前回の続きです。

どぅぞ~~~~


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もう一度、ただ貴方に会いたい。

抱きしめられたい

・・・・・キス、したい・・・・・・


でも、明日で約束の日も終わる。

―――――12月25日―――――

明日私は二十歳になる。




只一人、貴女の為に ~後編~




私は、貴方が居なくなるとき、どうして20歳の誕生日までに会いにくる、と言ったのか、わからなかった。

その理由を知ったのは、貴方が居なくなった後に迎えた始めての、18歳になる誕生日パーティーの席でだった・・・・・。


そのパーティーでの席上で、告げられたこと、それは・・・・・

会ったこともない許婚の存在と20歳になったら結婚する、ということ・・・・



私は、それを聞いても、もう何とも思わなかった。

私のしたいことを決めていたから・・・・・

例え、世界中の全ての人に愚かだと言われようが、
蓮の傍に居たい・・・・・
ただ、それだけなのだから・・・・・。


私は、蓮が私に会いにくるまで待てないから、最初は都内を、

そのあと色んな所へ場所を拡げて、最終的には日本中を捜させた、のに――――――
見つからなかった。


蓮、貴方はどこに居るの!?
私、明日、二十歳になっちゃうっ!!!

・・・・貴方以外の誰かのモノになんて、なりたくないの・・・・・


きっと、迎えに来てくれると信じていたのに・・・・・


夜空に浮かぶは、黄金に光る月と、一等星のシリウス。
星の光が、私の心を癒してくれるのだろうか――――


*



12月25日、当日。

澄み切った晴天の下、今日始めて、許婚との顔合わせがあるのだけれど、私は逃げ出した。

だって、私の心はもう決まっているのに、他の人に嫁ぐなんて、ありえないものっ!!!!


奇しくも今日も5年前、15歳の誕生日パーティーを開いたホテルと同じ場所だったため、

逃げ出した場所も5年前と一緒。

5年前は、ここを蓮と一緒に歩いたんだ、と思い出すだけで、目が潤んでくる・・・。

この先をもう少し歩くと、パティオがあって、そこで、蓮に(手の甲に)キスしてもらったんだっけ////って・・・・・・

誰か、居る???
先客かぁ・・・・・

あれっ!?この背格好・・・・・・蓮に、似てる!?

で、でも・・・・・・か、髪が・・・・・金髪、なんだけど・・・・・???

パティオに入ろうか、素通りしようか迷っていたら、先客の彼が、振り向いた。

・・・・!!!!!


「・・・・どこへ行くつもりだったんですか!?
キョーコお嬢様・・・・・」

髪は・・・金髪なのに、振り向いた顔は・・・蓮だった。その、声も・・・優しい微笑みも・・・・・
私の愛する、蓮だ・・・・


「・・・・れ・・ん・・・・」


「お嬢様のしたいことは、見つかりましたか??」


優しい微笑みもまま、私に近づき、最後に会ったときの約束の問い掛けをするのね・・・!?


「・・・・ど・・して・・・」


「・・・あぁ、二十歳の誕生日までに、とお約束したのに、遅くなりまして、申し訳ありませんでした。
・・・・でも、間に合いましたでしょう??」


「・・・・えっ??」


「まだ貴女は、誰のモノでもない。
・・・・私は、貴女の好きなようにさせてあげたいのです。
今一度、問います。
貴女は・・・・貴女のしたいことは、見つかりましたか??」


蓮に会えた喜びで、声も出なくなっていたから、私は頷くことしか、出来なかった。


「・・・・・泣かないで・・」


蓮は、私をそっと抱きしめ、頬に伝っていた涙を拭ってくれた。

そして、背中を軽く摩ってくれながら、淡々と話しはじめた。


「お迎えが遅くなり、心配をかけてしまったんですね!?でも、やっと・・・
お許しをいただけたので、今日会いに来れました。
もしかしたら、今日にも間に合わないかもしれなかったんです・・・」


