「卒業しない」というタイトルと予告編を見て予想していたのとは、ずいぶん違うテイストの作品でした。
校舎の取り壊しが決まり最後の卒業式を迎える地方の高校で、4人の少女たちを中心に卒業式までの2日間を描いた物語。料理部で卒業生代表として答辞を読むことになったまなみ、軽音部の部長で卒業式後の部員たちのパフォーマンスに問題を抱える杏子、クラスになじめず図書館が居場所だった詩織、そして地元に残る彼とは別に東京の大学への進学を決めたバスケットボール部の由貴。
それぞれの少女たちの物語がバラバラに紡がれていくのだけれど、不思議な調和感があって作品世界に惹きこまれました。人生に一度しかないみずみずしい日々。思い出は人それぞれだと思うけれど、その時をきっと誰もが懐かしく思い出せる作品ではないかと思います。実は私の通った高校では卒業式がなかったので、巣立つ日に数々のイベントがある彼ら少し羨ましくも感じました。それでも未だに覚えている忘れがたい日ではあるのですが。
まなみを演じた河合由実さんが、透明感があってとても良かった。ネタバレになるから書けないけれど、後半に繋がる細やかな演技が素晴らしいと思いました。詩織が慕う先生を演じた藤原季節くんも今まであまりない役柄で、演技の幅広さを感じました。
シネマナビ!で印象に残った一言:
「全体的にあざとくなく、なにかすごく上品に見えました。それは監督のセンスなんでしょうね。」
吾郎さんが気になるという中川監督との対談が今度のインテリゴロウで実現したのですよね。どんなお話が聞けるか楽しみです。
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