山登りで転落死した男の事件を捜査している刑事ヘジュンは、死んだ男の妻ソレに疑いを抱き密かに調査を始めますが、中国人で韓国にやってきた謎めいた彼女に次第に惹かれていくようになります。一方ソレの方もまたヘジュンに特別な思いを抱き始め…

 

 

最初の事件が落着した後に、より複雑な展開が待っていて、最後まで目が離せませんでした。刑事と容疑者の恋という設定はよくあるけれど、この二人の関係は特別。惹かれあっていることは確かなのに言葉には出さない。相手を思いやってしたはずの行動が、却ってその相手を追い詰めていく。そんな緊迫感がありました。

 

ソレが韓国語では自分の感情を表現しきれない時に、中国語で話してスマフォの翻訳アプリを使うのも、興味深かった。気持ちをストレートに表現しないというかできないもどかしさが、より感じられた。韓国語がわからない自分には十分流ちょうに思えるのだけれど、韓国語を母国語とする人々にはどう聞こえるのだろうかとか、翻訳アプリって今そんなに優秀なのだろうかとか、つい余計なことも考えてしまったけれど。

 

ソレを演じたタン・ウェイは『ラスト、コーション』で鮮烈な登場をされた方だったのですね。強さと儚さを兼ね備えた佇まいが魅力的でした。ヘジュン役のパク・ヘイルは時に鋭く時に切なさを漂わせる目が印象的でした。二人を見ていて、これを日本を舞台にするならちょっと前の佐々木蔵之介さんと安達祐実さんで見てみたい、などと思ってしまいました。雑念だらけですみません💦でも見ごたえのある作品だったことは確かです。

 

 

シネマナビ!で印象に残った一言:

「愛を語らない二人のロマンス。彼ら自身が迷路にはまりこんでいるんですよね。」

作品のキャッチコピーにできそうな吾郎さんの一言、いつもながらその表現力に脱帽です。

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anan編集部