丈夫でした。
それよりももう勘弁してほしかったのはサポーターです!
とにかく苦しいのです。
私は寝てばかりいても駄目だと起き上がろうとしました。
息苦しいのと動くと痛い事もあり、中々起き上がれません。
あい変わらずひっくり返った亀でした。
動く度に息が詰まりそうになります。
ガッチリと巻かれたサポーターがとにかく息苦しいのです。
「もうゴメンだ!」
思わず口から出た言葉でした。
やっとの思いで起き上がり、座椅子にもたれかかって座り込みボーッとしていました。
本当に何も考えず、ボーッとしていました。
どれくらい経ったのでしょうか…。
もう外が真っ暗になり、私もようやく「電気でもつけるか…。」と思った頃に当時同居していた弟が帰って来ました。
「大丈夫か?」
ただいま、と弟が顔を見せました。
「何もしていない。痛みは大丈夫だが、苦しくてかなわん」
お帰り、と私はサポーターを見せて答えました。
「おぉ!!スゴいな!!」
弟は予想以上のリアクションをしました。
その様子に「?」と思った私は自分の腹部を見て驚きました。
なんと腹部が内出血で紫色のカエル腹になっていました!
なんじゃ、こりゃ!?
多分、胸の手術後の止まっていない出血がお腹に溜まっていたのでしょうか。
ジタバタしても仕方がないので私は見なかった事にしました。
「まぁ、しょうがない。それよりも苦しい。」
「そうか、大変だな…。ところで飯は食べたか?」
弟に言われて、朝、退院の時に朝ごはんを食べただけだと思い出しました。
しかも地獄の処置の後で、果物と野菜ジュースなどのど越しの良いものしか食べれませんでした。
それでもサポーターのせいか空腹は感じませんでした。
「いや、食べてない。あまり腹も減らないし、とにかく息苦しいんだ」
「でも、何か食べないとまずいだろう。キズも早く治らんとルパンもカリオストロの城で言っていた!」
と、オタクネタを混ぜながら、残念な弟は珍しく正論を言いました。
そうだな、薬も飲めないしな…。
「大丈夫だ!問題ない!」
と弟は台所に消えていきました。
この時、半年前に卵巣ガンで母親が亡くなり、我々兄弟は各自で自炊する事が多くなっていましたが、チャーハンやうどんなど簡単なものばかりでした。
簡単なものでも今の私にはありがたかったです。
しばらくして弟が持ってきた物に私は仰天しました。
それはラーメンどんぶりに山盛りに入ったパスタでした。
「少しやわらかめに作った」
誇らしげに残念な弟は山盛りパスタを置きました。
そういう問題じゃない、多すぎる…。
息をするのも苦しいのに…。
お腹の内出血を見て少なからずショックを受けているのに…。
私は茫然としながらもパスタをいただく事にしました。
それは予想を裏切る事なく、茹でたパスタに市販のナポリタンソースがかかっているだけの物凄い男料理でした。
しかし、美味しかったです!
弟が自発的に夕食を用意してくれた事など、後にも先にも今のところこの時だけでした。
おそらく、弟なりに心配してくれていたのでしょう。
パスタは私の大好物です。
何だか嬉しくて、山盛りパスタを私はたいらげてしまいました。
あんなに予想通りの味気ないナポリタンパスタでしたが、あの時は最高の美味しい夕食であった事は間違いありませんでした。
あの美味しさは生涯忘れる事のない私だけの味でしょう。
残念な弟よ!ありがとう!!
あの時の事は感謝している。
息苦しくて辛かったあの日は、それでも何だかとても嬉しい1日でした。
しかし、この時の私は自分せいでまさかの事態になること等は夢にも思っていませんでした。
「おっぱい、バイバイ! ~さよならと弟の会心の一撃~」に続きます。
また、読んでいただけたら嬉しいです。
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