「えっ!?それじゃあ、私は、余所の知らない男の妻になってたかもしれないって事ぉ~~~~~??」


「・・・・知らないって・・・・
お嬢様は、婚約者の情報はお聞きしてなかったんですか??」


「・・・・・えぇ・・・まぁ・・・・・」

まさか、要らない情報だからってお母様のお話もちゃんと聞かず、

写真も全く見ていなかったなんて言ったら、怒るわよ、ね・・・・・

チラッと蓮の方を見ると・・・・

「(クスッ)・・・・お嬢様らしいですね。」


「~~~~~バカにしてるわねぇ~~~~!!!!」


「イエイエ、そのようなことは、決してございません。」


「・・・・もぅ!!」


久しぶりの蓮との会話は楽しくて、うれしかった。


「・・・・お嬢様。お嬢様のやりたいことが何なのか、お教えいただけないでしょうか・・・」


蓮が、抱きしめていた腕を離し、真剣な目で私を見つめながら問いてきた。


「私、は・・・・貴方と・・・・蓮と、一緒に居たい。

最上の名前なんて、要らない。

ただ・・・・蓮と一緒に居られるなら、何だっていいの・・・・・

蓮が・・・・・好きだから・・・・・」


「(クスクスッ)満点だね。じゃあ、行こうか。余り待たすと、怒られるよ!?」


「・・・・・へっ!?」


私、告白したのに、スルー、した???


「君のお母様と、俺の両親が待ってるから、ね!!!」

ガシッと私の右腕を掴み、足早に歩きだした。


「はい~~~~~~っ???」


「もう今日、籍入れちゃってもいいね、キョーコ!!」


「なっ、なんですってぇぇ~~~~~~!!!!!!

ち、ちょっと待ってよ、蓮っ!!!!!

一体、何言ってるの??どうゆうこと?????」


足を止め、私の方に振り返った。
蓮の顔は、まるで悪戯が成功したような・・・・とてもうれしそうな顔をしていた。


「・・・・まだわからない??」


「えぇ、全然・・・・」


「・・・・・婚約者の名前くらいは覚えてる??」


「えっと・・・・・
ヒズリ・カンパニーの社長令息で今は社長補佐をされてる、

クオン・ヒズリって方だって・・・・」


「・・・・それ、俺だから・・・・」


「なっ!!!!!」


「君が15歳の誕生日パーティーのあの日、君に一目惚れをしてしまった俺は、

君の婚約者の地位だけでは飽きたらず、君の傍に居たいが為に、君の執事にまでなったんだよ!?
会社の業績が悪化して経営危機に陥り、婚約破談になりかけたから急いで仕事に戻ったんだけど、ね・・・・
経営回復させるのに、思ったよりも時間がかかってしまったのは、

本当に申し訳なかったね、キョーコ・・・・」


「蓮・・・・・」


「(クスッ)蓮でも良いけど、本名はクオンだから、これからはクオンって呼んで。」


「・・・・努力します。」


「それから・・・・キョーコ・・・」


「な・・・・何??」


「愛してる・・・・一緒に、幸せになろう??」


「なっ・・・///」


掴んでいた右腕を引っ張り、私を抱きしめた後、キスをした。
それは、前の・・・別れを悲しむようなキスではなく、これからの、幸せを予感させる始まりのキス。


ただ・・・・中々離してくれなかったから・・・・

ホテルに居る人達にかなり見られていたみたいで、恥ずかしかった。

お互いの両親が待っている席に戻ったときに、

私たちの唇が腫れていたことは・・・・気付かれなかった、と思う(多分)。


そして・・・・・
その席で、私は驚愕の事実を知ってしまう事となる・・・・・。

お互いの親との今後の事を打ち合わせる為の会食も終わった頃、

私の執事の光が少し青白い顔をしながら、蓮に近づいて話しかけた。


「クオン様・・・お久しぶりでございます。」


「光君、お勤めご苦労様。今まで逐一報告、ありがとう。」


へっ!?報告って・・・??


「いえいえ、クオン様がご用意されてた対応マニュアルがあったので、

かなり有効利用させていただきました。」


・・・対応、マニュアル???


「・・・・特に、アイツには、よくきいただろう??」


「要注意人物その1、ですね?」


「その2は、学校内だから全面的に社さんに任せてたからなぁ~~~。」


どうして、社先生の名前が・・・?


