昨日初めてあなたへ届いたというのに
今日思い知ったの
あなたの運命の相手はきっと
―――――――――――私ではないんだ、って・・・・・
ange 【ボクだけのdiva】 vo.44 ~all for youⅨ~
自分の部屋へ駆け込み、扉を閉めたとたん、崩れ落ちた。
あの頃から、ずっと・・・・・・・・・・・・・
クオンは、京子さんのことが好きだったんだ。
昨日あったことは、夢じゃない。
現実だとわかってる。
でも――――――――――
彼が私を抱いたのは、京子さんには不破さんが居るから?
自分の想いが伝えられないから???
止め処なく溢れる涙を抑えきることは、できなかった・・・・・・・
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<社side>
今朝、いきなり高山さんから電話をもらったときは、本当にビックリした。
今日も和奏ちゃんが部屋に居ないんじゃ、確かにあせるのはわかる。
でも、高山さんは、和奏ちゃんが蓮の部屋に居るかもしれないからっと・・・・・
何故か、何故か(←強調してますっ!!!!)俺に電話をさせたんだっ!!!!
・・・・・・・確かに、蓮のマネージャーは俺だから、俺から電話するのが筋だとは思う。
けど・・・・・・・・・この状況を、思いっきり楽しんでませんか???
で、俺は今、いつも少食な担当俳優さんを朝食に誘いに部屋まで行ったのだが
つい、部屋の中でキョロキョロしてしまっていると・・・・・
「・・・・・・・あの後すぐに、自分の部屋に帰っていきましたよ?!」
シレッといつも通りの涼しい顔で言い出すものだから、
ちょっと意地悪を行ってみようと思った。
「・・・・・・・お前、さぁ~~。ついこの前まで、キョーコちゃんのこと
好きだったんじゃないのか???
なのに・・・・・・キョーコちゃん相手なら俺もわかるけど・・・・・・・
どうして和奏ちゃんを部屋に泊めてるんだ???」
「あぁ・・・・・・・
彼女疲れていたので、話している途中に寝てしまったんですよ。
さすがに、寝てしまった子を部屋まで連れて帰るのもなんですし、
何より、彼女の部屋の番号、知りませんから・・・・・・・」
その言葉を聞いて、ちょっとビックリした。
てっきり二人は昨日・・・・・・と思ってしまっていたから。
蓮がキョーコちゃんのこと、すごく好きなことくらいわかっているし
和奏ちゃんが蓮のことが好きだったのも・・・・・・気づいてたから。
昨日てっきり和奏ちゃんは、蓮に告白するんだと思ってた。
あんな風に
”昔の気持ちを取り戻した”って喜んでいたんだから・・・・・・
「そう、か・・・・・・・」
ついつい顔がにやけてしまうのは仕方がない。
俺がニヤニヤ笑っていると
「社さんには申し訳ないんですが・・・・・・
彼女とは付き合うことになりましたから。」
――――――――――――――――――えっ?????
な・・・・・・・・・・なんだとぉ~~~~~~ッ!!!!!!!!
「ちょ、待てっ!!!!!
お前が好きなのはキョーコちゃんだろ????
なのに急にどうして・・・・・・・・・」
あまりのことに動揺してしまい、かけていた眼鏡が若干ずれてしまった。
「俺が誰と付き合おうが、いいじゃありませんか。」
「良くないっ!!!!!第一に俺はお前のマネージャーだっ!!!!!
それに何より・・・・・・・・・俺は、和奏ちゃんのことが好きなんだぞ?!
お前だって、それくらい気づいてたんだろう????」
「はい・・・・・・・」
・・・・・・・蓮、お前、顔色もまったく変えずにどうしてそう冷静で居られるんだって・・・・・・
そういえば・・・・・・・
昨日の蓮は、あまり落ち着いてなかったな・・・・・・・・・
「彼女が好きなのは俺な訳ですし、問題ないんじゃないですか???」
「・・・・・・・じゃあ、蓮は・・・・・・・
蓮は和奏ちゃんのこと、どう思ってるんだよっ!!!!!!」
俺が真剣な顔をして聞いていると、多少目を見開いた後
それはそれは柔らかな笑みをこぼし
(そう、昔はキョーコちゃん限定だったあの笑みだっ!!!!)
「好きですよ。」
こう一言言うと、部屋の外へ出て行った。
*
朝から続いた撮影も昼になり、いったん休憩となった頃
キョーコちゃんが俺たちのところにやってきて
「敦賀さん・・・・・・・ちょっと、二人きりでお話したいことがあるんですが、いいですか??」
深刻そうな顔をして言うから、何だろうと思っていると
「・・・・・・・和奏ちゃんのこと、何ですが・・・・・・」
「えっ・・・・・・・・・」
蓮もさすがに気になっているようで
「じゃあ、俺はあっちに行ってるから、二人でご飯でも食べながら
話しててよ、ねっ!!!!」
こう言って、歩いて去っていった・・・・・・
フリをした。
・・・・・和奏ちゃんのことは、知りたいだろう???
