拍動する田端 - 「LSCH」から「まれびと」に恋する | 【ぼくらの国の企画書】by 助っ人ゆうさん@障害者

拍動する田端 - 「LSCH」から「まれびと」に恋する

コミュニティってなんだろう。ブルーバードは京都事務所・518桃李庵を「町家コミュニティカフェ」と呼んでいます。事務所シェアの仲間であるNPO法人home's viの嘉村賢州さん・浅田雅人さんの町家シェアハウスに関する屈指のノウハウに、深田が「ヨソモノ」の感覚を使って工夫をしてきました。

「518桃李庵」という名前は、司馬遷の『史記』にある「桃李成蹊」という言葉に由来します。桃や李(すもも)は、その実が芳しく美味しいので、どんなに困難な山の中にあっても、自然に人や動物が集まり、進む道ができる。人望の厚い李将軍を褒めるのに用いられた例え話です。「人が集まって、自然に未来への道ができるコミュニティを作ろう」。それが、僕らが「518桃李庵」という名前に込めた想いです。僕らは事務所を運営しながら、それを常に模索しています。

一方、東京北区・田端。

山手線田端駅の徒歩10分圏内に異変があります。3月に「まれびとハウス」、6月に「Life Style Creator's Houstin」という、俗に言う「86世代」が経営する、2つの不思議なシェアハウスができました。

社会起業団体・日本患者学会 公式ブログ「病気と生きるはもっと楽しくできる」-LSCH
田端・LSCH

「LSCH」は、発起人の玉置沙由里さんが「まれびと」をリスペクトして生まれたもの。「作りかけ」で玉置さんも、まだコミュニティと呼ぶにはまだ抵抗があるとに感じているようです。コンサルタントらしい頭の切れる早口。ともすると評価的に人をみているように聞かれがちな玉置さんですが、実は争いごとや対立構図、二元論が嫌い。「まれびと」の住人全員をリスペクトしています。

その「まれびと」は、開始4カ月目にして「完成したコミュニティ」として機能しています。イベントに参加していても、住人と話をしているだけでも半端なく気持ちがいい。それでいて誰からの反発もなく収益文化を安定させています。やってくる人たちからの報酬で、NPOなら『専任スタッフ』、お寺なら『住職さんたち』の生活を保つことができているのです。

6人いる住人の中でも、「まれびと」の『専任』として生きているのが内田洋平くんと小野美由紀さん。小野さんが好んで使う「生きている」という表現が、2人には正しいように思います。なぜなら仕事は?と訊くこと自体愚問に感じられるからです。「ニートです」「まれびとハウスです」と答えるでしょう。

NEET = No Education, Employment or Training、というイギリスの言葉を好き好んで輸入したのは、組織社会の信奉者なのかもしれません。自己成長がゼロの人なんてありえないので、この「Training」は職業トレーニングのことなのでしょうが、そうすると八百屋のおじさんもニートの分類です。深田も少なくとも本人は「職業トレーニング」という意識でブルーバードをやっていないので、定義上ニート。町の名士として仕事をしている政治家さんも、誰に雇われている訳でない点でニートです。起業家や自分で事業をするということに疎い日本。赤字でやっていたって仕事・職業です。ニートって実は旧来「自営業」と呼んで認めていたものだということに、早く気が付いてほしいな、と僕は思います。

僕らの患者仲間にも「入院してるからニートです」「ずっと家で療養しているからニートです」と自虐する方がおられます。「まれびと」のように、決して恐縮することはないと僕は思います。「ニート」という言葉が好きなら、それに胸を張ったらいい。周囲の理解が得られにくいなら、「まだ儲かっていない自営業です」と言ってみてはどうでしょうか。

ユニクロを展開するファーストリテイリング社の柳井正会長は「これからは自営業者の時代」と言い切っています(テレビ東京系「カンブリア宮殿」理想の人材スペシャルより)。ユニクロが採用する人材について触れて「簡単に言えば自営業者としてやっていけるかどうか」と話しています。自営業としてやっていける人でなければ、2020年・30年・40年の社会で生きていけない。僕もそう感じています。

「LSCH」の玉置さんは、内田くん・小野さんのような「生き」方を、「ライフ・スタイル・クリエイター(創職男子・女子)」と呼んで尊敬・羨望して見ています。「LSCH」の名前の由来です。彼女自身も大手企業コンサルタントとライフ・スタイル・クリエイターの両面を持つ「多重人格」な生き方に挑戦しています。

田端のように、いろんな病気の患者仲間と自営業者として、僕はやりとりをして暮らしたい。生きるように仕事をしている状態。病室がシェアのSOHO(コンパクトな個人的オフィス)として機能してる病院があってもいい。そう思います。

シェアのコミュニティをご覧になられたい時は、ぜひ事務所として営業している、京都上京・東小川通寺之内下ルの我らが「518桃李庵」へ足をお運びください。過去の記事でも場所をご案内しています。

「人が集まれば自然に未来への道ができる」、そんな世界に僕は住みたい。