重度障害者の次男はグループホームで10人で生活しています。

 

朝6時、職員さんが間違えて他の方(Aさんとします)の薬を飲ませてしまいました。

 

後で聞いた話だと、スタッフ1人体制で、薬箱から持って来たときに既に間違えており、飲ませる時にも気づかなかったそうです。次男はてんかんの薬を「顆粒と錠剤1個」を飲んでいますが、よりによって誤薬したのは、一番症状の重いAさんの精神系の薬「5種類を5錠」。Aさんの薬は12錠なんですが、途中で「あれ?この子はこんなに量多かったかな?」と気づいた時には、既に半分の5錠を飲ませていたそうです。

 

そして、慌てて次男の本来の薬(てんかんの薬2種類)を飲ませました。

 

後で医師に指摘されたのは

★医師コメント

「第一に、他人の薬を取り違えることはあってはならない。大きなミスである」

「第二に、薬を飲ませる時に、名前を確認しなかったのもミスである」

「第三に、他人の薬を飲ませた後に、自己判断で本人の薬をプラスしたのも危険であった」

 

結果から言えば、Aさんの薬は、次男の持病に悪影響はなく、次男のてんかんの薬との飲み合わせも悪くなかったので、大事には至りませんでした。

 

ですが、血圧の低い人に血圧を下げる薬を飲ませてはいけないように、もし次男の発作を誘発するものだったり、鎮静が効き過ぎて自発呼吸が止まったりしていたら、命の危険がありました。

 

また、どんな作用か分からない5錠を飲ませた後に、医師に確認もせず、自己判断で本人の薬を飲ませたことも怖かったです。もし飲み合わせが悪くて発作や呼吸停止などになっていたら…それも命の危険がありました。

 

飲ませた職員は現場で1人体制だったため、電話で管理者に指示を仰いだところ、薬を飲ませた直後は意識がありましたし、「様子を見るように」と言われたそうです。

 

とは言ってもずっと見ていられる訳もなく、朝の忙しい時間帯で他の利用者さんの食事と作業所への送り出しに大忙し。ふと気づいた時には、次男は眠っていたそうです。

 

★医師コメント

「素人が様子見はあり得ない。すぐに救急車を呼ぶべきだった」

「気づいたら寝ていただなんて!よく見てなさい!」

 

素人が様子見したって、何も判断できません。それどころか、きっと放置されていたのだと思います。「ふと気づいたら寝ていた」だなんて!「気づいたら死んでいた」じゃなくて本当に良かった。運が悪ければそうなっていた可能性も否めません。

 

全然起きる気配はないし、様子見と言っても心配になった現場職員は、9時になって薬局に電話し、「すぐに医師に電話するように」と言われ、GHと提携している往診医に電話したところ「個人の薬のことは分かりかねるからかかりつけ医に電話するように」と言われ、かかりつけ医がどこか知らないし、私に「かかりつけ医に電話してくれますか?」と電話してきました。それが10時でした。

 

★医師コメント

「4時間も何もせず様子見なんてあり得ません!」

 

私は電話で「他の人の薬を飲ませてしまって」と聞いた時に、1錠か2錠くらいかな?と思ったんです。一度に12錠も飲む人がいるとは想像できなかったから。現場職員に焦っている様子もないから、「訪問看護師を呼んでください」と言ったら「訪問看護ですか?」と反応悪かったので「うちは訪問看護師と契約しています。ご存知ですよね?そちらに緊急連絡先を教えてありますが、分かりませんか?」「分かりません」というので、これは悪い予感がして、訪問看護の電話番号を教えました。同時に私から訪問看護スタッフのグループLINEに概要いれました。

 

それから訪問看護師がGHへ到着。Aさんのお薬手帳を見たところ、かなり強い薬であり、次男をつねったり叩いたり痛み刺激を与えても全然起きないので、これは昏睡していると判断。救急車を手配しました。

 

次男は水頭症とてんかんの持病があるので、なるべくかかりつけ医(大学病院)で受け入れてくれるのがベスト。それがダメなら近い病院へ。コロナ禍で受け入れ先を見つけるのは難しいかもしれないと思っていましたが、かかりつけ医に搬送が決まりました。そして事情を汲んでドクターカーが出動してくれました。

 

★救急隊員と医師コメント

「6時に誤薬して救急車を呼んだのが12時ってどういうことですか!すぐに呼びなさい!」

 

この時点でも怒られたそうです。やはり誤薬をしたら即救急車なのですね!

 

訪問看護師さんは次の患者の所へ行かなければならないのでGHで終了。救急車にはGH職員が同乗。点滴をしながら大学病院へ向かいました。

 

 

私は病院で合流し、事情を聞き、ずっと次男に付き添いました。声をかけても、つねっても、1時間経っても起きません。

GH職員「こんな風にいびきかいて良く寝ていたので、いつもと同じようによく寝ていると思ってたんです」

 

★看護婦コメント

「いびきはよく寝ている合図ではありません!舌が落ちて、そこを通るときの単なる音です。いびきをかいてるからって油断しないでください」

 

★医師コメント

「血液検査をしたところ、悪い数値はなく、臓器などに影響はありません」

「飲んだ薬は次男君の病気や体に悪影響を及ぼすものはありません」

「Aさんの薬と次男君の薬の飲み合わせは悪くなかったので大丈夫です」

「誤薬に気づいたら、それ以上の薬を飲ませる前に医師の判断を仰いでください。勝手に飲ませないでください」

「今は寝ているだけなので、もう帰っていいです」

 

寝てるけど帰っていいんだ!ていうか、意識が戻らなくても帰されちゃうんだ!

 

看護師「なるべく水をたくさん飲ませてください。そうすれば尿で排出されるので。ですが意識がないうちは危ないので、意識が戻ってからにしてくださいね。この点滴のおかげで500mlの水分が体内に入ったので、一安心ではあります。点滴したのは訪問看護師ですか?適切な処置をしてくれて良かったですね」

 

うるうる。訪問看護師呼んで良かったです~。ありがとうございます~。(後で聞いたらドクターカーが来て処置してくれたそうです)

 

車椅子に座らせて自家用車で帰ろうとしたのですが、看護師に止められました。

 

「このように意識がない方は、車椅子に乗れません。ダラーっとするし首もカクっとなって危険です。車に乗せる時と下ろす時に怪我する恐れもあります。ストレッチャーかリクライニング車椅子で運ぶ必要があります。介護タクシーを呼びましょう」

 

電話帳を見せてもらうと沢山あります。良く分からないので近くの住所の事務所に上からかけて、二件目でつかまりました。ストレッチャー代2000円、担架2000円、階段1000円、介助、運賃で、計6000円でした。次男の体重が軽かったので、一人の介護者が布担架にくるんでふん!と持ち上げてくれましたが、2人掛かりだと増員代がプラスされます。病院から家は近かったのでこの値段で済んだと思います。(障害者割引適用)介護者は病院のベッドまで迎えに来てくれ、自宅のベッドに下ろすところまでやってくれました。

 

自宅ベッドに下ろしたときに、少し発語があり、意識を取り戻しましたが、ほんの数分で寝てしまいました。心配だったので添い寝しました。

 

それからずっと熟睡し、起きたのは翌朝6時。なんと24時間こんこんと眠り続けました。

 

本人のてんかんの薬は当日夜は飲めませんでしたが、翌日朝に飲めました。

 

ほんと、生きた心地がしなかった1日でした。

 

(追伸)

・この件は市に報告し、GHに調査が入りました。

・上記の「医師コメント」にある問題点を管理者に伝えました。

・親は「緊急連絡先」を大文字で書いて個室に貼りました。