ネットワーク型組織では個人は全てノード。個人が独立した価値を提供する存在にならないと、ノードになれない。すなわち、ネットワーク型組織の中では誰とも繋がれず、結果、組織の一員になれない。

ピラミッド型組織は組織の上位者が下位リソースとして所有するモデル。そのため、組織中で最下位で無ければ、その人は独立した価値を提供しなくても、下位を所有しているということで存在が許される。上位者には、所有している人(リソース)を使っての価値提供が求められる。

ピラミッド型組織はその構造上、独立した価値を提供していない人が生まれる。そのオーバーヘッドがあっても組織全体として高いパフォーマンスがあれば問題ないが、一度パフォーマンスが悪くなるとその状況を変えるのはかなり大変。

ピラミッド型組織でパフォーマンスが悪くなるとまずはじめるのが、管理強化による下位者のパフォーマンス強化。次が、上位者の組み替えによる管理強化、それに伴う組織変更。で、すべての施策は上手くいかない。短期的にはちょっとは良くなるかもしれないが。

ピラミッド型組織のパフォーマンスが出ない理由は、管理して作った価値が、管理者のオーバーヘッドに対して十分でないから。だから、管理を強化するという施策はあるかもしれない。でも実際は、管理をしている「人」悪いわけで、同じ人がいくら管理強化の名の下に何をしても上手く行っていないことの再生産なり、あまり効果はあがらない。

ピラミッド型組織のパフォーマンスが一度落ちると、ネガティブスパイラルが始まる。管理強化する、その結果、現場が疲弊する。そのため、更にパフォーマンスが落ちる。パフォーマンスが落ちると相対的に管理者のオーバーヘッドが高くなる。そして、管理者は焦り過去の自分の成功体験にたより、さらに管理強化する…。

ピラミッド型組織のパフォーマンスを上げるシンプルな施策は、管理者を下位者にして、独立した価値を提供する人を増やすということ。でも、これは絵空事。長年、独立した価値を提供してない人は、価値を提供できない。

ピラミッド型組織でパフォーマンスを上げるためには管理者を減らすのが一番。次が管理者が独立した価値を提供するようにすること。しかし、この二つは管理者にとってどちらも悪夢。だから、効果はないのはわかってはいるけど、管理強化の施策を行う。

そして管理強化の結果、独立した価値を提供している人の離脱、更なるパフォーマンス悪化、オーバーヘッドの拡大が組織崩壊まで続く。

ネットワーク型組織はパフォーマンス悪化しても回復しやすい。ネットワーク型組織は独立した価値を提供している人の集合なので、そのネットワークの組み替え、増強でパフォーマンスを変えることができる。質も、量も。組み替えが自由にできる、このことはネットワーク型組織の真骨頂のひとつ。

ネットワーク型組織では、全体パフォーマンスが落ちるのをそれぞれが事前に察知/回復させることが期待できる。各個人は価値提供しているから、他の個人とつながることが出来ていると考えている。自分がその組織に所属できているのは自分が価値を提供しているからだと考えている。そのため、自分のパフォーマンスには敏感。

自分のパフォーマンスに敏感になり、常にチェック/調整していれば、組織全体に影響があるかもしれない大きな変化を察知することができる。そして、その変化に対して「自分のため」に対応する。その結果、個人パフォーマンスが強化され、組織パフォーマンスも維持される。

事業サイクルが短い事業環境には、ピラミッド型組織向かない。そして、事業環境が向かない環境に変化した時に、ピラミッド型組織のままでは組織がクラッシュしてしてしまう。そう考えると、組織維持のために、既存のピラミッド型組織をネットワーク型組織に再構成するというのが一つの解なのかもしれない。

ピラミッド型組織からネットワーク型組織への移行は簡単ではない。契約形態、業績評価制度も根本的に見直しが必要。当然、個人の生活にも大きな影響がある。でも、そこに取り組まないと組織がクラッシュする状況なのかも。あと何年で、という話はあるかもしれないが。

今年、新入社員向けメッセージを、「組織に認められるといろいろと楽だから、雑用するのは投資効果高いよ」から、「とにかく独立して価値を出せることを目指せ。そのためには意識的に経験を積む必要がある」にかえた。その組織がピラミッド型組織だとしても、自分の仕事のスタイルをネットワーク型組織に対応させないと。一度、ピラミッド型組織の仕事スタイルを身につけてしまうと、ネットワーク型組織に変更するのは非常に大変。

twitter 2013/11/08 (tweetを編集)


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