これは何とも辛い作品でした。

 

6歳の娘美羽が、近所の公園から帰宅途中に失踪して3か月、父豊と母沙織里は、ビラ配りをしたり、地元テレビ局の取材を受けたりと手を尽くしますが、手掛かりは見つからないまま辛い日々を過ごしています。その時弟圭吾に娘を預けてライブに行っていたことが知れて、ネットで誹謗中傷の対象になり沙織里はさらに辛い日々を送ることに。

 

「シネマナビ!」を読んで、「The TRAD」で石原さとみさんがゲストに聞いた回を聴いて、ある程度覚悟して臨んだのですが、幼い子が失踪した親の悲しみが痛かった。特に母親の沙織里は、自分がライブに行っている間の出来事だったという後悔に、半狂乱になって夫や最後に一緒だった弟に感情をぶつける姿が悲しすぎました。

 

ネットでの匿名の誹謗中傷、地方テレビ局での事件の扱い方、そうしたことの理不尽さに改めて気づかされた作品でもあります。こうしたことについては、最後に少しだけ希望のかけらが見えてきたように思いました。

 

石橋さとみさん、渾身の演技でした。The TRADでの吾郎店長の「芝居の前後を感じさせてくれる演技だった」という言葉を思い浮かべながら観ていました。石橋凌さんがゲストでいらしたときに、松田優作さんから演技について教えていただいたというエピソードも思い出しました。映画での俳優さんの演技には奥深いものがあるのだなあと改めて感じました。

 

 

シネマナビ!で印象に残った一言:

「とにかく、石原さとみさんの熱量に圧倒されました。同業者としても想像つかないぐらい、すごかった。一人の熱源だけだと空回りすることってあるけれど、この作品は彼女の熱を、監督や共演者やスタッフが先生な作業でまとめ上げている。」

The TRADでの石原さんとのお話を聞いて、答え合わせができたように勝手に感じた一言でした。

 

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