名古屋市動物愛護センター さま

 

*転載

 

 

平成28年6月、

犬の殺処分ゼロサポート寄附金

(現在は、めざせ殺処分ゼロ!犬猫サポート寄附金)が

開始された年の夏の始めに、

この犬は名古屋市動物愛護センターにやってきました。

 

人をひどく咬んで管理ができない

という理由でした。

寄附金の制度が始まる前なら、

この子は殺処分であったかもしれません。

 

あれから3年半が経ち、

収容時には12歳だった犬も16歳となり、

いよいよ立つことができなくなりました。

 

先週からは、

飲み食いするときにも介助が必要です。

収容時の怒りっぽさはすっかりなくなり、

今ではトイレに連れていくとき抱き上げることもできますし、

ゴハンを食べるとき、

介助で顎を持ち上げても怒りません。

点滴や注射もおとなしく受け入れることができます。

 

収容されてから、いろいろなことがありました。

 

最初の年、狂犬病の予防接種をして、

首輪の済票を取り替えるのはとても大変でした。

 

まだ信頼関係が浅くて、

首を人にさわられるのはイヤだったのです。

 

なんとか首輪をつけかえましたが、

3日くらい担当者が苦闘していたのが記憶にあります。

 

未去勢だったので、去勢手術をしましたが、

手術後、エリザベスカラーをつけている間、

ちょっとプリプリしていました。

 

お風呂に入れる時も大騒ぎです。

 

いくら、そんなににおわない体質といっても、

たまには風呂くらい入れなければ、お肌によくありません。

 

怪我をさせられる人が出ないよう、

そして何より、

この犬にこれ以上人を咬ませることのないように、

緊張感をもって臨みました。

 

 

年月が過ぎ、

この犬はだんだん職員になじみ、

お散歩中に他の職員をみつけて、

よろこんで走ってきたり、

おしりのポケットに入っているオヤツをねだって

おしりをつついてみたり、

撫でられても特に怒らないように変化してきました。

 

寄る年波には勝てず、

いよいよ弱ってはきましたが、

人に甘えて、身体を拭くことや医療的なケアを

抵抗なく受け入れる様子を見ていると、

彼と過ごした歳月はけっして無駄ではなかった、

と思います。

 

皆様からの

「めざせ殺処分ゼロ!犬猫サポート寄附金」で購入した

低反発マットの上で、日がな1日寝て、

やはり寄附金でまかなっている療法食を食べている

おじいちゃん犬のラッキー爺さん、

 

略してラッジィは皆さまのあたたかい気持ちで、

ここで寿命を迎えることができそうです。

 

できれば、新しい飼主さんをみつけてあげたかったのですが、

彼は職員になじみ、今ではすっかり友達ですから、

センターを終の住処にするのも

彼にとってはさほど悪くはないかもしれません。

 

職員はラッジィのお世話をしていますが、

ラッジィのほうも、私たちに、

時間をかけて築いた信頼や

老犬ならではの可愛らしさを返してくれました。

 

 

この記事を読み、

「それなら、うちの犬の老後も愛護センターでみとってもらおう」

と思われる方、

ひょっとしたら、いらっしゃるかもしれませんが、

ラッジィと職員が仲良くなるには

それなりの年月が必要でした。

仲良くない人間にみとられるのは

犬にとって気の毒なことです。

それに、こういう子がたくさんいたら、

それだけ、

一頭にかけられる時間も手間も少なくなってしまいます。

 

飼主さんは終生飼養をお願いします。

 

ご寄附をいただいたみなさま、

ありがとうございました。

ラッジィと過ごせる時間はもうあまり長くなさそうですが、

最後の日までを大切にしてゆこうと思います。

 

 

 

 

犬を愛する全ての人へ


 

 

犬は人より先に歳をとって亡くなってしまうけど

飼い主が看取ってあげることが愛犬にとっては幸せなんだと

たくさんの想い出をありがとう……