My sweet home 《act.6》 キョーコの憂鬱な一日・前編
モー子さんとお友達になれて数週間後。
私は、かなりモー子さんと親しくなり、モー子さんの影響を受けるようになった。
それは、そんなある一日・・・・・・・
蓮はいつも寝起きが悪い。なかなか起きてくれない。
前は、よく寝室まで行って、布団をはがしても起きなくって・・・・・
何度寝ぼけた蓮に抱きしめられたことか・・・・・・////
でも、そんな寝起きの悪い蓮でも、一発で起きる秘密兵器を教えてもらった。
その名も・・・・・・・・・
『フライパン大作戦』
そっと、蓮の寝室に入っていき、耳元で
ガァーーーーーーーーーーーーン!!!!!!
思いっきり叩いた。
すると、蓮はビックリして飛び起きた後、
呆然としたまま私を見たから
「蓮、朝だから起きて。
早くしないと、遅れちゃうよ??」
あまりの衝撃だったのか、蓮は、まだ呆然としたまま軽く頷いた。
私はそれを見届けた後、ダイニングへ戻っていく。
・・・・・・・成功、したかな??
ウフフッと喜んでいるのだが、蓮がなかなか出てこない。
いつもは、もう着替えて出てきてもいい頃なのに・・・・・・
心配になって、ノックをした後
「・・・・・蓮???」
呼んでみたのだが、返事がない。
どっとドアを開けてみると、さっきから全く動いていなかった。
「れ・・・・・蓮?????」
私は急いで蓮に駆け寄ると、両頬をぺちぺち叩いて顔を覗きこむ。
何回か叩いたら、やっと目の焦点が合ってきて
「・・・・・・キョーコ・・・・・・・」
「蓮っ!!!もうあんまり時間ないよ??
大丈夫なの????」
「っ!!!!」
今度こそちゃんと起きたらしい蓮は、急いで着替え始めたのだが、
私がそばに居ることも全く気にしていなかったので・・・・・・
ちょっと・・・・・・恥ずかしかった。
*
朝食も食べずに急いで出かけてしまった蓮を見送った後、
私も準備して、学校へと出かけた。
今日は、週に一度の朝会がある日で、ちょっとばかりいやだった。
いつもだったら、毎週モー子さんのお話が聞けてうれしいのだが、
最近校長先生の話が長引くことが多くて、朝会が長引くから
生徒会からの連絡事項がないときは、モー子さんのお話がなくなってしまったのだ。
毎週の楽しみが奪われたようで、かなりつまらない・・・・・・
そう思いながら、今日も朝会が行われる体育館へ行くと、
今日は舞台袖にモー子さんが居るから、連絡事項があるのかな??
とちょっと楽しみにしていた。
校長先生の長い話も終わり、いよいよ生徒会からの連絡の話になったところで
顔を上げると、
フワッとした後、一瞬で、意識が遠のいた――――――
「・・・・・・・・・・・最上っ!!!!!」
遠くで誰かの呼ぶ声を聞きながら・・・・・・・
*
目を覚ますと、そこは保健室のベットの上だった。
「あっ、目、覚めたか???」
パッと声のしたほうを見ると、蓮がいたから、ビックリした。
そっと、ベットサイドに近寄った後、私のほうへ顔を近づけ
「(ボソッ)キョーコ・・・・・、朝会中に貧血で倒れたんだけど・・・・・
その、大丈夫か???今日・・・・・・二日目だろう???」
「なっ///////」
そ、そりゃあ、一緒に住んでるんだから、気づかれてるかもしれないとは
思っていたけれど、面と向かって言われたことがなかったから
あまりのことに絶句してしまう。
「キョーコ、大体いつも調子悪くなってるだろ??
ちゃんと薬飲んで、しっかり休んでおけよ???」
心配そうに頭を撫でる蓮に、ドキドキしてしまう。
ハッと蓮が手を離し、ベットから少し距離をとると同時に
シャッとカーテンが開かれた。
「最上さん、目が覚めたのね???大丈夫???
軽い貧血だと思うから・・・・・この薬、飲めるかしら???」
保険医の安芸先生が優しい笑顔で薬を持ってきてくれた。
「ハイっ、大丈夫です。」
体を起こし、薬を飲んでいると・・・・・
「最上さん、ラッキーだったわよねぇ~。
敦賀先生がここまで抱きかかえて運んでくれたのよぉ~~~??