そっと近くにある物陰に隠れ、二人の話を聞いてみた。
「・・・・・・それで、話って何かな???」
「あ、あの・・・・・・今朝朝食で和奏ちゃんと高山さんとご一緒したんです。
そこで、昨日私が先生と二人で話していたことの話題になったんです。
・・・・・それは、”コーン”のことでして・・・・・・」
・・・・・・・・”コーン”???・・・・・・・とうもろこし、か???
「昨日先生に確認しました。
”コーン”は敦賀さんのことだったんですよね?!
・・・・・・どうして、何も言ってくれなかったんですか????」
「・・・・・・・・ゴメン。
俺はもう、あの頃の、キミの”コーン”じゃないから・・・・・・
言うことはできなかったんだ・・・・・・・」
「・・・・・・・そのことは、今はいいです。
今は、和奏ちゃんのことが心配ですから。」
「・・・・・・・心配???」
ガサゴソと、何かを取り出すような物音がすると
「・・・・・・”コーン”を・・・・・・和奏ちゃんにも見せたんです。
もしかしたら和奏ちゃんも知っているかも、と思って。
でも・・・・・・・和奏ちゃん、これを握り締めた後、泣き出しちゃって・・・・・・」
「えっ????」
「挨拶もそこそこに帰っていっちゃったんで心配で・・・・・・
何でも、”宝物だから、一度も触らせてもらえなかったのに・・・・・”みたいなことは
言ってましたが・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・そう・・・・・・・・・・」
「あ、あのっ!!!!!私、和奏ちゃんの気に障るようなこと
しちゃったんでしょうか???
和奏ちゃん、今日ちゃんと歌えたんでしょうか・・・・・
今日、昨日と一昨日の遅れを取り戻すんだって高山さんが言ってみえたので
心配で・・・・・・・」
「・・・・・・・・・最上さんは、何も心配することはないよ??
それに、そんなことで歌えないようじゃ、彼女は歌手失格なんじゃないかな・・・・???」
―――――――――――蓮????それは、厳しすぎないか????
「・・・・・・・・・・・・・・フフフッ!!!!
敦賀さんと和奏ちゃんって、仕事に対しては厳しいところはそっくりなんですね!!!
今朝、和奏ちゃんも似たようなこと言ってましたよ?!」
「えっ?!そうなの・・・・・???」
「ハイッ!!!!敦賀さんの少食を心配してたら
”そんなことで倒れていたら、俳優失格よ”みたいに言ってましたぁ~~~!!!!!」
「アハハッ・・・・・・・、彼女らしいねっ!!!!」
「彼女・・・・・・・・」
「・・・・・??最上さん、どうかした????」
「いえっ。・・・あのぉ~~・・・・・、敦賀さんは和奏ちゃんのこと
いつもなんて呼んでるんですか??
今、和奏ちゃんのこと彼女って言ってたから
いやに他人行儀だなぁ~、と思って・・・・・・」
「・・・・・・・二人きりの時の話???」
「はい・・・・・・・」
「・・・・・・・・昔と変わってないよ。
最上さんが、不破のこと”ショーちゃん”と言ってたように
俺も彼女のことを、子供のときからの呼び方をしているから・・・・・・
しかもそれは名前じゃないし・・・・・・」
「・・・・・そうなんです、か・・・・・」
・・・・・・・確かに、俺も気になる。
そういえば、今朝も彼女って言っていたよな???
・・・・・・・・・・なんて呼んでるんだ?????
「じゃあ、今日仕事終わったら、一度彼女を話をしてみるから・・・・・
また明日、最上さんにはどうだったか教えるよ。
午後からの撮影は気にしないで演ろうねっ!!!!」
「あっ!!!!!今日、気にしてたの、わかりましたか???」
「・・・・・・ちょっとだけ、ね。」
「・・・・・・・ホントにちょっとでしたか???」
じゃれあってるような二人の話し声を遠めに聞きながら俺は、
今聞いた話を考えていた。
つまり―――――――――――
キョーコちゃんと蓮は、昔会っていてそのときに
蓮が大事にしていたものをあげた、か何かで
今、キョーコちゃんの手元にある。
それを見た和奏ちゃんが・・・・・
二人の仲を疑っている、ということ、か・・・・・・???
・・・・・・ど、どうなるんだよぉ~~~!!!!!!
⇒vo.45 へ
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イヤンッ!!!!!長くなったぁ~~~っ!!!!!!