たった一人だけをずっと愛し続けること



それは、誰もが願う希望であり願望である



じゃあ、私は――――――――――――――??





ange 【ボクだけのdiva】 vo.26 ~troubleⅧ~





<キョーコside>




ショータローと変な約束をしてからというもの、毎晩あいつのマンションへ行き、ご飯を作る羽目になっていた。


・・・・・・・・昔の、単純で一途だった過去の自分を思い出す。

もう、あの頃には戻れるわけないのに・・・・・・・・・・・・・・・・・



ドラマの撮影で敦賀さんと顔を合わせるのが、今はちょっとつらい。


だって・・・・・・・・・


私は敦賀さんを好きで、本人にはドラマが終わったら、その・・・・・・・・

告白

なるものをしようとまで考えていたのに、

例え約束のためとはいえ、元憎っくき相手の家にわざわざ出向き、ご飯を作っているなんて知れたら・・・・・・

怒られる、どころではない。


・・・・・・・・・・・きっと、呆れられる、そう思うから・・・・・・・・


敦賀さんは、ちょっとエスパーみないなところがあって、私のちょっと後ろめたい気持ちとかを

すぐに見つけてしまうから・・・・・


なるべくそばに居ないようにしている。



・・・・・・・・・・・・本当は、いつもそばに居たいのに・・・・・・・・・・・



「おいっ!!!!キョーコっ!!!!!

・・・・・・・・・・・なべ、吹き零れてるぞ?!」



「えっ?!」



すぐ後ろにまで来ていたショータローの声でわれに返り、火を止めた。



「・・・・・・・こんな煮詰まった味噌汁、飲みたくない・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・ゴメン・・・・・・・・・・・・作り直すから、もうちょっと待ってて。」



「わかった・・・・・・・。火事はご免だから、料理中に考え事、するなよ?!」



「大きなお世話よっ!!!!!!!!」



さっさとリビングのほうへ退散していったショータローに向かって怒鳴ってみたが・・・・・・

気持ちは晴れない。


誰だって本当は、自分の好きな人のために料理を作りたいでしょう?!



(ハァ~~~~・・・・・・・)






*





ショータローのマンションで二人で食事を取った後、急いで帰ろうとしたところで



「・・・・・・・・・待てよ、キョーコ。話がある・・・・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・話って、何よ?!」



真剣な顔をしながら、こっちを見ているショータローに、ちっともときめかない。

・・・・・・・きっと、昔の私だったら、ショーちゃんドキドキって顔を真っ赤にしていたのだろう・・・・・・・



「俺、明日からツアーのために大阪に行く。だから・・・・・・・」



「明日から4日間は来なくていいんでしょ??祥子さんから聞いてて知ってるわよ??」



「違うっ!!!!!そうじゃなくて・・・・・・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・だから、何??」



じっと下を向いて言葉を探しているような姿は・・・・・・・

今まで見てきた、私の幼馴染、不破松太郎の姿ではなかった。



「・・・・・・・・・・・・・・いったい、どうしたの???ショー????」



「・・・・・・・・不安なんだ・・・・・・・・・・・・・・」



えっ???



「あんな強気のこと言ったけど、本当は不安で・・・・・・・・

ちゃんと無事にツアーを乗り切れるのか、オレののどは壊れたりしないか、

ちゃんと声を、不破尚の声を、ファンのみんなに届けることが出来るのか・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・不安なんだよ・・・・・・・・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・ショー・・・・・・・・・・・・・・

あんたも、一応人の子だったんだ・・・・・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・キョーコ、てめぇには言われたくない・・・・・・・・・・・・・」



フッと笑いながら言ったのだが、いつもよりやっぱり元気がない。



「オレ、ずっと歌手になるのを夢見てやってきただろう??

歌手になって、有名になってきて、やっとこれからってそのときに・・・・・・

こんな仕打ちじゃあ、なぁ・・・・・・・・・・・・・

さすがに、へこむよ・・・・・・・・・・・・・・・・」



(キュン)

・・・・・・・・・アレ???



