彼女を見るあなたの眼差しが違うこと、すぐにわかった。
あなたの心が、彼女に捕らえられているのならば、私は・・・・・・・・
ange 【ボクだけのdiva】 vo.13 ~co-starⅢ~
<社side>
この前クランクインしたドラマも、順調に撮影が進んでいた。
今回のドラマは、蓮とキョーコちゃんが兄妹なのにお互いに恋をしてしまうという悲恋もの。
キョーコちゃんが相手役を初めてするのだから、と喜んでいたのに
兄妹設定で、尚且つ、他の役者さんにそれぞれ迫られ、やきもきするという話が主体だから、二人の絡みも少ない・・・・・・・
キョーコちゃんが、アイドルかぶれの男に(ドラマの中で)口説かれる姿を
目の前で見るのは・・・・・・・蓮にとって、あまりよろしくない、と思っていたんだ・・・・・・
それに・・・・・・・
別々の撮影が多く、社会人役の蓮は、スタジオ内での会社のセットでの撮影がメインだし、
大学生役のキョーコちゃんは、ロケ先の大学で撮る事が多い。
二人が撮影で絡むシーンは、少ないのだから・・・・・・
久々の一緒の撮影なのに・・・・・・・・
・・・・・・・・なのに・・・・・・・・・・・・
最近の蓮は、本当に変だっ!!!!!
いつからかは忘れてしまったのだが、クランクインしたのに、
キョーコちゃんにあまり話をしに行かないし、何よりっ!!!!!!
あのキョーコちゃんだけに見せる、蕩けるような甘ぁ~~~い笑顔をしないんだっ!!!!!
いつもどこか上の空で、ずっと何かを考え込んでいるようにみえる・・・・・・
仕事はちゃんとこなしているんだから、・・・・・・・・プライベート、か??
あんなに忙しくしていたら、プライベートも何もないだろうし、何よりっ!!!!
お前の思い人のキョーコちゃんは、ここにいるんだぞぉ~~~!?
「社さん、おはようございますっ!!」
「キョーコちゃん、おはようっ!!」
「・・・・・・また敦賀さんは・・・・・・・考え込んでるんですか?」
「・・・・・・あぁ、今日も、ほら・・・・・・・・」
「・・・・・周りの女性スタッフや共演者さんたちが、倒れないと良いですね!?」
そう、蓮が思いふけっている、悩ましげな顔が、あまりにも色っぽいのか
周りの女性陣が次々と倒れてしまっているんだった・・・・・・
(キョーコちゃんはなんとも思っていないようだね・・・・・)
「ちょっと、敦賀さんにも挨拶に行ってきますね!?」
「よろしく頼むね、キョーコちゃん!!」
・・・・・・いったい、どうしちゃったんだよ、蓮・・・・・・・・
<蓮side>
最近、仕事の合間などに考えることは、いつも・・・・・・・アンジェのことばかりだった。
・・・・・・なぜ、日本に来て、歌手になっているのか・・・・・・・
・・・・・・・・・どうして、役者はしないのか・・・・・・・・
前に一度顔合わせのときに会ったときには、目もあわそうとしなかった・・・・・・
・・・・・・・思いっきり、避けられてる、と思った。
・・・・・・・無理もない・・・・・・
傷つけたのは、俺のほう・・・・・・・・
彼女はなにも、悪くない・・・・・・・・
理不尽な嫉妬をぶつけてしまったんだと、今ならわかる。
でも・・・・・・・当時俺は11で、彼女はまだ7つ。
お互いに子供だったからこそ、彼女は余計傷ついたんだ・・・・・・・・
一度、彼女のことを知りたくて、社長に電話をして聞いてみたのに・・・・・
「本人に直接聞くんだな。俺は何も言わないし、教えないぞ!?」
とだけ言われて電話を切られた。
あんなにも避けられてるのに、どうやって話しかければいいんだ!?
「・・・・・敦賀さん、おはようございますっ!!!」
・・・・・・最上さんっ!!!!
今日は、一緒の撮影だった、か・・・・・・「おはよう、最上さん・・・・・今日もよろしく頼むね!?」
「ハイッ!!!こちらこそ、よろしくお願いしますっ!!!!」
「・・・・・・そういえば最上さん。最近、愛莉の演技が変わったように思ったんだけど・・・・・・
どうかしたの????」
「えっ!?・・・・・・・ダメでした、かぁ????」
「いいやっ、前より良くなったよ??なんていうか・・・・・・吹っ切れた、というべきかな??
前は、愛莉になろう、という感じが出てたんだけど、
今はもう、愛莉が憑いた感じになった。」
「そ、そうですかぁ~~~~っ!!!!
敦賀さんにそう言っていただけるなんて、
う、うれしいですぅ~~~!!!!!!!!!」
うっ!!!!か、かわいい・・・・・・・・
「実は、ちょっとアドバイスをいただきまして、私も愛莉になるのに吹っ切れたといいますか
やっちゃえぇ~~~って感じになりまして、って・・・・・・・・・
・・・・・・・・敦賀さん??聞いてますかぁ~~????」
「・・・・ゴホンッ。もちろん、聞いているよ??(ニコッ)」
「・・・・・・・でも、先ほどまで無表情で固まってましたよ???」
「・・・・・・・・・・・大丈夫だから・・・・・・・・・・
それより、アドバイスって、誰にされたの???
