昨年の11月初め、赤いりぼん運動で盛り上がっていた頃だったと思います。
秋晴れの気持ちのよい朝、私は仕事も休みだったので、さくらとのんびり散歩していました。
途中、手ぶらで、やはり散歩中らしき年配の女性に声をかけられました。
さくらを見て、「まあ、可愛いこと! うちも白いシュナを飼ってたんですが、一週間前に亡くしたばかりなんですよ」と。
私: そうなんですか、それはどんなに寂しいでしょうね。何と言ってよいのか言葉がみつかりません。
女性:はい、すごくいい血筋の仔でね、血統書付きの仔でしたから、今度だけは最期ま で看取ったんです。
私: はい? 今度だけって?
女性:ええ、前に飼ってた2頭は、どちらも歳とって保健所に連れて行きましたから。
それでね、すぐに殺されちゃったんですよ。
私は凍り付きました。
ついに会ってしまった…
毎日数百頭の仔が保健所に持ち込まれていることを知ってはいても、
それだけの数の無責任飼い主があふれていることを知ってはいても、
なぜか一生会うことはないと勝手に思っていました。
だって、どんな理由があるにせよ、長い時を一緒に暮らしてきた家族を捨てたのだから、
きっと後悔し、恥じて、他人に言うことなんてできるはずないと思っていましたから。
でもその人はこんな身近にいて、しかもきちんとした感じの人で、悪びれることもなく、さらっと言ってのけたのです。
私は絶句しましたが、その人が無知なのかもと思い、
保健所では安楽死ではなく、アウシュビッツのように、ガスで約15分間、もだえ苦しみ、泡をふいて壁をかきむしって死んでいくのだと説明しました。
それでもその女性は、
「だって、外飼いの、雑種でしたから。それに、昔はみんな老犬は保健所に持っていったんですよ。」と、
眉間にしわを寄せて言いました。
私はその時、昨年、長崎の保健所で起きたことを思い出しました。
ご存知のかたも多いと思います。
飼い主の入院により飼えなくなった13歳のヨーキーが、保健所に持ち込まれた時のこと。
とても可愛らしい仔でした。
そのとき老犬に飼い主から持たされたのは、好きだったおもちゃでもなければ、ベッドでもフードでもなく、
たった一枚の血統書だったこと。
長崎life of animal さんが保護し、わんにゃんレスキューはぴねすのクリさんが引き取ってくださったあの時のこと。
「血統書では命は救えない」という言葉が今でも忘れられません。(記事元ブログ)
ペットショップで買うと付いてくる血統書。
これが付いてると高く売れる。発行しているところは大変な利益を得ていると聞きました。
でも、ショーに出すならまだしも、家庭犬にとってなんの意味もないと思うのです。
スタンダードと言われるその基準も、犬の健康など考えもせずに、人間が勝手に作ってきたもの。
しかも、ブリーダーが申告した通りに、何の検査もなく発行されるのですから、いいかげんなもんだと私は思っています。
もしこの女性のように、血統書がないから殺すことに罪悪感がないという人が他にもいるとしたら…
ペットショップや生体販売を批判していると、たまーにこんなこと言う人がいます。
ペットショップが悪いんじゃなくて、飼い主が悪いんだから、飼い主が心を入れ替えればいいんじゃないの?と。
そんなことができたら何の苦労もありません。
幼少期からの介在教育など、膨大な時間と手間をかけないと、ほぼ不可能だと思っています。
毎日捨てに行く数百人もの無責任飼い主に、誰がいつ、、どうやって教育するのでしょう。
私が、こんなに時間をかけて必死に訴えても、たった一人の心を動かすこともできなかったのに。
長くなってしまいました。
昨晩は、さくらが珍しく、朝までいっきに眠ってくれたので、私も眠れて助かりました。
ほんとのことを言うと、さくらの介護より、同居している父の方が大変なんですけどね。
脳梗塞に血液の難病、耳も悪いので。
では、また。
~追記~ 明日の番組をお知らせします。
2018年1月24日(水)午後10時~放送 クローズアップ現代 動物愛護団体“崩壊” ~犬・猫 殺処分ゼロの裏側で~