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前回→序章その1その2




守りたいもの・・・・  その3


クリスタルパレスに到着して・・・・・

一人の男性がやってきた。



「モガミ小国の、キョーコ姫でいらっしゃいますね?

ローリィ大司祭がお待ちしております。

こちらへどうぞ・・・・・」



私たちは、その男性について歩いていくのだが・・・・・

初めて来たであろう、カナエとユキさんはキョロキョロあたりを見回していた。

レンは・・・・・いつもと変わらない様子で、前を向き歩いていく。

そして、私は――――――――――


来た事がないはずなのに・・・・・

何故か懐かしい感覚に、襲われていた。




*



通された謁見の間に、大司祭様は座っていた。



「・・・・・よく来たな、キョーコ姫。」



ニコリと笑いながら、よく通る大きな声で大司祭様は言った。

私の想像では、もうちょっとお年を召された方なのかと思っていたから

思いのほか若くみえるので・・・・・ちょっと戸惑ってしまった。



「今回、ここに来たのは、隣国アカトキの強襲と・・・・・

そなたの力の解放の件、だったな・・・・」



「えっ・・・・・」



私も、カナエも・・・・まだ何も申し上げていないのに、どうして・・・・???

私とカナエの不思議そうな顔を察して



「・・・・・私は、何でもお見通し、なのだよ、お嬢さん方」



先ほどよりも優雅に微笑まれて・・・・・

この大司祭様は、いったい何者なのだろうか、と考えてしまった。



「アカトキのことは、何とでもなるのだが・・・・・

そなたの力の解放は、少し難しくてな・・・・・」



「・・・・・どういうこと、ですか??」



「うう~~む・・・・・、少し、長くなるが・・・・・・聞いてもらえるだろうか?」



私も・・・・他のみんなも頷いて答えると、大司祭様は、説明してくれた。



「・・・・・力の封印、というものは大体・・・・

術者がかけるもので、それを解くのは、その術者しかできない、

ということは・・・・・知っておるかな???」



「・・・・・えっ?!そうなんですか???」



後ろでカナエが驚きの声をあげた。



「・・・・・存じております・・・・・」



私は、昔父さんに教えてもらって、知っていた。



「ただ、な・・・・・・キョーコ姫の力を封印したものは

そのとき一番、ここで力を持っているものだったのだが・・・・・

その彼でも、失敗をしてしまって、だな・・・・・」



「・・・・・失敗、ですか??」



今度は、ユキさんが問いかけていた。



「失敗、と言っては聞こえが悪いな。

実は・・・・・キョーコ姫と共に、一緒に力を封印したものが居て、な・・・・

そいつは・・・・・・実は『魔憑き』だったんじゃ・・・・・」



「『魔憑き』ってっ!!!!!!」



「魔族の力に魅せられて、その魔族と契約を交わしていたんだ・・・・・

そのため、術者はそいつの中に入り込んでいた魔族の攻撃を受け

呪いをかけられてしまった・・・・・・・」



「えっ・・・・・・・」



「ちょっと待ってください。

術者様が呪いにかかってしまったのなら、術者様は、もう力が使えないのでは・・・??

