人の傷み



今日で妊娠14週になった。
13週に入った途端に気持ち悪いのがなくなった。
つわりは終わったのか…?
いや、また再発するかもしれないから油断はできない。

普通の生活に戻った。
寝た切り状態だったあの二ヶ月は一体何だったのか…
二ヶ月よりもっと長く感じた。
毎日あんなに苦しくて辛くて、もう嫌だと泣き続けた日々。
何だったのだ、あれは…と今思っていることが不思議でしょうがない。

オランダ旅行で出逢って、今でも仲良くさせて頂いている70代と60代の二人のご婦人にお手紙で妊娠を報告した。
彼女たちは本当に素敵なご婦人で私は尊敬している。
二年前の食事会の時に私が結婚の報告をした時も涙を流して喜んでくださった温かいお二人。
そのお二人からのお返事の言葉に私は泣いてしまった。
お二人とも「私もね、本当につわりが辛かったからわかるよ」と…
素敵で大好きなお二人もつわりが酷かったんだ、同じだ、と嬉しかった。
経験されている人の言葉ほど救われるものはない。

私は忘れていた大切なことを思い出した。

私は恵まれた人生だと思う。
だけど、辛いことも沢山あった。
特に10代、そして20代前半、30代半ば…
語り尽くせない苦しみを乗り越えて生きてきた。
だから、誰よりも人の傷みが解る人間になれたのだと思う。
だから、私の周りにはいつもあんなに人が集まってしまっていたのだと思う。

楽しいことも苦しいことも人生に起こる全ての出来事は決して無駄なことではなく、必ず意味がある。
特に苦しい経験は、同じ経験をする誰かを救ってあげることができる。
だから、苦しい経験こそがとても尊いこと。
誰よりも優しく強く温かく尊い存在の人間になれる。
だから、『若い時の苦労は買ってでもしろ』と言われるのだ。

苦しみの渦中にいる時には、そんなことはなかなか思えないけれど、忘れてはいけない…
私の経験もあなたの経験もこれから沢山の人々を救ってあげることができる尊い糧になることを。