櫻葉❤
ご理解ある方のみおすすみください☆
はじめましての方へ→ こちらへ
**************************************************:
Side S
「大丈夫だよ。翔ちゃんはやるって決めたらやるから」
汚れたTシャツを詰め込んでいた手元が、どこか勢いがなくなった気がする。
俺のことなのに、なぜか自分のことのように自信満々に言われて、
俺はちょっと照れた。
そうしてきっと、自分を肯定してもらえたことが少し嬉しかった。
「まぁ、、、がんばるけど」
だから素直にそう言う。
結果はどうであれ、がんばるってことだけは決めているから。
「ん。応援してる」
嫌味のない言い方がめずらしくてびっくりしつつ、やっぱりどこか照れる。
相変わらずニノを見ないままで、鞄のチャックを勢いよく閉めた。
「ニノはなんか決めてんの?」
親友って呼べる程度の間柄だと思うニノとすら、
進学や将来のこととかって話しをしてきたことはない。
そういうのはなんていうか、、、俺たち二人にとっては気恥ずかしいし、
なにより少し前までなんにも考えてなどいかなったのだ。
「ん。翔ちゃんの影響でちょっとだけ考えるようになった」
「俺?」
「そ」
「へぇ、、、」
相変わらず互いに視線を交わさずに帰り支度をしながら、
ニノはいったい、将来なにを目指すのだろうと思った。
俺は自分のなりたいものをいまだ、誰にも伝えていない。
なんとなく、いまはまだ誰にも言いたくはないのだ。
だからなんとなく、ニノにもあえて突っ込んで聞くのを止めた。
「今日は英語だっけ?」
「そ。英語やってそのあと現文」
そうして、おそらくそういう自分の気持ちを、この男は空気で理解してくれる。
だからニノが好きだ。
サラリと話題を変えるニノと目が合うと、
なんとなく俺たちは互いに笑いあった。