前回のお話








-A side-








しょうちゃん今何の仕事してるのかな。
しょうちゃん・・・・朝ご飯ちゃんと食べたかな
お昼何食べたのかな





「しょうちゃん・・・・・・寒いよ・・・・・」




情けねぇ。涙が出てくる。
普段、しょうちゃんに大事にされ過ぎてるからって抵抗力なさ過ぎでしょ・・・・・




甘えないよ今日は。
俺がこんな状態になるんだ、しょうちゃんだって疲れてるし、風邪菌移したら大変。
でもな・・・・こんな時はやっぱり大好きな人は頭から離れてくれない。




「しょうちゃん。お昼なに食べたの・・・・・・?」




天上に向かって声をかけ溜息を吐く
頭までイカレタ・・・・・・と、その時、iphoneの着信音が鳴り響いた。




画面には今一番傍に居てもらいたい人の名前
すげー・・・・・・
CMといい
いつもナイスタイミングですね。
俺のこと見えてるの?





でもBadタイミングでもある。




しょうちゃんに弱音吐いちゃいそう・・・・・
いいや、駄目だ駄目。




大切な身体。
しょうちゃんに風邪なんか移せない。
しょうちゃんの身体は自分の身体より大切に感じた。





「もしもし雅紀ー」


「しょうちゃん。お疲れー」


「なんだおまえ寝てたの?」


「・・・・え・・・なんで?」


「声おかしいぞ」


「寝てた・・・・」


「買い物行くんじゃなかったの?」


「んー今日は止めた」


「そうなの?あんなに服買いに行く!って張り切ってたのに?」


「うん。録画した番組も溜まってるし家で、ゆっくりするわ」


「そっか、最近忙しいし体休めた方がいかもな。俺もその方が色々安心だしさ。あ!今日の昼飯、雅紀の好きな翠屋さんの唐揚げ弁当だった」


「えーーーーーー!!けっほ・・・・けほっ」


「おい、なんだ、大丈夫か?」


「咽ただけ。いいなー翠屋の唐揚げ」


「いいいだろー」


「俺の分はー」


「ないー。ただの自慢」


「うわっ性格わる!!」


「本当はさ、今日会えれば持ち帰りたかったけど無理そうじゃん。だから我慢して」


「うん。分かってる。ありがと」


「あ、はい。今行きます。ごめん雅紀呼ばれちゃった、また後で電話すんね」


「うん。頑張ってね」


「今日はゆっくりしろよ」


「しょうちゃん・・・・・」


「ん?」


「・・・・また後でね」


「うん。仕事終わったら電話する。あとひと頑張りしてきます」


「ひと頑張りどころじゃないでしょ」


「まぁね。いってきます」


「いってらっしゃい」




通話終了の文字が表示された画面からしばらく視線を外せない。






「しょーちゃん・・・・がんばです・・・・・」





うぅ・・・・・やばい
泣きそう!!非常に切ない!!
しょうちゃん・・・・声聞いたら余計会いたくなるじゃんか。
危うく助けを求めるところだったよ。




頼りすぎだよな、しょうちゃんに。
最近俺がベッタリしちゃってるかも。
こんな調子じゃいつかお荷物になっちゃう。




甘え過ぎはよくない。
なんでも過ぎるのは良くないんだ。
適度な距離感もたまには必要。
調子に乗った時が危ないってね。




優しい、しょうちゃんに寄りかかり過ぎは駄目。




熱があるなんて知ったら俺の事大好きな、しょうちゃんは仕事に身が入らなくなるし
仕事が遅くまで続く今日だって無理して来るかもだし。





明日も早いんだ無理させられない。




うんうん。大丈夫大丈夫。
薬飲んで1日寝てたら治るんだから
今までそうだった。




次の日にはケロっと元気になるんだから
高熱出た事は、しょうちゃんに内緒にしとこう。





バレない自信はある
多分




大丈夫。寒くないし熱くもないし・・・・・だるくもないし・・・
気分だって悪くない・・・・・喉だって痛くないし
咳だってさっきよりマシ・・・・・





しょうちゃんから貰った白い兎の抱き枕に顔を埋めて呼吸を整える。




なぜ俺にこんな可愛い物をくれたのは謎だけど
しょうちゃん家にもグレーの兎が居るみたいで
凄く気に入ってる。





海外から連れてきた2匹。
トランクに詰めるのが大変だったと
いまだに言っては




でも買って良かったと嬉しそうに話していた。




そう言えば、この兎の触り心地とつぶらな瞳が俺に似てると言ってたな。
触り心地ってモサモサしてるし
こんな毛深くねー





「にてねーし・・・・・・」





可愛い兎か
しょうちゃんの目にはこんな風に映ってるのか
だとしたら、おかしなフィルターかかり過ぎ。




一人の夜だって、今だって・・・・・こいつも付いてるから寂しくない。
この兎・・・・しょうちゃんの匂いがする・・・・・・・
寂しくない・・・・ここに しょうちゃんが居る




しょうちゃん・・・・しょうちゃん・・・・しょうちゃん・・・・・
会いたいよ。







寒いよ・・・・・熱いよ・・・・痛いよ・・・・・






しょうちゃんがオデコに手を当ててくれるところを想像しては
泣きそうになった。





しょうちゃんの事ばかり考えてたら震える体は再び熱を持ち出し
一気に汗が噴出していく。





やばい・・・・薬・・・・無かった・・・・買いに行かなきゃ・・・・・
死んじゃう・・・・・熱い・・・・しょう・・・・ちゃん・・・・・・





やっぱ俺・・・無理・・・・
ひとりじゃ無理・・・・・しょうちゃん・・・・・
しょうちゃん・・・・助けて・・・・





しょうちゃんの事を考えながら、枕元にあったiphoneを手に取り






「しょうちゃん・・・・・・俺も・・・・・頑張る・・・・・」




愛する人の名前を無視して
マネージャーの名前を探した。






次回のお話