二人で笑いあって喋っているのだが、内容があまりにもわからないので、聞いてみる事にした。


「・・・ねぇ、蓮?何の話をしているの??」


「キョーコ・・・・君は知らなくてもいいことだよ??」


「・・・・知らなくても良い事って・・・・
これから、紛いなりにも夫婦になろうっていう二人が、知らないことがあるなんて・・・・
そんな事って、許されるの??」


目を潤ませながら、上目遣いで蓮を見つめるのだが、なかなか言いたがらない。

表情も、固まってしまっている・・・・

蓮の隣に居た光は、顔を真っ赤にして、もうダメぇ~~~!!、と言いながら、後ずさった。


「・・・・・蓮??もう、クオン、とは一生呼ばないわよ???」


「!!!(それは困るっ!!)~~~わかったから、怒らないで聞いてくれよ!?」


「うんっ!!!」


「(そんな可愛い笑顔されると、言いづらいなぁ・・・)えっと・・・
俺が執事を辞めるのにあたって心配だったのは・・・・・・・・・・

他の男がキョーコに近付かないかだけだったから、
光君にはそんな馬の骨対策マニュアルを作って渡しておき、

何かあったら逐一メールで教えてもらってたんだけど・・・・・・・・・
何で、怒ってるの??」


怒ってる???・・・・・当たり前でしょ・・・・????


「・・・・・・・・ど、どうして・・・・・・・・」


「・・・・どうして??」


「どうして、光にはメールアドレス教えてて、私には教えてくれなかったの??
私も蓮とメールしたかったのにぃ~~~~っ!!!!
大体、光も光よっ!!私が蓮に会いたいからって、日本中で蓮の事捜してたの知ってる癖に、連絡先知ってたなら教えてくれれば良いじゃな~~~~~いっ!!!!!!!」


ハァハァ・・・・


「(クスクスッ)ごめんね、キョーコ。光君を責めるのは、やめてあげてくれるかな?」


「へっ・・・!?」


「君のお母様との条件でね・・・・
会社が経営危機に陥り、再建させるために君の執事を辞めるためにね、条件を出されたんだ・・・・
会社が無事、経営回復するまで、絶対にキョーコとは連絡を取らない事ってね・・・・」


「えっ・・・・・」


「君のお母様は賢い人だから、君が誰に惹かれているのかわかったんだろう。
勿論、執事をしているときには手を出すなって、執事をしている間は何度も言われていたんだよ!?」


「そ、そうなの・・・・??///」


「経営回復させる事が出来なかったら、婚約破棄だったからね・・・・
俺も必死だったんだよ??」


「・・・・ホント???」


「俺が欲しいのは、キョーコだけだから・・・・」


「蓮・・・・・」


ギュッと抱きしめてくれる蓮の腕の中は、温かくて、とても、心地好い・・・

二人で見つめ合い、二人だけの甘~~い雰囲気でいたら・・・・


「(ゴホンッ)クオン様、キョーコお嬢様。
その、まだここは会食された場所なものですから、そろそろ移動された方がよろしいかと・・・・」


「(コソッ)続きは、また今夜、ねっ。」


あっ・・・・・・

そっと、蓮が抱きしめていた腕を緩め、ゆっくりと離れてくれているんだけど、余りにも残念そうにしているから・・・・照れてきちゃった////

そ、それに、さっきの耳元で囁いた台詞・・・////
こ、今夜って~~~~~っ!!!!!!!!


「(クスクスッ)まずは、今からドレスアップして、夕方からの婚約披露パーティー、でしょ!?
さすがに・・・・逃げないでね???」


「ムーーーーッ!!!逃げないわよっ!!!!!」


「頼みましたよ!?お嬢様・・・」


キュン・・・・

蓮に、お嬢様って呼ばれるだけで、胸がトキメク。

頬を染めながら、頷いた私を見たら・・・・
蓮は顔を逸らして、 片手で顔を覆い隠していた。


???


不思議に思い、覗き込んでみると・・・・・・・


顔を真っ赤にしながら、照れた顔を必死に隠していたようで・・・・・・

そんな蓮の初めての姿を見れて、私も、すごく幸せだった。



そういえば・・・・・・・・


さっき、蓮と光が言っていた、「馬の骨」って・・・・・誰のことなのかしら??


まぁ、関係ないか。





*




夕方から行われた婚約披露パーティーも何とか無事に終わり、

(途中、ショータローが何かほざいていたり、

実は社先生と蓮が大学の同級生で仲がよかった、という

知らないことがあった)

ほっと一息ついた頃、今晩は遅くなるかもしれないからと、

このホテルの最上級のスウィートルームを一年以上前から予約していたらしくて

実は・・・・・今、二人で居るわけなのだが・・・・・・


その・・・・・・、かなり、緊張、している・・・・・わけで・・・・・・・・・


二十歳になったからといって、お酒を勧められても丁寧に断っていたのが

今となって、しらふでは到底無理、というのかなんと言うか・・・・・・・


あ、あぁ・・・・・・こんなとき、どうすればいいのぉ~~~っ!!!!!



