フク(ワンコ)の散歩は一日数回

夜中の散歩は暗く静かで
風がない日は空気も眠っているように感じる

真っ暗な中
ポツンポツンと間隔をあけて
街灯だけが薄暗く光っていて

空気が澄んでいる時は
街灯に負けずに星がくっきりはっきり見える
シーンとしていて星が綺麗で
吸い込まれそうな気持ちになる

冬はしんしんと降る雪と風の音

夏は虫やカエルの声
たまに車が通ったり
遠くで電車の音が聞こえたり
バイクの爆音がしたり

人工的な音の後はまた静けさが戻って
自分と自分の思いと向き合える

夫がいなくなってからのルーティン
夜空を見上げて夫の名前を何度も呼んでみる
夜空に向かって夫へ話しかける

誰もいないから想いも溢れて
未だ泣きながら散歩している
顔をぐしゃぐしゃにして泣く

夜中のこの時間は
夫への想いを涙にして体から出す時間

この時間はとても大切で

夫が亡くなった直後は
なんでいないの?
どこにいるの?
なんで1人なの?
そんなことばかり空に向かって言ってたけど

今は
今日も頑張ったよ
明日も頑張るよ
貴方は幸せで笑っていますか?
見ていてね
応援してね

って話しかけてる

一日終われば
貴方に一日会える日が近づいた

もし明日
急に貴方に会うことになったら

頑張っていたね、って
えらかったね、って
全部見ていたよ、
応援していたよ、
って
きっと貴方は言ってくれるはずだから

だから
一日頑張って生きて
夜中に
涙で吐き出して
また明日も頑張って生きて行こう




今日も一日頑張ったよ
今日も貴方を想っているよ
明日もまた頑張るね

貴方はそちらで笑顔で幸せでいてください
そして
明日も私達を見守っていてね

また明日


おやすみなさい