写真は鹿児島県奄美大島に生息する「奄美の黒うさぎ」です。
可愛いですね。耳は長くないです。
10年ほど前のことです。この黒うさぎさん鹿児島県を訴えました。
裁判を起こすとき、訴える方を「原告」
訴えられる方を「被告」といいます。
ですから、原告「アマミノクロウサギ」となったのです。
当時奄美大島でゴルフ場の開発が計画されました。
予定地は「アマミノクロウサギ」や「トゲネズミ」などの絶滅危惧種の生息地でした。
奄美大島の住民は「奄美の自然を守る会」をつくり反対運動をします。
ですが鹿児島県は開発許可を出してしまいます。
そこで住民たちは「アマミノクロウサギ」を原告として訴訟を起こします。
ゴルフ場開発許可の無効と取消を求めました。
裁判所は訴えを却下します。
つまり「黒うさぎさん、訴えは認めません」としました。
「アマミノクロウサギ」には原告適格がないと判断されたのです。
(そりゃそうです)
原告適格とは「原告になれる」人のことです。
黒うさぎですから、法廷へ出て
「我々の棲家を奪うな!」などと訴えることはできません。
(そりゃそうです)
でも、絶滅危惧種の生息地だと分かっていながら
ゴルフ場を造る許可を出した行政に一矢報いたかったのだと思います。
裁判所に門前払いをされましたが黒うさぎさんは諦めませんでした。
控訴しますが、またまた原告適格なしで控訴却下です。
そういうわけで裁判では訴えが認められませんでしたが
ゴルフ場開発は中止になりました。
結果的に黒うさぎさんと住民パワーの勝利です。
バブル崩壊後、ゴルフ場の倒産が相次ぎました。
森林を伐採し、芝を守るために大量の農薬を浴びせ造られました。
倒産後、多くのゴルフ場はそのまま放置されています。
何かの姿に重なりませんか?
奄美の住人の英断に拍手を送りたい。
先を見通す力は
政治家や役人より私たち市民のほうがあるのかもしれません。