永遠というものがあるのならば



私はずっと信じていけるだろう



神様に誓って―――――――――――




ange 【ボクだけのdiva】 vo.46 ~all for youⅩⅠ~




あれから、約2年の月日がたち・・・・・・・


今、私が居るところは・・・・・・・

アメリカの某所にある、小さな教会の中。


私が父であるショーン・フェリルの映画のプレミアムイベントで

アメリカに来ていた私は、日本でのクランクイン前に

こんなところに寄り道している。


――――――――――というのも、今日ここで、結婚式があるからだ。


どうしてこんな小さな教会で、とも思うのだが・・・・・



と考えていると、扉が開き、目の前には、バージンロード。


その先には――――――――――――――



私のお父さん、ショーンが一人で待っている。



「さぁ、行くよっ!!!お母さんっ!!!!」



隣に居る、お母さんがニッコリと笑って、腕を組んでくれた。



そう、今日は―――――――――――――


私の父、ショーン・フェリルと、母、福島 楓(本名、関 双葉)の

再婚式、である。



私の主演映画に、ショーンは久しぶりの私の復帰映画だから、と

なるべく知っている面子を集めてくれていたのだ。


相手役は・・・・・・オーディションをアメリカで大々的にやったみたいだけど

結局、クオンが『敦賀 蓮』で取った。


そして、福島 楓が、敦賀蓮の母親役をしたって訳。


日本人の母親は、日本人でってこと、ね・・・・・・



お母さんは、ずっとショーンのことが、好きだったのだ。

離婚した後も、ずっと・・・・・・


誰とも再婚せず、ずっと独身で居たのも、そのせい。


今回、撮影で再開して、お母さんは最初、見ているだけでよかったみたい。

でも・・・・・・ショーンもずっと、好きだったのはお母さんだけだったようで、

ショーンのほうからアプローチしたんだって!!!

(信じられないっ!!!)

だったら・・・・・・最初からずっと、そばに居てあげればよかったんじゃないのっ!!!


でもきっと・・・・・・二人にしかわからない、何かのせいで別れてしまったんだよね・・・・??


だから今日、二人がもう一度結婚してくれるのが、私はうれしいっ!!!!

たとえ、二人がいい歳でも・・・・・・/////




母と二人、バージンロードを歩くと、参列者がそれぞれこちらを見る。


今回の映画関係者が、ほとんど。

後は、クーおじ様とジュリおば様、くらいかな。

ショーンの前にお母さんを連れて行くと、私は



「お母さんをよろしくね。ショーン^^」



母を差し出した。


もう、二度と別れないでよねっ!!!
という願いもこめて。


ショーンは何も言わないけど、しっかりと頷き

そっと、お母さんの手を取り、二人で並んだ。





*




再婚式も終わり、近くの別荘でガーデンパーティーを行っていると



「・・・・・素敵な結婚式でしたねぇ~~~^^」



ちょっとお酒を飲んで、ほろ酔い気分の京子さんがやってきた。


京子さんは、敦賀蓮の妹で、私との友達役で映画に出演したのだ。

京子さんは、いつもと変わらずいい演技をしたものだから、

すっかりショーンが気に入ってしまって、

”今度は彼女を主役で”と盛り上がっている。



「えへへぇ~~~、だいじょうぶれすよぉ~~~」



・・・・・・・ろれつが回ってないですよ???


心配をしていると、そこへ



「もうっ!!!京子ったら・・・・・・・

あまり飲みすぎたらダメよっ???

ほら、あっちで少し休みましょう????」



マネージャーさんがやってきてくれた。


ホッと一息ついていると・・・・・・



「可愛いキョーコは飲みすぎてしまったんだね・・・・・

アンジェは・・・・・飲んでるの???」


デイビット・グレイクがやってきた。

彼は・・・・・・私の説得(?)のかいがあって、相手役のオーディションを受けたのだが

受かったのは・・・・・私の元彼役だった・・・・。



「・・・・・・飲まないわよっ!!!」



「まぁ、一杯くらい飲んでもいいんじゃないの??

今日はお祝いの席でしょう???ほら、ね・・・・・???」



シャンパンのグラスを持って、手渡そうとする。


うう~~ん・・・・・・・とうなっていると



「・・・・・彼女はお酒が弱いので、やめてもらえませんか??」



背後から助け舟を出してくれたのはいいけど・・・・・・

何、怖い声出してるのよっ!!!クオンッ!!!!!!



「・・・・・・そ、そう、か・・・・・・・。

アンジェ、日本の舞台挨拶には行けないけど、がんばってね。じゃあっ!!!」



こういうなり、足早にデイビィは去っていった。


チラリ、と斜め後ろに立っているクオンを覗くと



「・・・・・・・・何??どうかした・・・・???」



・・・・・・さっきと打って変わって、極上の微笑み。

あんた・・・・・・・何者????



