私の知らないところで、もう1人の私が歩き出していた・・・・・



・・・・・・・まさか、昔と同じあだ名をつけられるとは思わなかった・・・・・・・




ange  【ボクだけのdiva】  vo.6  ~reunionⅠ~





アメリカに居る間、こまめにメールをくれたのは、マリアと


中澤主任、そして、和奏のマネージャーをすることになった


『高山 弘嗣(たかやま ひろつぐ)』 27歳 だった。



マネージャーのヒロからは(弘嗣は長いので命名。本人にもメールで了承済み)


仕事の話題がほとんど。



『関 和奏』は、デビュー曲『ster』がヒットをしているそう。



何でも、飲料水「キュララ」のCMソングに選ばれたようで


(ヒロは自分の功績のおかげだとメールで書いてあった)


以前から起用されているタレント2人の人気にも後押しをされているらしい。



事務所にも、和奏宛てのファンレターも多少届くようになっている。



ただ、大体は、「なぜ顔を見せないのか」とか「TVには出ないのか」とか


「歌をうたうところを観てみたい」とかが多いみたいだ。



私はアメリカに居るので、日本の生の声がわかるわけでもないので


かなりやきもきしている。



卒業式も無事終わり、明日日本へ旅立つ。


アメリカには、暫く戻るつもりはなかったから、父はとても淋しそうだった。


最後だからと、クーおじ様とジュリおば様が会いに来てくれた。



「明日は空港まで見送りに行けないから、今日ここで言っておこうと思って・・・」


・・・・ゴクリッ・・・


クーおじ様が、いつになく真剣な顔をするから、こちらも少し力が入る。


「向こうでクオンに会ったら、メールで教えてくれるかい?」


隣にいたジュリおば様も負けじと



「もちろん、私にも教えるのよ?!どんな様子なのか逐一報告して欲しいわぁ~!!!!!」



・・・・・・・ジュリおば様?私は、遊びに行くのではないのですよっ????!!!!



「・・・・・・・私がわかる範囲でよろしければ、メールしますね ^^ドキドキ



(!!!!!!!)


二人プラス父が、顔を真っ赤にしていた。



・・・・・・・何があったのかしら????



(ジュリア、かわいすぎるっ!!!!)←クー


(まぁ!!!こんなにかわいい子が1人で大丈夫かしら?!)←ジュリ


(・・・・・それは、反則じゃないか?)←ショーン



それぞれ思うことは違えど、ジュリアの笑顔は・・・・凶器だった。。。。




「行ってきますっ!!!!!!!」



この先、すぐに戻ることはない、母国アメリカ。


今度戻ってくるときは・・・・・・歌手として成功してから戻りたい、

と心に硬く誓うジュリアだった・・・・・・・・





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空港へ降り立つと、ローリィの秘書が待っていた。



「お待ちしておりました、ジュリア様。参りましょうか。」



私の荷物をさりげなく持ってくれ、彼が用意してくれている車(今回もリムジン!!)に

乗り込んだ。

 

「今日は、LMEの社屋ではなく、社長の自宅のほうへお連れいたします。」



「えっ?!どうして??」



「・・・・・すべては社長の指示でございます。」



それ以上は何も言っててくれなかったので、ジュリアも黙るしかなかった。




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ローリィの自宅に着くと、そこには、マリアともう1人、知らない女性が待っていた。



「やぁ、やっと来たな、ジュリア。」



「ジュリアお姉さま。お久しぶりですっ。」



「こいつは、ジェリー・ウッズ。美容師だ。お前を『関 和奏』に変えてもらうために呼んでおいた。」



「はぁ~~いっ!!!ジェリーよんっ!!!!よろしくねぇ~~~!!!!!!

まぁ、ジュリアちゃんっ!!!!!あなた、綺麗な肌をしてるわねぇ~。それに何より、

とってもかわいらしいお嬢ちゃんねぇ~~~!!!!!!」



・・・・・・お嬢ちゃん???あなたは、いったいおいくつなのかしら?????



「早速、変身しちゃいましょうねぇ~~~。」



私の金髪は黒髪へ、グリーンアイズは、黒いコンタクトをつけた。



・・・・・・いわゆる、日本人使用、というわけだが・・・・・・



「?????誰かに、似てないかしら?????」



ジェリーさんに言われて、私も鏡の中の日本人風の私を見た。



(!!!!!!ちょっと、これ、やばいじゃないッ!!!!!!!)




「・・・・・うぅ~~ん、確かに、ショーンにはあまり似てないとは思っていたが、

ここまですると、本当に若いときの母親にそっくりになるとは・・・・・・」



「ジュリアお姉さまのお母様??・・・・・誰かに似ていますの??」



「黒髪はやめて、違う色にするか?金髪姿はダメだしなぁ~・・・・・」



「あぁ~~~ッ!!!!!!!思い出したっ!!!!!!

女優の『福島 楓』の若いころにそっくりなのねぇ~~~!!!!!

・・・・・・って母親って、まさか・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・その、まさか、だよ。」



「おじい様?!『福島 楓』は確かまだ独身で、結婚は一度もされていないのでは?!」



「彼女は、下積み時代をハリウッドで過ごしていたんだ。

そのときに、ショーンに出会い結婚、ジュリアを出産後、数年で離婚。

離婚してから、日本に帰国後、女優として成功している。

ハリウッドでは、本名で活動し、日本では今の芸名。

だから、ハリウッド時代は別人、という認識がされているんだ。

もちろん、彼女は結婚のことも、子供のことも、本名さえも隠している。

いわゆる、スキャンダルだからなぁ~・・・・・・」



「じゃあ、ジュリアお姉さまのことがばれたら・・・・・」



「・・・・・ちょっとした、騒ぎになるかも、なぁ~。」



「そうなんですね・・・・・・・」



マリアが哀れんだ目でこちらを見ていた。



「マリア?!私は、スキャンダルとか、あまり気にしないから。

それより、あの人にあまり迷惑かけたくないの。

だから、この黒い髪の毛はさすがに、まずいとは思うけど・・・・・・」



「そうねぇ~、ちょっと違うカラーにして、思い切って髪、切っちゃいましょうかっ!!!!

・・・・・・ジュリアちゃんは、長い髪のままが良いかしら??」



「いいえっ、思い入れがあって伸ばしていたわけではないので、

思い切って切ってもらって、大丈夫よ!!!!」



何とか、髪は黒ではなく、赤茶の色にし、肩の上で短く切り


コンタクトは、アッシュの色にした。




これで、多少はあの人から遠ざかった気がした。








vo.7