櫻葉❤大宮
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Side N
俺の部屋で
男とキスをするのは
この人がはじめて。
まぁくんとはあの11階の部屋でしか
そういうことはしなかったから。
「はっ・・・っ・・・ん」
大野さんは最初っから舌をいれて
いままで待ってた間の分まで取り戻すみたいなキスをした。
「、、、カズくん目ぇ閉じないんだ」
「、、、男だから」
好きなモノ
好きな人
、、、好きな人の特別な顔は
ちゃんと見ていたい。
「処理したことある？」
「は？なに？」
すると
真面目な顔がいつものあのふにゃりとした笑顔になって
俺の腕を掴んだ。
「やってあげる」
「っえ、、、な、、」
大野さんが見た目に似合わずちゃんと力強いことは
もう知っている。
腕を掴まれて
そのまま引きづられるようにして
自分の家のバスルームに連れてかれた。
ーーー・・・・・・・・・・・・・・
「なんかテンション低いね」
「当たり前だろっ」
さっきバスルームに連れてかれたときと同じく、
風呂から出れば
今度は手を引っ張られながら
自分のベッドルームに入った。
「あははっ」
いつもより豪快に笑う声に
悔しさと怒りと羞恥心が混ざったような
いままで知らなかった初めての感情を覚える。
「まじでムカつくっ」
自分のベッドに顔を突っ伏して頭を抱えた。
「なんで？可愛かったのに」
「うるせーっ」
初めて人にあんなトコに指突っ込まれて
なんか一気にいろんなことが現実になる。
男と男。
スる側とされる側。
そういうことをようやく理解した気分だ。
「はい。もうこっち向いて」
「近づくな」
俺の、、、いったいなにが
この男をこの部屋に通わせる要因になっているんだろう。
濡れた髪を撫でる手が優しくて
そっぽを向いたままで瞼が落ちる。
「カズくんは可愛い」
髪を撫でてたその手のひらが肩を掴んで
身体をくるっと仰向けにされると
大野さんのキレイな顔が俺の真上に現れる。
「好きだよ」
こういうときの顔がどこか怖いくらいに男前に映るのは
きっと普段があんなにふにゃりとしてるからだ。
でもそういう全部を
きっとこの人は天然でやらかしてくるんだともう知っているから
ホントにたちが悪い男だって思って
それにドキリとしてしまう自分を知って
なんだか悔しくてたまらない。
「あんたってホント、ズルい」
「ww カズくんの愛の告白はそれなんだ」
余裕そうに笑って
唇が重なる。
「っん・・・っ・・」
、、、なぜだろう、、、
今日のまぁくんと翔ちゃんの結婚式辺りから
俺はこの人に逆らえない。
きっと
あの二人のあまりに素直で真っすぐななんかに
そういう見えないなんかに
俺はどこか引きづられちゃってるんだ、、、