昔の私と今の私



決定的に違うこと、それは・・・・・・・・・



もう私は、一人じゃない




ange 【ボクだけのdiva】 vo.41 ~all for youⅥ~



<社side>



今俺たちは、蓮の部屋から自分達の部屋へ戻るところ。


無事に戻ってきた和奏ちゃんは、何故かひどい仕打ちをした男を許して

自分の父親にまで許してもらうようにお願いをしていた。


その父親から出された条件っていうのが

”もう一度女優となり、映画に出ること”


・・・・・・後で高山さんに聞いたら、なんと主演らしい。

ハリウッドの名監督の次回作なんて・・・・・注目度抜群の映画で

いきなり主演なんて・・・・・・・よっぽどの自信がないとできないよなぁ~~?!


でも彼女は、自分で演ると決め、返事をした。


それを確認した父親の監督は・・・・・・・


レコーディングが終わったら、一度家に帰るように言うと

蓮の父親だったクー・ヒズリとともに、自分達のホテルに帰っていった。

明日早々に、自分達の仕事場に戻るためらしいけど・・・・・


・・・・・・・・俺としては、和奏ちゃんの昔の話とか、父親のこととかよりも

何気に蓮の過去の話のほうが、ショックが大きかった。




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(ヤッシー視点で、vo.37の続きです)



先ほど、クー・ヒズリが言ったことに・・・・・耳を疑った。


・・・・・・・クオン???・・・・・・誰のことだ???


俺も、高山さんも訳もわからず固まっていると、



「・・・・・・・先生の、息子さんのお名前ですよね??

って・・・・・・・・・・えぇぇぇ~~~~~~っ??????????」



キョーコちゃんが、最後には絶叫しだしたのだが・・・・・

今のキョーコちゃんの話によると、

クオンという名前は、クー・ヒズリの息子の名前で、

その名前で蓮のことを呼んだっていうことは・・・・・・・・



「・・・・・・・・・蓮・・・・・・・・まさか・・・・・・・・・お前って・・・・・・・・」



俺は蓮に疑いの眼差しを送った。


高山さんは一言



「・・・・・・なるほど、ねぇ・・・・・・・(やっと納得できた)」



こうこぼした後、ニヤニヤ蓮を見て笑っていた。


蓮は・・・・・・・

クー・ヒズリの発言にみんながそれぞれ反応しているのにもかかわらず

ずっと・・・・・・・・下を向いたまま、考え込んでいた。


俺たちの反応にはあえて無視をして、クー・ヒズリを見た後



「・・・・・・・・・・場所を教えてください・・・・・・・・」



その表情は、何かを決意したかのような凛々しい顔つきだった。



「その前に・・・・・・・その格好を何とかしないとなぁ~。

それじゃあ乗り込んでいっても・・・・・、アイツに変な顔されるだけだぞ?!

門前払いって事もあるし・・・・・」



こういうと、パンパンと両手を叩いたのを合図に、この部屋に数人の人間が入ってきた。



「ボスにも許可は取ってあるから・・・・・・・・

今からすぐ、『クオン』に戻れっ!!!!!」



ニヤリと笑いながらこう言うと、驚きを隠せない蓮を無理やり奥の部屋に連れて行ってしまった。




*



部屋から出てきた蓮には・・・・・・さすがに言葉を失ってしまった。

金髪碧眼の・・・・・・・その格好に、男の俺でも見惚れてしまうほど。


その姿を見たキョーコちゃんが小さく



「・・・・・・・コーン??」



と呟いたのだが、俺以外には聞こえていないようだった。


蓮はクーから和奏ちゃんがいると思われるところのメモを受け取ると

俺たちに無言のまま一礼をして、部屋を出て行った。



蓮が居なくなった後、俺はこれ幸いと思い

思い切ってクーに、蓮の昔を教えてもらった。


クオンとしての、日々の話を・・・・・・・




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確かにアイツの過去の話なんて知らなかったけど・・・・・・

信頼されていると思っていたのに、蓮は何も教えてくれなかったから・・・・・・


そんなことをずっと考えていると・・・・・・



「・・・・・・・社は、これでよかったのか??」



高山さんが俺にこう聞いてきた。



「・・・・・・・何が、ですか??」



俺はあえてこう答えたのだが、高山さんにはとぼけているのがわかったようで



「何がじゃないだろうっ!!!!

お前だって、和奏のこと、好きなんだろう???