そうなると・・・・・キョーコ様の封印を解くことも・・・・・・」



「そう、できなくなる。」



「なっ!!!!」



あまりのことに、それぞれ言葉を失ってしまっていた。

だが・・・・・・



「まぁ、そう落ち込むな。

ちゃんと、別の方法もあるから・・・・・

二つ、あるんだが・・・・・・

術者の呪いを解くか・・・・・・

我が国のクリスタルの力を借りて、姫の封印の力を解くか

どちらがいいのか、のう・・・・・・」



大司祭様は、こういうなり、考え込んでしまった。

私たちは、それぞれ顔を見合わせた後、大司祭様の

次の言葉を、固唾を呑んで待っていた。



「・・・・・術者の呪いを解く方法は・・・・・

ずっと調べているのだが、なかなか見つからなくて、な・・・・・

彼も、ずっと苦労をしているのだよ。


一番簡単な呪いを解く方法が、その・・・・・

キョーコ姫と共に封印を受けた、彼の力の解放。

つまりは・・・・・呪いをかけた魔族の力の解放、なんだ・・・・・。


それは、本当は避けたいのだが・・・・・

彼の力もまた・・・・・キョーコ姫と同様、とても大事なのだよ、

この国にとって・・・・・・・。」



大司祭さまは、苦々しい顔をしながらも

淡々と言葉を選んで話をしてくれている。



「クリスタルに力を借りるには・・・・・

このLME内にある、すべてのクリスタルに力を借りなくてはならない。

そのためには、キョーコ姫が自分で、それぞれのクリスタルに触り・・・・

自分の体の中に、そのクリスタルの力を少しずつかしてもらう・・・・

そうすれば・・・・・最後ここへ戻り、

このクリスタルパレス内にある、クリスタルの力を借りることで

力の解放は・・・・・成しえると思うのだが・・・・・・


そうだったよなっ?!・・・・・・レン。」



大司祭様の最後の言葉に、私たちの一番後ろで話を聞いていたはずのレンを

振り返り見てみると、彼は、動じることもなく、淡々としたまま



「・・・・・そのはずですよ?ローリィ様」



「フッ・・・・・・様、なんて、つける柄じゃなかったのにな・・・・・

いつの間に、大人になっちゃったんだろうなぁ~、お前も・・・・・」



「・・・・・・いろいろ、ありましたから・・・・・・・」



・・・・・・二人は、知り合いなの???

私は思わずカナエとユキさんの顔を見たが、

二人とも不思議そうな顔をしていた。


レンっていったい、何者なの――――――????



「・・・・・レンは、どの方法がいいと思うんだ??」



私たちの動揺など、全く気にしていないように

大司祭様とレンは、話を続けていく。



「・・・・・呪いを解く方法がわかっていない以上・・・・・

それぞれのクリスタルのところへ行くのが・・・・妥当かと思いますが・・・・・」



「・・・・・・が??」



「・・・・・彼女の力も解放されれば、一緒に封印された彼の力も

一緒に・・・・・解放されるはずです。

そのように・・・・・・封印しましたから。」



―――――――――へっ???今・・・・・なんて????



「キョーコ姫と、彼は・・・・・・相反する力、だったから

それぞれ封印するよりも、互いの力を借りた、ということか。」



「・・・・・・そうですね。」



「ちょっ!!!!!ちょっと待てっ!!!!!!

じゃあ、そのお前の左手にある、呪いのしるしは・・・・・・

そのときのモノだって事か?????」



大司祭様とレンの話をさえぎるように、ユキさんが大声を出した。


・・・・・呪いの、しるし・・・・・????



「えっ・・・・・じゃあ・・・・・・

キョーコ様の力を封印した術者様っていうのが・・・・・・レンなの??」



あまりの展開に、何も言えなくなっていた私に代わって

カナエが、レンに問いかけていた。



「レン・・・・・が術者ではない。

正しくは・・・・・・・クオン。

彼の本名は、クオンだよ、お嬢さん。

そして彼は・・・・・・次期大司祭、つまりは・・・・・

俺の跡を継ぐ、実力者、ということだな。」



―――――――――えぇぇぇぇぇ~~~~????


あまりのことに、声に出せずに絶叫していると・・・・・



「・・・・・・俺は、大司祭にはならない、と言いませんでしたか???」



不機嫌そうな顔をして、レンが言っていたのだが・・・・・

私にはもう・・・・・聞こえていなかった。




つづく・・・・・











久々に、このお話を更新です。


このお話も好きだ、と言ってくださる方がいるので・・・・・

ちゃぁ~~んと、(たまにですが)更新しますよ♪


さて、相変わらず、設定ばらしが早い早い。


でも、この話は・・・・・一応、ファンタジーって事で冒険が主体なので・・・・・

早々とレンの正体、ばらしちゃいました。

もうちょっと、引っ張っても良かったんだけどねぇ~~。