(ホントは俺がしたかったのに、なぁ・・・・・・・)」
「あぁ、それがですね・・・・・・・・・・、和奏ちゃんですっ!!!!!」
「えっ・・・・・・・・」
「事務所で偶然お会いしたときに、ちょうどドラマのことで悩んでまして、
顔に出ていたみたいで心配していただいちゃって・・・・・・
話を聞いてもらったら、スッキリしちゃいました!!!!」
「・・・・・・・・・そう・・・・・・・・・彼女と、話したんだ・・・・・・・・・・」
「・・・・・・敦賀、さん???」
「・・・・・・・俺には挨拶もしなかったのに、最上さんには話をして、尚且つ名前呼び・・・・・・・・
(ブツブツブツ・・・・・)」
「!!!!(ヒィ~~~~ッ!!!!!だ、大魔王ぅ~~~~??????)」
「・・・・・・・・・最上さん、彼女と、仲、良い、の!?」
「へっ・・・・・・・・??」
「・・・・・・・・・・電話番号とか、知ってる???」
「・・・・・・・えっ・・・・・・・・・・知りません、け、ど・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・そう・・・・・・・・・・・・・・」
「(ヒッ、ヒィ~~~ッ!!!!!!!和奏ちゃん、怒られちゃうの??
悪魔のコールされちゃうの???な、何とかしないとっ!!!!!!!)
あ、あの、敦賀さん??和奏ちゃんが敦賀さんに挨拶しなかったのは
きっと周りの人たちに囲まれて話す時間がなくなってしまったからで、
私はこの前偶然に事務所でお会いして挨拶しましたけど
それまではまったくお話も出来なかったんですから、
そんなに怒らないであげてくださいっ!!!!!」
「・・・・・・偶然、ねぇ・・・・・・・」
「そ、そうですよ!?ちゃんと次にお会いしたら、きっと挨拶してくれますって!!!
・・・・それから、敦賀さん!?挨拶しないからって、余り怒らないであげてください、ね!?」
「(うっ・・・・)わ、わかったよ!?・・・・最上さんにお願いされたんだから、聞かないと、ね!?」
「~~~~お、お願いします、ね??」
「うん、わかったよ。」
ここで、スタッフから声がかかった。
「次、シーン23だから、敦賀くん、京子さん、入ってもらえるかな?」
「「はいっ」」
今から、俺は大夢になる。
大夢は・・・・・・・妹の愛莉を愛しているのだが、プラトニックな恋だ。
彼女の幸せだけを信じて、近くで見守ろうと思っている。
気持ちはわからないでもないのだが・・・・・・
毎日同じ家で、一つ屋根の下で暮らしているのに・・・・・・その・・・・・・
手を出さないのは・・・・・・・どうしてなのだろう、と少し戸惑っていた。
だが、大夢になるごとに・・・・・少しずつわかってきたことがある。
本当に、本当に・・・・・・・愛莉が、大切なんだ・・・・・・・
彼女の笑顔を守るためならば、自分の想いもふたをし、いい兄として
ずっとそばにいる、というのは、本当に・・・・・・・
心が、切なくて、苦しくて・・・・・・・悲鳴をあげそうになっていた。
*
一日の撮影も終わり、帰りの車の中で、明日の仕事の確認をした。
(最上さんには、だるまやまでおくっていくと言ったのに、丁重に断られた。)
「・・・・・蓮、明日は例のCMのロケがあるから、朝7時なっ!!」
「例のCMって・・・・相手役、決まったんですかね???」
「ちゃんと決まってはいるんだが、先方の都合でロケ当日まで内緒なんだとさっ。
・・・・・実は、キョーコちゃん、って事はない、よな???」
「無いと思いますよ?今日の収録も普通でしたし、最上さんが秘密にする必要性がない、ですよね??」
「う~~~~ん・・・・・じゃあ、大物女優さんか、全くの新人さん、あたり・・・・・かな?」
「・・・・・・そんなところじゃないんですか???」
「まぁ、明日になればわかるんだし、楽しみにしておけよっ!!」
「楽しみって・・・・・。誰が相手でも、ちゃんと演りますよ??」
「そうだなっ!!!
それに・・・・・・・その後夕方からは・・・・・・ドラマの第1話のクライマックスシーンがあるからなぁ~~~。
(ニヤニヤ)・・・・・・明日は大変だろうけど・・・・・・・がんばるんだぞぉ~~!?」
「・・・・・・・・社さん??(そんなにニヤニヤして・・・・・)」
「まぁ、大事なシーンだとは思うが・・・・・キョーコちゃんに、他の女優さんとのキスシーンを
見られないといけないのは、片思い中の蓮君にとっては、かなり厳しいもんなぁ~~!!!」
「・・・・・・・俺をいじめて、楽しいですか???????」
「(ヒィ~~~~~っ!!!!久々に、、キターーーーーーーーーーッ!!!!)
・・・・・・・た、楽しくなんか、ない、よ!?」
「・・・・・・・・・・そういう、社さんには、好きな人、いないんですか?」
「えっ・・・・・・・・・・//////」
「・・・・・・顔が真っ赤ですよ!?誰か、いるんですね??」
「ま、まぁ、良いじゃないかぁ!!!!!!!」
「へぇ~~~~~~、・・・・・・・そのうち教えてもらいますからね!?
(覚悟しておいてください!!!)」
「(何か、殺気が・・・・・・)いずれ・・・・・・な・・・・・・・・・」
グジグジと悩んでいても仕方がない。
・・・・・・とりあえず、彼女とは話をしなくちゃ、始まらないな・・・・・
何とかして、捕まえないとな・・・・・・・
・・・・・・でもまさか、そんな機会がすぐやってくるなんて、思ってもいなかった・・・・・・
⇒vo.14
へ
(ドラマのお話を少しずつ絡ませてみました。
最初はまったくなしにしようと思ってましたが・・・・・
このほうがわかりやすくなったでしょう、か!?)