何故か急に…


おうたがいつも着ていたジャージを目にしたくなった。

おうたが居たんだ、生きていたんだと、証みたいなものを、急に欲するような感覚…


多分、原因は昨日の出来事。


周りのみんなが別の少年を当たり前のように「おうた」と呼ぶことへの違和感。

不安。


私の息子は確かにいたよね?

私のお腹から生まれ、7年間共に生きていたよね?



あんまりにも会えない時間が長過ぎて、確かめるようにおうたの荷物を引っ張り出す。


だけど、求めていた服を探せなくて。

サイズアウトしていたジャージは出てくるのに、いつもサッカーの練習で着ていたジャージ、ハーフパンツ、靴下がない。




そうだ

おうたをお空に送り出すとき

おうたはそれらを着て行ったんだ…


元気に走り回れるように



あの頃の記憶だけが、抜け落ちていたかのように、はっと思い出すと同時に、声を出して泣いた。


いたのかな?

いたんだよね?


肌で確かめたいのに、おうたはいない。

おうたを思い出す服も、手元にはなかった。

サイズアウトしたジャージの匂いをかいでも、おうたの匂いはもうしない。


昨日公園にいたよそのママが、何度も「おうた」って呼ぶ。

その度に、返ってくる声。返事。


どうして私が呼ぶ声には、返事がないの?

彼女と私の違いは何?

3人の子供に囲まれて。

失う不幸も、知らないでしょうね。