ホルモン治療をすると体に変化が起こり始めます。



もちろん個人差があります。



どんな変化が起きるかと言いますと、

・生理がなくなる
・声が低くなる
・体毛の増加(ヒゲも生えます)
・筋肉質な体系になる

…などです。


これもまた個人差がありますが、生理は1ヶ月で止まりました。

以来、1度もありません。



声は私の場合、30歳を過ぎてから治療を開始したせいか「声変わり」と言うよりは「低くなった」という感じです。

結果、歌を歌う時高音が出なくなりました。

大好きだったカラオケに行っても、高音が出ないのでストレス解消の為に行っている筈が、逆にストレスを感じるようになってしまいました。

副作用…かも知れませんが、自分で望んだ結果だし、男性化する事への代償だと思えば納得はしています。

しかし、自分の望む姿になる為に歌声を無くすなんて、まるで「人魚姫」(そんなかわいらしいビジュアルではないけど)みたいだとおかしくなってしまいました。



また、一般的な副作用としては

・肝機能障害
・頭髪の減少
・ニキビ
・高脂血症
・体重の増加

等です。


ざっくり言ってしまいますと、男性ホルモンを人口的に投入する事によって「二次成長期」を起こす訳です。

なので、食欲も増えますし、ニキビも出来ます。


ですが、年相応に起こる自然な変化なら体も対応してくれるのでしょうが、私のように年を重ねてからの変化だともう体も中々対応してくれないのです。
基礎代謝は実年齢相応なのです!

なので、欲するままの食欲で食べ続けるとみるみる太ります。

太ればホルモン投与によって負担をかけている肝機能に更に負担をかける結果になります。

私はホルモン治療を開始するにあたってこの「太る」ということに一番の警戒しました。

と、いうのも子供の頃からずっとデブだったからです。

それがたまたま始めた「ビリーズ・ブートキャンプ」にハマり、ビリー隊長の元、12Kgの減量に成功しまして痩せました。

この体格を戻したくない!!

と、食欲は警戒したので大丈夫でしたが、初期の副作用で1番悩まされたのは「ニキビ」でした。



体には出来なかったのですが、頬に出来たニキビが酷くなってしまい、皮膚科に受診したくらいです。



まさにノーマーク、完全なる伏兵でした。




ホルモンの副作用ですから、ホルモンをやめれば良いのでしょうが、そういう訳には行きません




皮膚科の先生には事情を全て話していました。

先生は軽減するようにといろいろ考えてくれましたが、飲み薬、塗り薬、どれも効果は今一つでした。

ニキビは赤く腫れ、白く化膿し、痛痒く、頬に拡がっていました。



そんなある日、塗り薬が切れてしまった私はたまたま家にあったベビーパウダーをつけました。


なにもやらないよりは良いだろう…そんな気持ちでした。



すると信じられない事が起こりました。




なんと、赤く腫れグジュグジュと化膿していたニキビの腫れがひき始めたのです!

グジュグジュとしていたのもドライになりだし、痛痒さも治まっていき、1週間ほどで楽になりました。




か、神の粉だ!!!


何をやってもダメだったのに…。





それからお風呂あがりには欠かさずベビーパウダーを使いました。

すると、アッという間に綺麗に治ってしまいました。


生え始めたヒゲ剃りのカミソリ負けも解消出来てしまいました。




素晴らしい!!

ありがとう!ベビーパウダー!!!




最近は治療を始めて10年も経過しているのでベビーパウダーのお世話になることはなくなりましたが、家には常備してある事はいうまでもありません。


それからニキビも悪化することはなくなりました。




でも、今、こうして思い起こすと「頭髪減少」が強く出なくて良かったです。
(当初は抜け毛が増えた気がして焦りましたが、一時的なものだったようです。)


今は全体的に安定しています。



それでもこの10年、3か月に1度の割合で血液検査と尿検査は欠かさず受けながらホルモン治療は継続しています。

これはホルモン治療を続けていく限り、一生避けて通れません。


こうして考えていくと、当事者のなかには「性同一性障害」の「障害」という表現を嫌がる人も少なくないと聞きますが、私はやっぱり「障害」以外の何物でもないと思ってしまうのです。


誰も好き好んで2週間に1度クリニック通いする生活なんてしたくないよーと思いつつ、今週もホルモン注射を受けて安心する私なのでした。