今、多くの物件で、空室がなかなか
埋まらなくなってきていますが、
その状況をつくっている一つの原因は
地主さんが相続税対策として
需要の少ないエリアにもどんどん
新築アパートを建ててしまっていること
にある、と言われています。
新築アパートと簡単に言っても
現金で建てられる人は
そうそういないわけで
地主さんとはいえ、融資が必要に
なってきます。
そして昨今では、金融庁の厳しいお達し
のおかげで、各金融機関の融資姿勢が
厳しくならざるを得ず、
甘い担保評価で多額のお金を貸すことが
できにくい状況です。
そんな時、好都合で流行っているのが
「サブリース」。
サブリースというのは、
管理会社がその物件を一括で借り上げる
方式で、空室がいくらあっても
それを埋めるために毎回毎回
仲介手数料や広告料を支払わなくて済む
とてもありがたい契約形態です。
その代わり、オーナーは満室家賃の
80%とか85%程度の家賃しか
受け取れないようになります。
つまり、残りの15%から20%が
管理会社の取り分で、
いざ空室が出たという時には
この取り分から拠出して埋めてくれる
いわば保険料を払っているようなもの
ですね。
いつでも満室にできる物件ならば
オーナーの方が損をするし、
なかなか空室が埋まらない物件であれば
オーナーは何もせずとも家賃が入ってくる
のでラク、という見方もできます。
それよりも、収支にそれほど敏感でない
地主系・相続税対策の大家さんは
節税ができることに魅力を感じます。
そして、金融機関も
「サブリース」なら収入が確保される
地主だから土地も担保に取れる
ということで、実際の賃貸需要は
二の次にして、
積極的に融資をしてしまうようです。
国土交通省が発表した
2016年のアパート全着工数
42万7,275戸のうち、
全国賃貸住宅新聞が調べた
サブリース系建築会社の販売数は
18万3,525戸にのぼり、
その比率はなんと、約40%。
いかにサブリースの物件が
金融機関の目から見て融資しやすく
販売会社の目から見て儲かるか
ということを象徴しているようです。
あまり知識のないオーナーさんは
ラクに収入が得られると思って
気軽に手を出しやすい案件ですね。
しかし現在、サブリース契約の多くは
当初設定した家賃を下げざるを得ず、
実収入が大幅に減ってしまう
というトラブルに見舞われています。
満室時の80%家賃を保証してくれても
満室家賃自体が80%になってしまえば
得られる収入は当初の64%になる
ということですね。
こういう物件を購入してしまうと
返済比率がぐっと上がり、
全く手残りがない状態、もしくは
持ち出しになるリスクさえあります。
ですので、新築もしくは築浅の物件は
とても魅力がありますが、
収入(利回り)計算がきちんと
相場家賃で計算されているのか
賃貸需要はちゃんとあるのか
満室が見込めるのか
ということを意識しておくことが
大切ですね。
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