、、、そばに、、、居られないなら。
会えるかどうかもわからない
けれど、、、
会えるかもしれないその世界を。
、、、あの二人は、、、選んだ。
ほんの小さな
欠片ほどもないその可能性を
あの二人は選んで、、、
この世界を捨てた。
「バカだよ」
バカだと思う。
ココに居たら
少なくとも
二人は確実に
会うことは出来る。
触れ合えなくても、、、ときどき、、、
会うことだけは許される。
「でも、、、俺もそうするかもしれない」
視線の先に
紅茶の湯気がゆらりと揺れる。
俺のようにずる賢く生きられれば
あんな選択はしなくて済んだと思う。
、、、でも、、、わかる。
わかる気がする。
だって苦しい。
苦しいから。
一度でも
抱き合ってしまったら。
愛するモノに触れてしまったら。
最高神であるあの二人には
そこにいるのに手を伸ばせないことなど
考えられないんだってことは
なんだかわかる気がする。
「俺も、、、そうしたいかもしれない」
あの二人のように。
ココを捨てたくなるその気持ちは。
わからないわけじゃない。
「じゃあ行こうよ。あっちの世界へ」
「、、、、、へ？」
一瞬のパニック。
驚いて
智の顔を見る。
いつものように
柔らかく笑ってる智の顔が
そこにある。
思わず潤を見る。
潤は何も言わずに
目を伏せて紅茶を飲んで
瞬きをすれば
長い睫毛がゆらりと揺れた。
「は？なに？、、、なに言ってんの？」
「ww だからね。一緒に行かない？
あっちの世界に」
「どういう意味なの？」
わけがわからなくて
二人を見つめた。
「そのまんまの意味だよ」
「言っただろ。
俺たちはあいつらを見守るって決めたんだって」
「そ。俺も潤も
翔くんと雅紀ちゃんを
ずっとずっと見守ろうって決めちゃったんだよ。
二人が産まれた、あの瞬間に、、、ね」
「だから、、、」
「、、、だから？」
「俺たちもあっちに行くよ」
「彼らのいる
人間界に」
「、、、、、」
「「行こうと思うんだ」」
「、、、え？」
「だからカズも行かない？」
「智、、、」
ふふっと笑う智の顔を見ながら
俺はしばらく
声が出せなかった。