・・・・・・・・あいつらを二人きりにして・・・・・・・いいのか???」



・・・・・・そう、今部屋に戻ろうとしているのは、俺と高山さんとキョーコちゃん。

和奏ちゃんは・・・・・・・・・まだ蓮の部屋に残っている。


でも、それは和奏ちゃんが自分の意思で残ったんだから、俺は何も言えないんじゃないか??



「・・・・・・・・確かに、和奏ちゃんのことは好きです。

でも・・・・・・俺はずっと和奏ちゃんのことを見てきたから

彼女が誰のことを想っているのかくらい、わかります。

ここで・・・・・・・邪魔をすることなんて、できないでしょう???」



俺のこの言葉を聞いて、高山さんは一瞬驚いたものの、フッと一息ついて

ガシッと俺の首に腕を回し



「よぉ~~~~しっ!!!!!!今日はとことん飲むぞっ!!!!!!!」



って・・・・・明日から仕事なんだけど・・・・・・・

でも、まぁ、付き合ってくれるのなら・・・・・・いいか。


こんな俺たちの話をずっと横で聞いていたキョーコちゃんは



「・・・・・・・・飲みすぎないでくださいね?!」



ニッコリと笑いながらこう言って、自分の部屋に入っていった。


そういえば、部屋で蓮が戻ってくるのを待っていたときに

キョーコちゃんにわざわざ国際電話がかかってきてたけど、

あれ・・・・・・誰だったんだろう??




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<和奏side>



みんなが自分達の部屋へ戻るといって席を立ったとき

私はクオンの顔をチラリと見て・・・・・・・そのまま立ち上がれず残ってしまった。


その場で立とうとしない私を見て



「・・・・・・・和奏??どうした???

今日は疲れたから、早く休んだほうがいいんじゃないのか??」



ヒロが優しく声をかけてくれた。



「ん・・・・・・・・まだちょっと・・・・・・・話があるから・・・・・・・・・」



この私の言葉に、なんとなく理解したヒロは



「じゃあ、話が終わったらなるべく早く休むんだぞ?!」



というなり部屋を出て行った。


その後ろから、ヤッシーは心配そうな顔をしながらも



「じゃあ、またねっ!!!和奏ちゃんっ!!!!!」



手を振って出て行った。



「和奏ちゃん、きっと疲れてるから早く休んでね?!」



両手を取ってこういってくれたのは、京子さん。

その言葉の後に、手を振って部屋を出て行った。



そして

・・・・・・・・・・・・・・・・二人きりになってしまった部屋に、沈黙が流れる。


バフッと

大きな音をたてて、クオンは私が座っている隣に腰をかけた。


ドキッと胸が高鳴るのだが

何から話せばいいのか、ためらっていると


「・・・・・・・・・・・・・話って、何???」



微かに隣から声が聞こえてきた。


その声に反応して、やっとクオンのほうへ顔を向けると・・・・・

彼はなかなか自分のほうを向こうとしない私が気になって

覗き込んでいる形となっていたため、顔がすぐ目の前にあった。


・・・・・・・・・・ちょ、ちょっとっ!!!!近いわよっ!!!!!


さっき以上に心臓がバクバク音をたてる。


微かに赤くなった顔を、あまり気づかれないようにしながら

ちょっと距離をとり、とりあえず気になっていたことを聞いてみた。

「・・・・・・・・どうして、あんな格好をしてきたの??」



クオンは何も言わず、ただ私を見つめ返すだけ。


きっと・・・・・・わかってるの。

あの格好をしたほうが、デイビィには誰が来たのかわかるから。

敦賀 蓮のままじゃ・・・・・・彼がクオンと気づかないかもしれないし・・・・・


でも・・・・・・彼がクオンに戻る、ということには抵抗しなかったのかしら???

私は、そのことを聞きたかったのに、彼は・・・・・・・何も答えてくれない。



「クオンに戻ることに・・・・・・抵抗はなかったの??」



この言葉に、クオンは驚いて目を大きく見開いたのだが、

フッと微笑んだ後、静かに首を横に振った。



「そう・・・・・・・・なら・・・・・・・いいんだけど・・・・・・」



「・・・・・・何か、気になる???」



クオンは私の言葉に若干引っかかりを覚えたのか

さっきよりももっと近づいて聞いてきた。


・・・・・だから、近いってっ!!!!!!