私が、部屋についてから、カチンコチンに固まってソファに座ったままだったので

さすがに、蓮、じゃなくてクオンも、あきれてるのかな?と思っていたら・・・・・



「・・・・・キョーコ、ちょっと、こっちにおいで??」



と言って、私の手をとり、ベランダへと連れ出してくれた。



外は、冬の夜空。


空には、昨日より少し欠けた黄金の月。


南の空には、オリオン座、その少し下に光り輝く一等星の、シリウス。



「・・・・・キレイ・・・・・・・・」



昨日も、一人夜空を見ていたのに、今日は・・・・・クオンがいる。


あんなにも、悲しかったのが、今は・・・・・

喜びに満ち溢れている。



クシュンッ!!!



ちょっと寒かったから、くしゃみをしたら・・・・・


ギュッと、後ろから抱きしめてくれた。



「・・・・・温かい??」



「・・・・うん・・・・・」



クオンの、体温を背中から感じれるから・・・・・・とてもうれしい。


さっきまで、カチカチに固まっていたのが、うそのよう。



「・・・・・・キョーコ・・・・・・・」



「・・・・・何??」



「5年前、初めて会ったとき、俺はもう蓮の姿だったの、覚えてる??」



「・・・・・そういえば・・・・・・そうだったわね・・・・・・」



「もともと、大学在学中だったから、ね。

日本の大学は『敦賀 蓮』の名前で通ってたから、その頃は、蓮だったんだよね・・・・」



「(クスクスッ)そうだったんだぁ~、って、社先生と、歳違うのに、どうして仲いいの??」



「あぁ、俺、飛び級で入学して、3年で卒業したから・・・・・」



「・・・・・ハァ~~~???」



「・・・・・・そんなに驚くことかな??普通だと思うけど・・・・・」



「・・・・・・普通じゃないわよっ!!!!」



「ねぇ、キョーコ、さん???」



「・・・・・・なに???」



「・・・・・3年で卒業したのは、どうしてか、知ってる???」



「・・・・・・知らないわよっ!!!」



「・・・・・・キョーコの、執事としてそばに仕えるために出された条件が、

大学を卒業すること、ということもあったから、なんだよ??」



「・・・・・へぇ??」



「・・・・結構、キョーコって、俺の人生変えてるよね・・・・・」



「なっ!!!そんな言い方って・・・・・・」



「・・・・・そんなつもりで言ったんじゃないよ。

それだけ・・・・・・・本気だってこと。


・・・・・・・・本気で、キョーコのこと・・・・・・好きなんだ・・・・・・」



えっ、クオン・・・・・・



「俺は、只一人、キョーコのために、なれない執事もしたし

あまり好きでもない、自社の経営にも、携わった。

・・・・・・俺も、本当は・・・・・経営とか興味なかったんだよね・・・・・

でも、もう、興味がないから、とか、言ってられない。

・・・・・・キョーコしか・・・・・要らないから・・・・・・・」



「・・・・・・クオン・・・・・・・」



「・・・・・愛してる・・・・・・キョーコ・・・・・・」



うん、私も・・・・・愛してる・・・・・・・って、言葉にして言いたかったけど

先に、口をふさがれてしまったので、しっかりといえたのは・・・・・・・


翌朝、だった・・・・・・・・




二十歳の誕生日、私へのプレゼントは、とっても、とっても大好きな、未来の、旦那様、だった。




<おちまい>





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いかがだったでしょうか???


実は、結構あっさり終わるつもりだったのですが、

いろいろネタを考えていたのに使えなかったので、

それを小出しするために長くなってしまいました。


そして・・・・・・甘い部分は・・・・・・暑い今はさらに暑くなって・・・・・

頭が痛くなりそうです。



ちなみに、馬の骨その1は、ショーちゃん

馬の骨その2は、もっと使いたかった白衣の校医、レイノです。



今回も、駄文申し訳ないです。


こんな駄文でも、感想いただけると、調子に載ってもっと書いちゃうので・・・・

出来れば感想お待ちしておりますっ!!!!



読んでいただき、ありがとうございました!!!