数年ぶりに会うのに、どんな顔をすれば良いのか分からなかった・・・・・・




・・・・・・・今はもう、別の自分で、よかった・・・・・・・




何を言い出すのか、わからなかったから・・・・・・・・・・





ange 【ボクだけのdiva】  vo.9  ~reunionⅣ~






<キョーコside>




今日は、10月から始まる、新ドラマの顔合わせの日。



あまりドラマの内容を聞かずに、緒方監督からの強い希望と、また敦賀さんと共演できるからと

話を受けたら、なんと、敦賀さんの相手役。



しかも、W主演なのだ・・・・・・・



私は、もう二度と恋なんてしないと誓っているのに、今回の役は

実の兄に恋してしまう、かわいそうな妹の役。



・・・・・・・確かに、かっこよくて優しくて、人気者の兄が

ずっと身近に居て大切にされていたら、誰にも渡したくなくなるのはわかるけど・・・・・・・


私に、その演技が出来るのだろうか?????



きっと、こんな不安も、あの人なら一発で見抜いてしまいそうで・・・・・・・・



怖かった・・・・・・・・・




「おはようございますっ!!!!!」



会議室に入ると、中にはもう数人の方がお見えになっていた。


・・・・・・もちろん、敦賀さんも。


いつも分刻みのスケジュールなのに、誰よりも早く着いているから、尊敬してしまう。



「敦賀さん、おはようございます。

今回も共演させていただけて、とてもうれしいです!!!!

よろしくおねがいします(ペコリ)」



「やぁ、最上さん、おはよう。

こちらこそ、お手柔らかに頼むよ・・・・・・・」



きゃぁ~~~~!!!!!!今日最初の、神々スマイルだわっ!!!!!!

ひ、ひぃ~~~~~っ!!!!!!!!!!



「・・・・・・ところで、最上さん。」



「・・・・は、はひぃ」



「・・・・・・何かな、その返事は。

まぁ、いいとして、まだ監督みえてないんだけど、知らないかな???」



「・・・・へっ!?まだみえてませんか??私もまだお会いしてませんけど・・・・・・」



「もう少ししたら時間だよね??・・・・・珍しいよね、監督が遅れるなんて・・・・・・」



「・・・・・・確かに、そうですよね・・・・・・・」




バタンッ!!!!!



「(ハァハァ・・・・)すいません、遅くなりましたっ!!!今から顔合わせを始めましょう。」



息を切らして入ってきたのは・・・・・、今回のドラマの監督、緒方だった。



「・・・・・あっ、関さんも、こちらにかけてね。」



「はいっ!!!」



そう呼ばれて、監督の後ろから来ていたかわいらしい女の子が、監督の近くの席に腰掛けた。


・・・・・・あまり見かけたことのない人だったから、新しい女優さんだと、その時は思っていた。




「・・・・・それでは、まずは、今度の7月期の連続ドラマ『秘密の恋』の監督をさせていただきます

緒方 啓文です。よろしくお願いします。

今回は、僕が始めてオリジナルのドラマを手がけることとなりました。

脚本も、数年前からじっくりと打ち合わせをして作ってきたものですので

とても思い入れのある話です。

・・・・・・・皆さんで、いいドラマを作っていきたいと思いますので、これからの

数ヶ月間、よろしくお願いします。

では、主演の二人から、挨拶をしてもらいましょうか?


まずは・・・・・敦賀くんのほうから、でいいかな??」



「・・・・ご紹介に預かりました、春日 大夢(ひろむ)役を演ります、敦賀 蓮です。

緒方監督の作品は、『DARK MOON』以来となりますので、今から楽しみにしています。

いい作品を作れるよう、がんばりますので、よろしくお願いします。」



・・・・・パチパチパチ・・・・・・・



「・・・・・次は、京子さん、どうぞ。」



「あっ、ハイ。春日 愛莉(あいり)役の京子です。

今回、初めて主演をやらせていただくことになりまして・・・・・とても恐縮しています。

至らない部分が多いかも知れませんが、ご指導、ご鞭撻のほど

よろしくお願いいたします。」



・・・・・・パチパチパチ・・・・・・・



「相変わらず、京子さんは丁寧な挨拶ですね。

では、次は・・・・・・・・」



どんどん、いろんな共演者の方々が挨拶をしていく中、ふと隣に座る

敦賀さんを覗いてみたら・・・・・・・



・・・・・・・・誰かをじっと見つめていた。



目線の先をたどっていったら・・・・・・・・



先ほど、監督の後から入ってきた美女だったっ!!!!!



