櫻葉❤
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Side S
「ぁ、、」
かかっている洋服の奥にそれを見つけた。
思わず雅紀を見る。
雅紀はいまだ、机の上の細かいおもちゃを睨んでる。
「、、、」
少しだけ悩んで、、、
一度詰めた服を取り出して、奥にかかっていたその服を取り出すと
段ボールの一番下にそれを入れる。
その上からもう一度、洋服を詰めた。
ーーー・・・・・・・・・・・・・・
「やっぱり二人でってのは無理だったかな」
「まぁ今日一日で全部やらなくたっていいだろ」
大して量はない、、、と思っていても
二人分の荷物はそれなりには量があった。
早起きして普段はしない運転と、それなりに重い荷物を何度も運んで、
そのまま休みなく荷物を分ける。
まずはリビングとキッチンの段ボールを片付けようと、
俺はリビング、雅紀はキッチンの片づけを始めた。
もともと細かい性格ではない自分は、片付けもおおよそ適当だ。
にもかかわらず、リビングの荷物を片づけたところで糸が切れた。
時計を見れば、あっという間に14時を過ぎている。
「とりあえず、大事なモノだけ出して、あとは明日だっていい」
「そうだね」
ソファの上で二人とも、天井を仰ぐ。
二人で暮らす、、、という事実に
俺も雅紀もきっと、どこか心が浮かれてた。
そのテンションのままここまで作業を進めたモノの、
さすがに糸が切れた。
二人とも、明日も休みだ。
今日は荷物を運んだだけでも十分、がんばったと言っていい。
「でもお蕎麦は食べなきゃ」
いきなりガバっと起き上がると
雅紀はずいぶん真剣に言うから、思わず笑う。
「それそんなに大事?」
「大事でしょ」
力強く言われれば、
それはとても大事な事のような気がしてくるから不思議だ。
「まぁ確かに腹は減った」
「オレも。お昼食べてないもんね」
「じゃ、買って来るよ」
「もうあるよ。実家から持って来た。乾麺だけど」
「用意がいいな」
「だって今日は絶対食べようって決めてたもん」
その顔はやっぱり可愛らしくて、思わず見つめる。