鏡見武蔵が四天宝寺中に転校してきたようです。
「今日から俺も四天宝寺生か。 …しかしすごい門構えだな・・・」
「お~来たな武蔵、こっちやこっち~!」
「金太郎! おはよう、今日から改めてよろしくなっ」
「さっそくやけど、武蔵は何見せてくれるん? ま、あんま期待しとらんけどなぁ~」
「…見せる?なにを??」
「アレ、聞いてへんのん?ここ四天宝寺中の校門は別名・”掴みの正門”言うてなぁ。朝一番の笑い処や。
早い話がオモロイことしながら通れゆーことやな」
「その通りや。ただ歩いて通過しようものなら、うちに対する侮辱行為とみなされかねん。
それが転校生の鏡見はんといえど例外はないで」
「ちなみにそこに立っとるセンセが判定員な。
お、今日は”聖(セイント)おっさん”やな。 ラッキーやったな~鏡見、甘い判定もらえんで!」
「甘いもなにも…そんなネタとか、全ッ然用意してねーし」
「あーあーこれやからトーシロは。どないする?くれてやりたくても、俺今日ネタ打ち止めやで」
「しゃあないわぁ、ネタ無しに正門くぐれへんからなぁ・・・
こうなったら師範の波動球40式あたりで、下駄箱までイッキに吹っ飛ばしてもらうしか…」
「死ぬだろそれは!!」
「なんやお前ら、ガン首揃えて。 お、鏡見はいよいよ今日からやな。よろしゅう」
「おー白石。 いやなぁ鏡見のヤツ、なんもネタ考えてきてへんちゅうから俺ら困ってたんや」
「何ィ?だからあれほど昨日のメールで、女子の制服着て来ぉ言うたやん!」
「(あれはそういう意図があったのか・・・) 用意できるワケないだろ!あっても着るか!」
「クッ、もう悩んどる時間もあらへんな…。 よっしゃ特攻むで鏡見、”ショートコント・プロポーズ”!」
「えっ?な、……(始まっちゃうのか!?)」
「いや~鏡見くん。僕らも中学3年生ということで、そろそろ考えておかなきゃいけませんよね。結婚」
「早くね!?どんだけ自立してんだよ!」
「でも今から考えておくべきだと思いますけどねぇ。鏡見くんはどうするの?プロポーズの言葉」
「え、ええっ?・・・そりゃやっぱりストレートに男らしく、…お、『お前が好きだ。結婚しよう』…かな」
「嬉しい!お墓は国産黒御影石の比翼塚で、塔婆立てと手水鉢もつけようね!」
「ちょ、ちょっ、お前じゃねえよ!抱きつくな!! しかもここで墓の建立方法の希望出す!?」
「まあオーソドックスで悪くないですけど、個性がないよね。一生に一度なのにそれじゃあ思い出に残りませんよ」
「じゃあどんなのがいいんだよ」
「職業毎のプロポーズ方法があってもいいと思うんですよ。例えば薬剤師の人」
「ほー、やってみようか」
「鏡見さん。僕は薬剤師として様々な薬を調剤してきましたが…ついぞ作り出すことはできなかった。この熱を下げる薬を…ね。
でももう一生治らなくていい。結婚しよう」
「!白石さん、わたし……」
「今夜からはベッドで僕らの下半身の調合で子供をつくろう」
「白石さ…………っておい!! 今前半すごい良かったのに、なんで最後下ネタ持ってった!?
なんだよ下半身の調合って!」
「僕のお父さんの話なんですけどね」
「お前のお父さんどうなん!? しかも息子に知られてるとか、かわいそうだろ!」
「そこで産まれたのが僕な訳ですよ。ちなみにあと二人います。
こんな感じでどう?鏡見くんも。やっぱりプロテニスプレイヤーかな?」
「知らねえよもう。 そーですねぇ、それじゃあやっぱり・・・
『俺の愛のスマッシュを受け止められるのは君しかいない。一生涯のダブルスパートナーになって欲しい……結婚しよう』 かな」
「ベタだな(笑)」
「ベタだよな(笑)」
「…」
「…」
「…今夜は下半身でグラウンドストローク!!!」 (がばあっ)
「だからお前じゃないって、…うわーーーーーーー!!!!」
「どーも、ありがとうございました~」
「ふぅ~、時間無くて練れんかったのが心残りやけど・・・なんとか切り抜けられたな。やったな鏡見!」
「…やったな!、じゃねーだろ・・・。 お前、今、ホントに……」 (怒)
「いやいやいや、急造やししゃーないやろ。コッチ系のネタは大爆発はしないものの、そこそこの笑いが取れるんねんて!実際イケたしな!」
「二人ともやるなぁ~ワイ、見なおしたで!!」
「蔵リン・かがみんペアったら、一発目からかましてくれるじゃないの。でもアタシ達とネタ被ってるわよっ!」
「そやそやパクんなや~ ま、僕と小春のが笑い的にも見た目的にも勝ってるけどなぁ~」
「フッ、パクろうが何やろうが知ったことか。世の中笑かしたもん勝ちやで!」
「……笑うっちゅーか…。白石と鏡見でやられると、シャレんなっとらん気ィするわ…」
「…うむ。今ので明らかに周りの空気が変わったな…」
「(あと1ヵ月はこのネタ引っ張れるな。バリエーション豊かにして…。 何といってもこれで鏡見とチューできるし、我ながら完璧な作戦やで」
「部長、脳内妄想ダダ洩れてまっせ」
「………俺、本当にここでやっていけるのか…?」