しばらく学校中の女子から羨望の眼差しで見られるかも知れないけど
覚悟しておいてね!!!!
ハァ、いいなぁ~~~。私も運んでくださいよ、先生!!!」
こういうなり、安芸先生は顔を赤くしながら、蓮の腕に絡みついた。
「ちょ、ちょっと安芸先生。生徒の前なので、やめていただけませんか??」
絡みついた腕をそっとはずしながら言うのだけど
「じゃあ敦賀先生。生徒が居なかったらいいんですかぁ~~????」
「・・・・・・・遠慮させていただきます。」
「えぇぇぇ~~~・・・・・・・」
安芸先生は、本当に残念そうにしている。
チラッと私を見た蓮が困った顔をしているのがわかったから
「安芸先生、グラス、ありがとうございました。」
薬を飲んだグラスを渡すと、安芸先生はそっと片付けに離れていったから
蓮は安芸先生が居なくなるのを見ると、またそっと私に近づき
「ありがとう、キョーコ。助かったよ。
あぁそうだ。昼休みでもいいから一度、英語準備室まで来てくれないか??」
「えっ?!どうして・・・・・・」
「すまん。今朝急いでて、弁当、間違えて持ってっちゃったから・・・・・・」
「えっ?!そうなの???気づかなかった・・・・・・
じゃあ、弁当持って行くね。」
「すまんな。じゃあ、俺はこれで行くから、
キョーコはゆっくり休むようにっ!!!!」
さっさと蓮は保健室から出て行くと、安芸先生が戻ってきて
「あれっ?!敦賀先生は・・・・・??」
「・・・・・・もう行っちゃいましたけど・・・・・・」
「あら、そうなの・・・・・・・・残念だわぁ~~。
最上さん、一限目は寝ててかまわないからね。」
そういってカーテンを閉めてくれた。
ゴロンとベットに横になるのだが、なかなか寝付けなかった。
*
「・・・・・・・・・」
微かに人の話し声が聞こえ、うとうととしていたのだが、少しずつ目が覚めてくる。
「・・・・・・・祥子さん・・・・・」
・・・・・・・・あれっ?!この声・・・・・・・
「ちょっと、尚っ!!!今ベットに最上さんが居るから、やめてよ。」
「・・・・・・大丈夫だよ。きっと・・・・・寝てる」
「あっ・・・・ちょ・・・・・・・・ンアン・・・・・
そんなとこ・・・・・触っちゃ、ダメヨン・・・・・・・」
・・・・・・って、な、何してんの?????
こ、ここ、学校の保健室よね???
そ、それに・・・・・・・尚って・・・・・同じクラスの不破くんよね????
えっ??えっ????えぇぇぇぇぇぇ~~~ッ!!!!!!
「・・・・・・・でも、アイツ連れてきたの・・・・・・敦賀なんだってな・・・・・・」
「って尚、サボってさっき学校来たばっかりなのに、
何で知ってるのよ。」
「・・・・・・まぁ、それはいいじゃん。
で、アノヤローって、やっぱりアイツのこと、目、付けてんのか??」
「アイツって・・・・・・最上さんのことよね???
只の生徒じゃないの???」
「イヤッ!!!!!絶対に違うっ!!!!!!!
前にも言ったけど、俺は・・・・・・・アイツを手に入れないといけない。
そのためには・・・・・・・」
「私に、敦賀先生を誘惑して欲しいんだったわよね?!」
「そう・・・・・・だから・・・・・・・
頼むよ、祥子さん・・・・・・・・
レイノにも・・・・・・負けられないんだから、な?!」
「ん・・・・・もう・・・・・・・尚の頼みは、断れないわね・・・・・」
チュっという音が聞こえてきて、二人が何をしているのか
なんとなく想像がついてしまうのだが、
それよりも私は、今の二人の話の内容が気になっていた・・・・・・
アイツって・・・・誰???
アノヤローって・・・・・・・誰のこと????
それよりも・・・・・・・・・
安芸先生が、蓮にモーションをかけていたのは
・・・・・・・不破君がお願いしたから???
いったい・・・・・・・どういうことなの?????
後編へつづく・・・・・・