愛犬が旅立った
「２０１７年 春のこと」
愛犬を見送る為、散歩道の写真を撮ったら・・・
今年の春、１６年間を共に過ごした
愛犬がこの世を去った
ラブラドール・レトリバーの雌犬で、
とても人懐っこく、かつ賢い犬だった。
数年前から徐々に足腰が弱り始めていたが、
ゆっくりながらも、
散歩はできる状態が長く続いていたので、
「老犬ではあるが、元気なほう」
という認識でいた
亡くなる２週間前に、突然具合が悪くなり、
かかりつけの獣医から
腎不全と告げられた。
自宅介護をすることを決め、
点滴や食事の指導を受け、
両親と私で力を合わせながら、
それなりに大変な介護生活を送った
短期間に、
弱々しく苦しむ姿を何回か見たが、
最期の瞬間は、
家族が揃っている自宅にて
明け方、
添い寝をしていた母の傍で、
声も上げず安らかに旅立った
葬儀が行われる日の朝、
彼女と一緒に歩いた散歩道を、
カメラを持って１人で歩いた。
「人懐っこい」とはつまり、「寂しがり屋」
でもあったので棺に沢山の思い出を入れてあげようと
家族全員の写真、
彼女を連れて行った旅行の写真などを用意したのだが
それでも足りない気がして
普段の散歩道の写真も入れてあげようと思ったからだ。
できるだけ彼女の目線に近い風景を切り取ろうと思い
シャッターを切る時は、
彼女の目線と近い位置までかがみこんだ。
すると、かがみこむ度に、不思議な感覚を覚えた。
今までに見たことのない景色がそこに広がっていたのだ
路傍の草花はずいぶんと近い距離にあり、
風邪に揺らぐその動きはとても大きく見えた。
空は広く、そして遠くに見えた。
目の前の一本道はとんでもなく長く感じ、
車道を走る車は、とてつもなく大きい物体で、
随分と速いスピードで走っているような気がした。
どの道も、
どの景色も、
低い位置から見渡すと、
すべて壮大な景色に見えた。
家から出て、家に帰るだけの道のりが、
まるで大きな冒険をしているかのような、
とてもスケールの広い世界として、
わが家の周辺に広がっていたことを、
その日初めて知った。
四季の移ろいのような、
人間が感じる日々の変化よりも、
もっと小さな変化を、
「この世界」で、
きっと彼女は毎日に感じていたに違いない。
そう考えると、
どんなに躾けても、
散歩の時はせかせかと尻尾を振って
飼い主の 「横」で はなく 「前」 を歩いていたことも、
歩くのがどんなに遅くなっても、
少しでも歩こうとしたことも
すべて合点がいった。
彼女にとっては毎日の散歩は、
目の前の壮大な景色を楽しみながら、
ワクワクしながら歩く、
大冒険だったのだ。
体験することのすべてを、
私達より何倍も強く、大きく感じていたのなら、
人間と比べると非常に短いその生の長さは、
彼女にとっては、とても長かったのだろう。
路は果てしなく長く、
空はとてつもなく大きいように、
彼女の生きた時間は、
とても長かったのだ。
そして、
想像もしなかった壮大な世界を生きていた。
高齢になってからは
「おばあちゃん」などと時々読んでいたが、
頭をなでるだけで、ほっとしたのも、
抱きしめると、
なぜか自分が包み込まれるような気持ちになったことも、
本当に彼女が、自分よりも沢山の経験を積んだ
「おばあちゃん」だったからなのかもしれない。
いつの間にか、
私を追い抜いて、
人生の先輩になっていた。
もう年の瀬が少しずつ近づいてきているが、
まだ傍に空白を感じる瞬間が多々ある。
心がきゅっと縮こまってしまうような時は、
ちょっとだけかがみ込んでみる。
何かが変わるわけではないけれど、
でも、
何かが変わるような気がするのだ。
＊画像はお借りしました
ずっと共に生きてきた君は「幼なじみ」
年間３万５千匹の野良犬が保護され、
その多くが殺処分となる南ＬＡ。精神や肉体が傷つき、
人を信用しなくなった犬の扱いは難しく、
善意で里親になっても結局は安楽死させるケースもある。
一方で、隣近所からの苦情が殺到して疲労困ぱいする飼い主も。
ジャーナリストのルイ・セローが、トレーナーによる凶暴犬のしつけ
犬のレスキュー隊、老犬の介護などの取り組みも見学しながら、
大都会での犬と人間の関係の“闇”に切り込む。
田中 康雄さんFacebook
https://www.facebook.com/yasuo.tanaka.
「孫が行方不明」
＊拡散ありがとうございます
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