年中児向け絵本1月号は「やまやまの へっぴりじさま」です。
先週の23日の金曜日に年中児が持ち帰っていますので、既に読まれた保護者もいらっしゃるようです。
表紙や題名から、へっぴり腰と言われるくらい、畑を耕すのが得意でないおじいさんの話を想像しました。
中を覗くと、東北地方らしい方言から始まり、全てに方言が使われています。
「これは先生や保護者の方々が子どもたちに読むのに苦戦するな。」と感じました。
しかし、聞いている子どもたちは、言葉よりも絵から話を読み取り、むしろ方言の響きを楽しんでしまうと思いました。
話の内容や辞書から「へっぴり」はもともと、「おならをする」ということだったと初めて知りました。
子どもたちが喜びそうな「おなら」が題材であれば楽しみも一層のことでしょう。
昔から語り継がれてきた話なので、出版社もそのままの言葉を大切にしたのだと納得しました。
そして最後のページを見終わったに後に、余韻をすごく感じました。
これが絵本の世界に入り込むということだと実感しました。
さて、話は昔話に共通な、貧しいけれども正直なおじいさんの登場から始まります。
おじいさんが、山に出かけて木を切りっていたら、「おいらの山の木をきるのはだれだ」と山の神に見つかり「やまやまの へっぴりじいだ」と答え、「ちゅうちゅう にしきさらさら ごようのまつばら とっぷん ぱらりのー ぷーっぷーっ」とおならをしたら山の神は大喜び。
子どもたちもこの音には喜ぶと思います。この場面の絵も面白いです。
山の神様(おじぞうさま)に気に入られ、あえて小さい方のつづらをごほうびに選んで持ち帰ることになりました。
山の神から、「家に着くまで開けてはならない」と告げられたので、正直なおじいさんは、中を見たくても家に帰るまでは、お告げ通りに家までそのまま持ち帰りました。
家では、心の優しいおばあさんが疲れて帰ったおじいさんのために、お風呂にお湯を焚いて待っていて、おじいさんがお風呂から出て、つづらを開けてみると、びっくり。
いままで、見たこともない、金や着物や鯛など高価なものが入っていました。
それを聞いた隣のおばあさんは、大変うらやましかったようで、ほうびの話を自分の家のおじいさんにして、同じ山へ向かわせました。隣のおじいさんも、山の神に見つかる様に木を切り始めます。
思った通りに山の神に見つかり、無理におならをして山の神を喜ばせようとしましたが、
「ちゅうちゅう にしきさらさら ごようのまつばら とっぴん ぱらりのー びっ。」
なにか変な音だと山の神に不思議がられ、再び「ちゅうちゅう にしきさらさら ごようのまつばら とっぴん ぱらりのー びちゅうびちゅう。」
おならの音が悪く、山の神の気分をそこねてしまいました。
つづらをもらいたく、挽回しようと力を入れて、もう一回「ちゅうちゅう にしきさらさら ごようのまつばら とっぴん ぱらりの びぢかじ びぢかじ。」
ついに余計なものも出してしまいます。
このあたりも、子どもたちは何を出したか想像できて面白がるところでしょう。
山の神が、それでもつづらをくれるというと、すかさず大きい方を選び、「家に着くまで開けてはならない」との山の神のお告げを聞くやいなや、つづらを背負い、帰りました。
つづらが大きい分、重かったのと早く中をみたいという欲に負けて、隣のおじいさんは家に着く前についに、つづらをあけてしまいます。
絵の通りに、あぶ、はち、へび、いしが、つづらから出てきて、欲張りで約束を守らない隣のおじいさんを刺したり咬んだりしてこらしめました。
それとは知らず、隣のおばあさんは高価なものをあてこみ、家のものをすべて処分し、腰巻一枚になり待っていましたが、血だらけになって何も持たずに帰ってきたおじいさんを見て、ショックで倒れてしまいました。なんと、哀れな隣のおばあさんとおじいさんでしょう。
最後の「とっぴん ぱらりの ぷ」も面白い響きです。
「とっぴん ぱらりの ぷ」の意味を調べたら昔話の終わりに使われる秋田県由来の言葉だそうです。「これでおしまい。」や、ハッピーエンドの場合には「めでたし めでたし。」の意味があるそうです。
正直なおじいさんと優しそうなおばあさん夫婦の関係を表す表紙の絵や、文中や裏表紙に載っている山の神(おじぞう様)の表情など趣があります。
また、正直なおじいさんと隣のおじいさんとの対比や、表情や姿勢でつづらの大きさの対比を表す絵など、この話にぴったりの絵が随所に出てきて面白いです。
文中のおならの音では、昔話の“とりのみじいさん”にも、似たような「あやちゅうちゅう こやちゅうちゅう にしきさらさら ごようのまつ」という鳴き声があります。
また、正直じいさんと、隣の欲ばりじいさんの登場は、同じような昔話があった気がして調べたら、そのような話は「隣の爺型」民話と分類されているそうです。
日本には調べると興味深い昔話が出てきますね。
つくづく、欲張らず正直なおじいさんになってゆきたいと感じました。
また、この1月号「やまやまの へっぴりじさま」は福音館の「こどものとも年中向き」1996年11月号で発刊されたものの再販だそうです。初版を見た記憶のある方もいらっしゃると思います。
なんでこんなことも調べたのかと思うと、「やまやまの へっぴりじさま」の不思議な世界にひかれたからかもしれません。









