デートからの帰り道。


車を走らせる。 



週に一度 海沿いのそのまっすぐな道を


私は一人で走る。



その時間が 私はきらいではなかった。


広く 開けた その海は 通る度違う顔を見せる。



真っ暗な海   もしくは黄昏   または夕焼け



彼と今、過ごしてきた時間の余韻にひたりながら


ぼうっと 一日をふりかえる。


一人になって ほっと一息つく時間。


非日常から日常へと 徐々に戻っていく。



空と海には 浄化作用がある。



彼とのデートが


楽しいことばかりじゃなかった日々も


幾度も救われた。



何十回も 見てきたそのすばらしい景色。


なのにそれは 日常で


特別な景色だとは思わなかった。



なのに  ある日、ふと思いついた。



     そうだ。



せっかくよく通るこの道。


日によって色を変えるこの 空と海を、写真におさめていこう。


思い出の 空と海写真集ができるじゃない!



私は その思いつきになんだか わくわくして、


なんて良いこと思いついたんだろう、なんて、


自分で自分を褒めたいくらいだった。



そして、次の帰り道。


記念すべき 第1日目の 空と海を しっかりと写真におさめた。




そして それきり  その帰り道を、


私は通ることはなくなった。




オレンジ色に光る空。 雲の切れ間から海へそそぐ光。



          なぜ、私はあの時、


     写真をとる事を思いついたんだろう…




            その写真は 後で見返しても


              悲しい程美しかった。