ふとした瞬間に、夫の優しい声が耳の奥で響くことがある。「なんだか最近、雰囲気変わったなと思ってさ」。リビングでノートパソコンに向かっていた私に、タロウがそう言ってくれたのは、副業を始めて数ヶ月が経った頃だった。あの言葉は、ただの感想ではなかった。それは、私自身も気づき始めていた変化を、一番身近な人が見つけてくれた、温かくて、少し照れくさい、大切な瞬間だったのだ。

あの頃の私は、パートと家事に追われる毎日の中で、漠然とした不安を抱えていた。パート代だけでは心もとない家計、中学3年生になった息子コウタの「あれ買って」という無邪気な一言にさえ、すぐに「いいよ」と言ってあげられないもどかしさ。タロウはいつも優しかったけれど、彼に頼ってばかりいる自分に、どこか引け目を感じていた。「私も、何かできないかな…」。そんな思いが、静かに、でも確かに胸の中で育っていったのが始まりだった。

初めて「プロジェクト管理」という言葉に出会い、在宅ワークの世界に足を踏み入れた時の不安は、今でも鮮明に覚えている。カタカナばかりの専門用語、パソコン越しの見えないクライアントとのやり取り。私なんかに本当にできるのだろうか。パート先のスーパーでの立ち仕事とは全く違う世界。最初の仕事は、簡単なタスク入力だったけれど、慣れないツールと締め切りに追われ、徹夜して仕上げた。あの時の疲労感と、クライアントからの「ありがとうございました」の一言が届いた時の安堵感は、忘れられない。失敗もした。報告が遅れたり、指示を勘違いしたり。その度に落ち込んだけど、「次はこうしよう」と改善策を考えることが、少しずつ私を強くしてくれた気がする。

最初は「無理するなよ」と心配そうだったタロウが、私の変化に気づいてくれた。ぶっきらぼうだけど「母さん、なんか違う」と言ってくれたコウタ。家族が私の挑戦を静かに見守り、応援してくれている。そのことが、どれほど私の背中を押してくれたことか。時間管理を工夫し、タスク管理アプリを使いこなし、時には時短家電にも頼って、自分の時間を作り出す。そうして少しずつ実績を重ねるうちに、パート代とは別に、自分の力で稼いだお金が、確かに手元に残るようになった。

カフェでメニューを開く時、以前のように値段を気にして一番安いものを選ぶのではなく、「今日はこれが食べたいな」と素直に思えるようになった。あの季節限定のフルーツタルトを、何の気兼ねもなく注文できた日の、ささやかな幸福感。それは、経済的な余裕だけではなく、自分で道を切り開いているという自信がもたらしてくれた、心のゆとりだったのだと思う。

「なんだか最近、雰囲気変わったなと思ってさ」。タロウがくれたあの言葉は、きっと、そんな私の内側からにじみ出るものを受け取ってくれたのだろう。疲れた顔ではなく、少しだけ前を向いて、自分の足で歩き始めた私の変化を。まだまだ学ぶことは多いし、挑戦は始まったばかり。けれど、あの言葉を胸に抱きしめながら、私は今日も、私らしい一歩を踏み出している。未来はまだ分からないけれど、あの頃よりずっと、その道筋が明るく照らされている気がするのだ。

ふと、夫のタロウがいつか掛けてくれた言葉を思い出す。リビングでノートパソコンに向かう私の背中に、彼は穏やかな声で言ったのだ。「お母さんが楽しそうにしてるのは、俺も嬉しいよ。応援してるからな」。あの時の、少し照れたような、でも心からの温かい響きが、今も胸の中にじんわりと広がっていく。あの言葉は、私が手探りで歩んできたこの数ヶ月を、そっと肯定してくれる大切なお守りのようだ。

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パート勤務と家事の合間、「プロジェクト管理」という未知の世界に飛び込んだ40代主婦サクラの物語。スマホ一つで始められる在宅ワークのリアルな挑戦と成長を描いた、同じ境遇の女性に勇気と具体的なノウハウを届ける実用的なストーリー。家族との関係、時間管理の工夫、失敗と成功体験を通して、自分らしく働く喜びを再発見する感動の副業入門書。

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