【動物の移動販売について】

公益社団法人 日本動物福祉協会 本部

 

 

改正動愛法の第21条の4で販売に際しての情報提供や

動物との対面等は登録事業所に限定となりました。

 

この改正は、

空港などで動物の引き渡し時の説明を違法にして、

ネット等による通信販売を防ぐという目的の他、

イベントなどで犬猫を販売するいわゆる移動販売

間接的な規制にもなると期待しておりました。

 

しかし、今年6月の施行後も移動販売は後を絶ちません。

今のペットバブルが拍車をかけています。

 

法改正以前は、

24時間以内の滞在での販売であれば

販売業登録は必要ありせんでした(通称24時間ルール)。

 

しかし、法改正後、

移動販売をする業者は、

販売する施設のある自治体に

販売業の登録申請書をださなければなりません。

 

その際、事業所を設置し、

その事業所の権限を有することを示す

書類を出す必要があります。

 

移動販売の場合は、

ほとんど、施設を借りることになりますので、

その施設の所有者及び管理者が、

2~3日のイベント開催であろうが

賃貸借契約書又は管理規約、賃貸人からの使用承諾証明書を

出してしまえば、事業所の問題は法律上クリアされます。

 

自治体によっては、

登録と同時に廃業届を提出させるところもあるようですが、

登録は5年更新ですので、

一度登録して、廃業届をださずに、

毎年同じ場所でイベントを開催することも

可能になることもあります。

(実態のない事業所をよしとするかどうかは各自治体の判断に任されています。すべての自治体でよしとしないといいのですが・・・)

 

また、数日間だけの事業所開設が認められることにも

大きな違和感を覚えます。

 

しかし、現状として、

比較的簡単に販売業の登録ができ、

合法的に移動販売をすることができます。

 

当協会は、初期の法改正時から「移動販売禁止」を訴えており、今回法改正でやっと少しは規制に繋がるかと思いましたが、

残念ながら、抑止力としてはかなり弱いことがわかりました。

 

数日間だけの事業所を認めるかどうかは

各地方自治体に任されているところであり、

環境省も移動販売等を禁止するものではないと説明しています。

 

移動販売は多くの問題をはらんでいます。

輸送距離が長く、幼齢個体にはかなりの負担となること、

また、病気を持っている個体も多く、

販売後にパルボが発症したり

先天性疾患が判明する例も少なくありません。

 

責任追及しようにも廃業届がでていれば、

連絡も取れないことにもなります。

 

移動販売こそ

典型的な悪質な業態ではないでしょうか?

 

ペット業界でも移動販売の規制には賛成しているなかで、

なぜかいつまでもこのような業態が残り続けているのかが

不思議でなりません。

 

次回法改正まで待つことなく、

環境省令等で「販売業登録事業所は

固定の恒常的な連絡が取れる場所であること」などを

明記してほしいと考えています。

 

そして、消費者の皆さまも、

移動販売で購入はしないでくさい。

 

安いのには理由が必ずあります。

需要がなくなれば供給は消えていきます。

 

法規制等によるトップダウンと民意による

ボトムアップで犬猫の移動販売に「ノー」を突き付けましょう。

 

【参考】

動物の愛護及び管理に関する法律 第二十一条の四 

 

「第一種動物取扱業者のうち犬、猫その他の環境省令で定める

動物の販売を業として営む者は

当該動物を販売する場合には、

あらかじめ、

当該動物を購入しようとする者

(第一種動物取扱業者を除く。)に対し、

その事業所において、

当該販売に係る動物の現在の状態を直接見せるとともに、

対面(対面によることが困難な場合として環境省令で定める場合には、対面に相当する方法として環境省令で定めるものを含む。)により書面又は電磁的記録

(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を用いて

当該動物の飼養又は保管の方法

生年月日、

当該動物に係る繁殖を行つた者の氏名

その他の適正な飼養又は保管のために必要な情報として

環境省令で定めるものを提供しなければならない。」