・・・・今までの話・・・・

prolougue








この空の向こうがわ  ☆一年生 春☆ no.1


―――――入学式、当日。

この日の朝は、今までで一番、忙しかった。



「モカちゃん、今日の服・・・・コレでいいかしら??」



「おばさまのお洋服、素敵ですよ?!」



鏡の前で、前や後ろを何度も気にしているおばさまに、何度も言うが

なかなか納得してくれない。



「・・・・母さん、俺先に出るけど、ちゃんとモカを連れて行ってやってよ?!」



「あっ!!!透唯(トウイ)・・・・・あなたも、今日学校あるの?」



「・・・・・生徒会役員は、入学式のお手伝いに借り出されるんだよ?

昨日もそう、言ったよね?!」



「・・・・・あらっ?そうだったかしら・・・・??」



「・・・・・・母さん・・・・・・まだボケる年じゃないだろう??」



二人のやり取りを見るのも、もうなれた。


この家は、私の本当の家ではない。

私は訳あって、お母さんのお兄さんの家・・・・

連条家でお世話になっている。


今日の入学式に一緒に行ってくれるのは、おばさまで・・・・

おばさまとお話をしていたのは、

一人息子の、透唯。


私から見ると、従兄にあたる透唯は、私より2歳年上の、高校三年生。

私が入学する高校の、生徒会長様でもある。


私のいろんな事情を知っている・・・・・

数少ない、味方、なのかな?



私が桜林高校に入りたいと言った時、

おじさまやおばさまは反対したけれど、

唯一、透唯だけは、反対しなかった。


そして、一緒に説得するのを手伝ってくれた。


フフッと笑っていると、透唯と目が合った・・・・・



「・・・・・何?」



「イヤ・・・・・・アリガト、ね?!」



「・・・・・急に、どうした??

いきなりそんなこと言うと、気持ち悪いんだけど??」



「いいじゃんっ!!!」



「・・・・??

まぁ、先、行くな??」



私の言葉の意味がわからなかった透唯は、変な顔をしながら

先に高校へと向かった。


私は、いまだに鏡から離れられなかったおばさまを

何とか連れ出して、新たな学校へと・・・・・向かった。






新たな制服、新たな学校・・・・・


皆が、新しい生活にドキドキ、ワクワクする中、私は・・・・・・

言い知れぬ緊張に、襲われていた。


みんなが思い描くような、期待も、喜びも、何も無い。

私が、この学校生活でほしいものは、ただひとつ・・・・・・


真実、のみ。


きっと、ここにこれば、あの時の真実が、わかるから――――



外に張り出されていた、クラス発表も

体育館で行われる入学式も

楽しみなことなんて、何一つ無い。


でも・・・・・・・


入学式の最中、私が予想だにしていなかったことが起こった。


それは、クラス担任の先生の紹介の後に行われた、新しい先生の紹介の時のこと。

新任の先生と、新たに入ってきた転入の先生。



な・・・・・・・・なんで・・・・・・・・・いるの???



壇上に立っていたのは、私の知っている人。



「・・・・日野 章吾(ヒノ ショウゴ)です。数学を担当します・・・・」



章吾、さん・・・・・・・・・


その人は、私の初恋の人。



そして――――――――――――


お姉ちゃんの・・・・・・・元恋人。




5年前の・・・・・・私の人生が変わってしまった、あの事件。


それは・・・・・・・


大好きだった、お姉ちゃんが

この学校で、飛び降り自殺をした―――――


その当時付き合えっていたのが、章吾さん、だ・・・・・・・




もう、会うことも無いと思っていたのに―――――


運命のいたずらなんだと、思った・・・・・・




no.2へ、つづく・・・・・





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