「・・・・・・・・・・・・・・なぁ、キョーコ。

うそでも、何でもいいから、”大丈夫だ”って、言ってくれないか??」



「・・・・・・え???」



「・・・・・・・お前が”大丈夫だ”って言ってくれれば、本当に大丈夫なような気がするんだ・・・・・・」



頼りなく笑うそのショーの笑顔はやけに綺麗で・・・・・・・

思わず男の人なのに、見惚れてしまった。



「・・・・・・・・・・・・・大丈夫、だよ??」



「・・・・・・語尾に、”?”をつけるなっ!!!しっかり言い切れっ!!!!!」



「大丈夫だよっ!!!!!」



言い切ると同時に、ショーがガバッと抱きついてきて、耳元で



「・・・・・・・・・・・ありがとう、キョーコ」



と言った。




(ドキドキッ、ドキドキッ)


鼓動がドンドン早くなる。

きっと、顔も真っ赤だ・・・・・・。


おかしいよ、だって・・・・・・・

私が好きなのは・・・・・・・・

敦賀さんのはずでしょう????


どうして、ショータローなんかに抱きしめられて、

ドキドキするの??赤くなるの??



「・・・・・・・・キョーコ??」



ギュッと抱きしめられたまま、ショーはまた耳元で話し出した。



「そのまま聞いてて欲しい。

お前はちゃんと言わないとわからないと思うから・・・・・・・

オレは、お前のこと・・・・・・・・・・・・・」



エッ?!な、何言おうとしているの???



「・・・・・・・・・・・好きだ・・・・・・・・・・」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ????



「キョーコのことが好きだから、そばに居て欲しいって頼んだ。

少しでも一緒に居たいから、料理を作りに来て欲しい、と頼んだ。

すべては・・・・・・・・・・・・・お前のことが、好きだからだ。」



「な、何を言ってるの???」



抱きしめられていたから動き出すことはかなわなかったが何とかショータローの顔を見たら・・・・・

茶化すような、からかうような顔ではなく、真剣そのもの。


・・・・・・あの、一緒に東京に来ないか、と言ったときと、同じ顔付き。



「誰よりも一番、お前のことをわかっているつもりだし、

誰よりも一番、お前のことを愛している・・・・・・・」



あ、愛しているって・・・・・・・・・・・・・・・・

な、何言ってるのぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~??????


顔を真っ赤にし、思考回路がグルグル回ってしまっているような状況で



「・・・・・・・キョーコ、好きだ――――――――-」



ショーの右手が私の頬を包み、顔を近づけて・・・・・・・・・

キスをしてきた。


~~~~~~っ!!!!!


な、何で??どうなってるの?????


ずっと唇を押し付けられていたから、息苦しくなり、離そうとしたのにいつの間にか後頭部に手がきていて・・・・・

離すことはできず、ショーの唇がまた喰らい付いてきた。


息をするために口を開いていたから、にゅるっと口の中に何かが入り込んできて・・・・・・


こ、これって・・・・・・し、舌ってやつぅぅぅぅぅぅぅ~~~~????


生温かくて変な感触、と思っていたら・・・・・・

私の舌に絡んできたり、吸われたりで・・・・・・・

翻弄されてしまっていた。


――――――――――――あっ・・・・・・・


ショータローの唇が離れていったとき、残念に思ってしまっていた自分がいた。



「・・・・・・・・キョーコ・・・・・・・・」



そう私の名を呼ぶ男はまさしく、この前まで憎いと思っていた男だったのに・・・・・

今ではまったく、憎いなんて思わない。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私はその後も何度も、ショーとキスをした。


只、いまショーと二人だけで、二人だけのことを・・・・・・・感じていたかった。

もう、敦賀さんのことは、すっかり忘れてしまっていた。



その晩初めて、私は・・・・・・・・・・・・・無断外泊をした。





vo.27


次回、限定記事、キョーコちゃんのお初のお話、と思ったのですが・・・・・・

次回も普通記事です。


どうして???


うふふ・・・・・皆さんの想像にお任せしまぁ~す!!!