Happy Birthday 【B-2 レイノ ルート】
「・・・・・・キョーコ」
その男の姿に、私は自分の目を疑った。
だって・・・・・・・
まだ暗いとはいえ、もう明け方。
夜が似合いそうなこの男に、こんな早朝に起きているなんてありえない。
私は、その男、レイノへ駆け出した。
「あっアンタいったい、どうしてこんなとこにいるの??」
レイノの目の前に着くと、思わず叫んでしまった。
レイノは顔色ひとつ変えずに、私のことをジーッと見ていた。
「・・・・・朝からうるさい」
「うるさい、とかじゃなくって、どうしてここにいるのかって聞いてるんでしょ??」
「・・・・・・これ」
そういって、レイノは右腕を差し出した。
グーッとしている手は、えらく硬く結ばれていて
ちょっと手が白くなっている。
「・・・・・やる」
へっ????
「な・・・・・何で???」
「・・・・・・誕生日、なんだろ??」
あっ――――――――――
「俺はこんなんだから、クリスマスとか祝う習慣無いけど
誕生日に惚れた女にプレゼントのひとつでもやりたい、と思ってな・・・・・」
――――――――――惚れた女
さらっと言われたその一言が
どんなに私の心に染み入ったのか・・・・・
あんたは気づいてないんでしょう???
「・・・・・ありがと」
そういっておずおずと両手で皿のようにして前に出すと
そこにレイノが握り締めていたものが置かれた。
「・・・・・・これ??」
それは、少し大きなクロスのネックレスで交差部分に、石がはめ込まれている。
「特注の、ロザリオ。
お前だけのものだ・・・・・・」
特注といわれて、ちょっとためらいそうになったけれど
やっぱり、自分が気になっている人からもらうものだから
どんなものだって、欲しい。
「早速、つけてみてもいい??」
「じゃあ、つけてやるよ」
そういうと、私の手の上にあったロザリオをそっとつかんで
私の首の後ろへ両手を持っていった。
ただ、ロザリオをつけてくれているだけだというのに、
目の前にレイノがいて、かなり近いこの状況に、ドキドキした。
ほのかに・・・・・レイノの香りがする。
クラッと、めまいがしそうになる。
「・・・・・ついたぞ?」
そっと手が離されるのだが、その近かった距離はそのままだった。
「綺麗・・・・・」
私は胸に下がったロザリオを手に取り言った。
目の前にいるレイノの表情なんて、わからなかった。
ロザリオを見ながらニマニマと笑っていた私を、
レイノはいきなり抱きしめた。
「ちょ・・・・・・レイノ??」
「・・・・・・俺の女になれ。」
そう耳元でささやいて、ギュッとさっきよりも力強く抱きしめてきた。
「なによ・・・・・・その言い方。」
わかってる。
レイノがそんな言い方しかしないのも。
でも、ちゃんとした言葉で言って欲しい。
「・・・・・俺のモノになれ。」
「私はモノじゃないわ。」
そうじゃないの。
そういって欲しいんじゃない。
「・・・・・・俺のそばに居ろ。」
「今だけでいいの??」
「・・・・・・いや、違うな・・・・・・・」
そういった後、黙り込んでしまったから、
思わず私は少しだけ押し返し、レイノの顔を見ながら
「”好き”って・・・・・・言うだけで、いいんだよ??」
「・・・・・・・・・・・////////」
私が言った後、レイノは何も言わずに顔を真っ赤にさせたから
「・・・・・レイノでも、顔赤くなるんだね。」
「そんなこと、言うな。」
そういって、少しすねた顔をしながら横を向いてしまったレイノに
思わずクスクスと笑っていると
「笑えないようにしてやるっ。」
そういって、私の顎に手を取ると、
そっと優しく、キスをした。
触れるだけの、優しいキス。
すぐに唇は離されるが、レイノはそのまますごい近い場所にいたまま
「・・・・・・・好きだ」
っ!!!!!!!
そしてそのまま、何度も口づけを交わした。
私は
貴方に
堕ちました――――――
おちまい
お初のレイノ×キョーコ。
書いていて、何気に楽しい。
レイノくん、不思議だわぁ~~。
そして、これまた作者の好みっぽく仕上がりました♪