京都在住の高齢の父は、昨年9月頃から胆石で入退院を繰り返していた。
胆石があると体が震える発作が起きるなんて、私にはまったく知識が無かった。
若ければ胆嚢摘出手術をしてはい終わりの所だが、高齢を理由に手術には踏み切らず、胆管にステントを入れてだましだまし過ごしていた。
高齢者の手術にはリスクが伴う-とは要するに死ぬかもしれないという事だ。
何度も発作を起こして救急車で運ばれて入院するのを繰り返し、ついに今年の2月に胆嚢摘出手術を行う事になった。
その時に父を
「治ったらクルーズ旅行に行こう」
と送り出した。
父は無事手術から復帰し、発作を起こさなくなり、お腹から出ていたドレーンも無くなった。
そこで約束通り日本一周のクルーズ旅行を予約し、11/3~10日間の日程でクルーズ旅行に出かける事にした。
発着が東京国際クルーズターミナルの為、京都から新幹線でこちらに来てもらい、
我が家の車で夫が新幹線の駅から港まで送ってくれた。
<クルーズ船>
楽しく忙しくクルーズ旅行は進んだが、9日目になって父が高熱を出し、
船内のメディカルセンターでコロナ陽性の診断を受け、点滴・投薬の治療を受けた。
船内隔離となり、食事はルームサービスで運ばれてきた。
元々膝と腰が痛く、歩行に支障のあった父は、コロナの高熱が重なり、歩くことがおぼつかなくなった。
幸い処方された解熱剤の服用と船のスタッフの方の車椅子での補助のお陰で、なんとか下船する事が出来た。
そして高齢の両親だけをそのまま京都へ返す訳にもいかず、私も予定外だったが京都へ付き添った。
だらだらとクルーズ旅行に至った経過を書き連ねたが、下船前日に私の頭をよぎったのは、高熱を発して足元がおぼつかないた父を下船地からさほど遠くない所にある我が家(娘の家)へ連れて来た方がいいのだろうかという事だった。
(否、それは家の状態からして全く無理なのだが。)
考えてみれば、我が家に全く拠点のない具合の悪い父を家へ連れて来るより、
一刻も早く京都の自宅に連れ帰るべきだろう。
なのにこんな案が頭をよぎるのは、我が家に連れて来る事が出来ないせいだろう。
もし連れて来る事が出来る位にキレイな家であったなら、そんなバカな考えは浮かばない事だろう。
何かトラブルが起こった際に、その事の本質とは関係ない問題で悩む羽目になるのが、汚家の宿命である。
嗚呼情けない。
さてクルーズ旅行からなんとか京都に帰り着いたが、その翌日からは母と私も発熱し、親子3人でコロナ養生という事になったのだった。