「・・・・・別に。ただ・・・・・・そんなに怖いオーラ出さなくたって良かったじゃない・・・・・。」



「大事なアンジェに嫌な虫がついたら、いやだろう???」



ニッコリと微笑みながら言われた言葉に・・・・・

顔が引きつってしまうのは、仕方がない。



「でも・・・・・・またすぐに日本で舞台挨拶、かぁ・・・・・・・」



「その頃には・・・・・・日本では大変なことになっているんだろう、ね?!」



満面の笑顔で言われたって・・・・・困るんだけど?!



「それって、和奏ちゃんの自叙伝の話かぁ~~~???」



そこにヤッシーが加わってきた。



「まぁ、本を出して、”関 和奏=ジュリア・フェリル”って事を

発表したいって言い出したのは、他ならぬ社長だが

そこに、父親の話だったり、母親の話だったり・・・・・

何より幼馴染の恋人話が載ってるんだから、

きっと話題になってるんだろうなぁ~~~」



ニヤニヤしながらしながら話に乗ってきたのは、ヒロ。



「今頃きっと、和奏ちゃんの幼馴染は誰なんだって

ワイドショーでやってるんだろうなぁ~~。」



「噂の彼と幼馴染、彼女の本命はどっち、とかぁ~~~?!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・


私とクオンの目の前で、二人に言いように笑われていて、悔しいっ!!!!


私は、この映画が上映される数日前に発売になる、自叙伝を書いた。

きっと・・・・・・今頃書店に並んでいるんだろう。


もちろん、映画をいろんな人に見てもらおう、という狙いもあるのだが

お父さんとお母さんの結婚の記念、ということもあるし

何より・・・・・・・・・・・・・

和奏もジュリアも・・・・・・私なんだって

私がみんなに発表したかったから。


その自叙伝の中で、私は幼馴染、としてクオンのことを書いた。

もちろん、今の恋人、として・・・・・


記述は少ししか書いてないし、名前ももちろんふせてあるけど

見る人が見れば、すぐにわかってしまう。


そして・・・・・・・・・


かなり前から、クオンには、いいえ、敦賀蓮には恋人がいる、という噂が流れて

(もともとは、雑誌のインタビューで、恋人が居るって言っちゃって

そのまま書かれたことがきっかけなんだけど)

いろんな人を憶測していた中で、何故か最近、私が・・・・・

和奏が一番の本命じゃないかって、言われている。


ムムムッっと怒っていると・・・・・・・



「二人とも、アンジェが怒ってますから、もうやめてもらえませんか???」



このクオンの言葉に、二人して私を見るのだが・・・・・・



「ゴ、ゴメン・・・・・。悪乗り、しすぎちゃった、ね・・・・・

(結構、この顔も可愛いなぁ~~)」



「ププッ!!!!お子ちゃまじゃないんだから、そんな怒り方するなよなぁ~~!!!!」



プチンッ!!!



「もうっ!!!!!うるさいっ!!!!やめてよっ!!!!!!!」



ハァ、ハァ・・・・・・・言っちゃった・・・・・・・・


すると、二人してため息をついたあと



「ハイハイ。じゃあどっか行きましょうか、高山さん」



「ハァ~~・・・・・そうだな、社。」



こういって、二人は歩いて去っていった。


ずっと隣で見守っていたクオンは、二人が居なくなってから



「そういえば・・・・・・本のタイトル、映画の曲と同じにしたんだって??」



「まぁ、ね///////」



「なんてタイトルだったっけ?!」



「えっ?!」



あれッ?!私・・・・・・・クオンにちゃんと教えたよね???

でも・・・・・今、ここで言いたくないんだけど・・・・・・???



「・・・・・・・・今、言わないと、ダメ??」



ちょっと顔を赤くしながら言うと、クオンはそっと顔を近づけてきて



「じゃあ、後で寝室で聞かせて、ね。」



えっ!!!!!!

耳元で急に艶のある声で言われたら・・・・・


顔を真っ赤にしていると



「部屋で、お酒飲んでもいいから、ね・・・・・??」



まだ顔を赤くしながらも、クオンのこの言葉に、私は軽く頷いた。


私は、甘いお酒は好きなのだが、クオン以外の前では

お酒を飲むのを禁止されている。


理由は――――――――――――

酔った姿を、誰にも見せたくないんだそうだ・・・・・・・


クオンが居ないときは、一杯くらいだけ飲んでるけど

今日は彼も居るし、飲まないでおいて良かったのかもしれない。



今夜、またクオンにあの言葉を伝えよう。


あの日からずっと、私があなたに伝えたい言葉――――――――――




”All for you”






―FIN―




----------------------


とりあえず、何とか終わらせました。

次回に、たぁ~っぷりとあとがきという名の反省会、書きます。