もうちょっと後ずさりをしようとしたのだが、もうソファのふちで、これ以上下がったら

下に落っこちてしまいそうだった。



「えぇっと・・・・・・気になるっていうか・・・・・・・

クオンに戻るって事は、さぁ・・・・・そのぉ~~~・・・・・・・・・・」



「何?!」



言いながら私に近づいてきて・・・・・・



「ち、近いよっ!!!!!!」



私はもうちょっとで彼とくっついてしまうくらいの距離になったため

あわてて両手で二人の間のスペースをとろうとするのだが

彼はまったく気にせず

なおも近づこうとするので、恥ずかしくなった私は下を向いてしまった。



「・・・・・・・そんなに、気にしてくれてたんだ」



ボソッと耳元で言われた言葉は・・・・・・

彼の本音?!



「確かに・・・・・・抵抗がなかったかって言われたらウソになるけど

そんなこと、あまり考えている余裕もなかったかな。

・・・・・・・・・早く、キミに会いたかったから・・・・・・・」



――――――――――えっ????


最後の言葉に、私の頭が真っ白になる。



「・・・・・・・・アンジェ?!・・・・・・・顔を、上げて???

キミの、かわいい顔を・・・・・見せて???」



――――――――――――――――――――ハイィィィ~~~??????


ボッと大きな音をたてたくらいに、顔が真っ赤になった。

ぜ、絶対に、無理よっ!!!!!と思ってずっとがんばって下を向いていると



「・・・・・・プッ」



頭の上から、クオンが笑った音がした。


っ!!!!!!!!



「か、からかったのねぇ~~~~~っ!!!!!!!!!!」



顔を上げ叫んだのだが、クオンはまったく気にしていない様子で

優しく微笑んでいた。


その柔らかい笑顔に思わず見惚れてしまっていると



「・・・・・・やっと、顔が見れた。」



甘い声で言われて、またもや胸が高まる。


いつの間にか優しく抱きしめられていて、クオンに私の胸の鼓動が

聞こえてしまっているんじゃないかと思った。


ジッと私を見つめるクオンの瞳に思わず吸い込まれそうになる。



「・・・・・・・・・・・・・クオン」



「・・・・・何??」



ジッと彼の瞳を見つめたまま、私は本題を切り出した。



「あなたが・・・・・・・・・・好き。」



小さくそっとつぶやくように言うと、彼は驚いた表情をしたのだが

すぐにフワッと笑ったかと思うと、抱きしめていた腕に思いきり力を入れた。


ギュッときつく抱かれ、ドキドキしていたのだが、私も彼の背中にそっと腕を回し

彼の胸に顔を埋めた。


・・・・・・・・・あったかい・・・・・・気持ち、いい・・・・・・・・


抱きしめられるぬくもりと、彼の鼓動の音が気持ちよくて・・・・・・


そのまま眠ってしまいそうになった。



「ア・・・・・アンジェ???」



クオンが心配そうに私を覗き込む。



「・・・・・・・ん、だい、じょう・・・・ぶ・・・・・」



彼の心配そうな顔を見て、何とか答えたのだが、思いっきり大丈夫じゃなさそうな

受け答えになってしまった。



「・・・・・疲れてるんだね。早く、横になったほうがいい。」



こういうと、私を抱きかかえ、寝室へと運ばれた。


そっとベットに降ろされ、頭を撫でながら



「今日はもう寝て、明日からの仕事に支障をきたしたら、ダメだろう??」



まるで、お兄ちゃんみたいだな、なんて思っているのだが

ふと気づいたことを聞いてみた。



「・・・・・・シャワー、浴びてない」



「明日の朝にしなさい。」



「・・・・・・・・私がここで寝ちゃったら、クオンはどうするの??」



「・・・・・・・・・」



「・・・・・・どうする、の?????」



何も答えず、横を向いてしまったので、さすがにまずいと思って飛び起きた。



「私は何とか自分の部屋まで戻るから、ちゃんとクオンはこのベットで寝なさいっ!!!!」



私のこの言葉にクオンは少し驚いた後、私をいきなり押し倒した。



「キャアッ!!!」



「アンジェは、ここで俺と寝ればいいんじゃないのかな・・・・・?」



フッと笑いながら言うクオンは、あまりにも艶やかで・・・・・

あまりのことに戸惑っていると



「・・・・・・・・俺とじゃ・・・・・イヤ??」



スッと私の頬に触れ、こんなことを言ってのけてしまう。

妖艶なその姿に魅入っていまう。


二人の視線が絡み合う。


ゆっくりとクオンは近づいてきて・・・・・・


そっとキスをした。







vo.42(限定記事)


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vo.43



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・・・・・・・・・・・・・あれっ????

告白、させたのに・・・・・返事がない・・・・・・