TPPの危険なことは、貿易の関税撤廃だけでなく、
「非関税障壁」をも撤廃させることになるのです。
「非関税障壁」というのは、米国の多国籍企業が日本に進出するに当たって、
日本の従来のルールや法律が邪魔になるということです。
「こんな邪魔な仕組みは全てなくせ」というのが、TPPの真の狙いなのです。
その結果、コメ問題だけに止まらず、薬品の認可や価格、食品の安全表示等、
全てが変更させられる。これまで日本の食品は安全表示が厳格であった。
防腐剤や農薬使用について、あるいは遺伝子組み換え食品を使っているかどうか等、
すべてが表示されていたが、
TPPでは「このルールは米国企業の進出には邪魔になるから取り除け」となる。
保険ビジネスへの参入、とりわけ医療保険ビジネスを拡大してくるから、
日本の国民皆保険も揺らいでくる。
農業も崩壊して食料自給率は40%から27%まで下がってしまう。
郵便・簡保だけでなく、農業の金融機関も餌食となる。
そしてTPPの中には「ISD条項」という取り決めがあります。
これは「投資家対国家の紛争解決」を目的としたもので、
例えば日本に投資した米国企業が、日本政府の規制等で損害を受けた時、
進出企業は日本政府を訴える事ができるというものです。
訴訟を扱うのはワシントンにある世界銀行に設けられた仲裁機関です。
世銀の総裁は代々アメリカが出しているから、訴訟は断然、米国の多国籍企業が有利になる。
ISD条項では「投資家の期待利益の確保」が全てに優先する。
日本の法律や制度に優先するばかりか、国家の主権にも優先するのです。
詮ずるところTPPというのは、米国の多国籍企業が
日本を経済植民地として食い物にする協定なのであります。