あまりにも感情のない視線だったから、見惚れていたわけではなさそうだけど・・・・・・



(ツキンッ!!!!!)

胸がチクチク痛む。


・・・・・・・・・なんだろう、この感じ。



すごく・・・・・・・・・イヤな感じがした。




「最後になりましたが、今回このドラマを作るにあたって、どうしてもと

この人に主題歌を歌ってほしいとお願いしたところ、快く引き受けてくれたので

ご紹介しましょう。」



「関 和奏です。まだデビュー間もない新人の私を、新しいドラマの主題歌に

起用していただけるなんて、恐縮ですが、監督や皆さんが作り上げるドラマの力になれれば

うれしいなと思います。よろしくお願いしますっ ^^ドキドキ



えっ、えっ、えぇぇぇぇぇええぇ~~~~っ!!!!!!?????


か、歌手なの???し、しかも、関 和奏って・・・・・・・・・・・



「て、天使ぃぃぃぃ~~~??????」



私は大きな声をあげてしまっていたが、周りのみんなはあまり気にしていなかった。


・・・・・・・だって、ほとんどの人が、彼女の笑顔に見惚れてしまっていたから・・・・・・・




*




顔合わせが終わった後、早速、キュララのCMソングを歌ってくれた天使ちゃんに

挨拶に行こうとしたら・・・・・・・



周りにすごい人だかり。ほとんどが男の人達ばかりだった・・・・・・・



「・・・・・・・なんか、すごいね。」



頭の上のほうから声がした。



「最上さんも、挨拶に行きたいんじゃなかったの?

確か、あの子を『天使の歌声』だって言い出したのって、最上さんじゃなかったっけ??」



「あっ、そうなんですが・・・・・・。敦賀さん、よくご存知ですね?

確か、雑誌のインタビューか何かで一度そう言っちゃってからは

みんながこぞって『天使の歌声』だって言い出しちゃって・・・・・・・。」



「それだけ最上さんが、影響力のある女優さんになってきたってことじゃないのかな?

これまでもがんばってきたから、ね。」



「・・・・・そ、そんなぁ~~~。あ、ありがとうございますぅ。」

(キューティーハニースマイル^^)


チラッと敦賀さんを見上げたら、何故か敦賀さんは無表情で固まっていた。


・・・・・・・どうかなさったのかしら????


ちょっとじっと見つめていたら・・・・・・



「敦賀君、京子さん、ちょっと今から、良いかな??」



「「はい、大丈夫です(よ)」」



緒方監督から、呼ばれてしまった。




「・・・・・関さんも、さっきの持って、来てくれるかな?」



「はい、わかりました!!皆さん、また今度、お話しましょうね ^^ドキドキ



・・・・・・周りの男性陣が、頬を赤く染め、またねぇ~~音譜、と手を振っていた。

アイドル、なのかしら?彼女は・・・・・・・




*




「敦賀君、京子さん、お時間を取らせてしまってすいません。

手短にお話しますと、実は、もう関さんが、今回のドラマの主題歌のデモを

作ってきてくれたので、先ほど聞かせていただきました。


かなり、いい曲に仕上がっているので、僕としてはこのままの感じで

曲を作ってもらうようお願いしたのですが、その前に

主演のお二人にも聞いていただこうと思いまして・・・・・・」



「「えっ!?」」




「かなり二人の心のうちが表現されていると思うので

これからの役作りの参考にしてもらえれば、と思いまして・・・・・・

関さん、流してみてくれる???」



「・・・わかりました。」



そこから流れてきたのは・・・・・・


クラシックギターだけのシンプルな伴奏で流れる、切ないラブソング・・・・・・


前の『ster』が天使の歌声なら、この歌は・・・・・・



神に許しを請う、罪人の懺悔の歌声。

報われない愛への悲しみと苦しみが感じられた・・・・・・










vo.10