「Webアプリ開発とかどう?」

数年前の私は、パートと家事に追われる毎日の中で、漠然とした焦りと満たされない気持ちを抱えていた。スーパーのパートを終え、夕飯の買い物を済ませて歩く商店街。家計簿アプリの数字とにらめっこしては、ため息をつく。SNSに流れてくる友人たちの「キラキラした日常」や、在宅で活躍する同世代の女性たちの姿は眩しくて、自分には縁遠い世界のように感じていた。「私には特別なスキルなんてない」。そう思い込んで、変化を望みながらも、最初の一歩を踏み出せずにいたのだ。

そんな私の背中を押してくれたのは、友人ユキの言葉だった。「Webアプリ開発とかどう?」。未知の世界への誘いに、私の心は「できるわけない」という不安と、「もしかしたら」という淡い期待の間で揺れた。パソコンだって得意じゃない。時間だってない。夫のタロウも、最初は心配そうな顔を隠さなかった。「お前にできるのか?」と。その不安は、私自身の不安でもあった。

それでも、「このままじゃ何も変わらない」という思いが勝った。ユキに教わったオンライン学習サイト。家族が寝静まった早朝や、家事の合間のわずかな時間。眠い目をこすり、慣れないキーボードと格闘する日々が始まった。画面に表示されるエラーメッセージは、まるで外国語の呪文のようで、何度も心が折れそうになった。簡単なはずの「Hello World!」すら表示できず、情けなくて涙がこぼれた夜もあった。でも、諦めずに間違いを探し続け、ようやく画面にその文字が表示された時の、あの胸が熱くなるような達成感は忘れられない。「私にも、できるかもしれない」。暗闇に差し込んだ、小さな光だった。

クラウドソーシングという大海原に漕ぎ出した時も、不安でいっぱいだった。実績ゼロの私が、仕事なんて貰えるのだろうか。ドキドキしながら初めて応募し、採用のメッセージを受け取った時の驚きと喜び。そして、プレッシャーの中で必死に修正作業をし、震える指で納品ボタンをクリックした、あの深夜。クライアントからの「ありがとう」の言葉と、初めて自分の力で稼いだ報酬が振り込まれた通帳の数字を見た時、世界が少し違って見えた。

いつしか、心配していたタロウが「洗い物は俺がやるよ」とキッチンに立ってくれるようになり、息子のコウタも「お母さん、頑張ってるね」とコーヒーを淹れてくれるようになった。家族の支えが、どれほど心強かったことか。エラーに冷静に対処できるようになり、少しずつ難しい案件にも挑戦できるようになった。直接「あなたにお願いしたい」と指名された時は、天にも昇る気持ちだった。

今では、パート代に加えて、副業の収入で好きなケーキを買ったり、学びたい本をためらわずに手に取ったりできるようになった。それは金額以上の、心の余裕と自信をもたらしてくれた。

「まずは、やってみよう」。あの日の小さな決意が、私の日常を彩り、未来への道を照らしてくれている。もちろん、今でも新しい挑戦の前には不安になる。けれど、あの言葉を胸の中で繰り返せば、また一歩踏み出す勇気が湧いてくるのだ。確かな手応えを感じながら、私は今日もキーボードに向かう。未来は、自分で作っていける。そう信じられる今が、とても幸せだ。

私の Webアプリケーション開発副業体験が、Kindleで電子書籍になりました!

 

「もう少し自分のためのお金があったら…」そんな主婦・サクラの小さな願いから始まるWebアプリケーション開発への挑戦。プログラミング未経験から、友人のアドバイスを頼りに学習をスタート。エラーとの格闘、夜遅くまでのコーディング、そして初めての納品…。家事と育児の合間を縫った努力が実を結び、少しずつ収入を増やしていく姿を物語形式で描く実用書。技術解説だけでなく、主婦が副業を始める際の時間管理術や家族との協力体制の築き方まで、リアルな悩みに寄り添った解決法を提案。「パソコンが苦手」「まとまった時間がない」という方にこそ読んでほしい、新しい働き方への第一歩を後押しする一冊。

子育てママの新しい挑戦!99円で、私も一緒に夢を叶えよう!